供給の数量を増やすと価格が上がる原理は生産者目線で考えれば簡単です。そしてシフト要因で悩む必要はありません。なぜならパターンが決まっているからです。実践で分析出来るように具体例で解説していきます。
供給原理やシフト要因が理解できずに悩んでいませんか?
供給は生産者目線で考え、シフト要因はパターンが決まっているので簡単に解くことが出来ます。
僕がITビジネススクールで学んだ経済学をわかりやすく教えます。
ここでは、需要供給曲線の基礎知識、市場が均衡する理由、実践で活かせる分析など解説してきます。
記事を読めば、需要供給曲線を完全に理解でき、分析出来るようになっています。
ポイントは4つです。
- 供給はなぜ右上に上がるのか?
- 正と負の相関関係とは
- シフト移動の要因には何があるのか
- 市場はなぜ均衡に戻ろうとするのか?
では具体的に解説していきます。
需要と供給の基礎を徹底解説
まず基本的なグラフの読み方から。
縦軸が上にあがれば価格が上がり、横軸の右に増えれば数量が増えます。
一般的に曲線と呼びますが、経済学では直線の表現も曲線と同等の意味なので直線で表現しています。
需要曲線の基礎
需要曲線は消費者目線で考えます。
90円は高いので10個になりますが、10円は得になるので90個になります。
値段が高ければ数量は控え、値段が安いとお得なので数量が増えます。
需要曲線の基本的な考えです。
供給曲線の基礎
供給曲線は生産者目線で考えます。
1日50個を50円で販売しています。明日から60個販売してくれとなりました。
1日50個作るのが限界なので増やすのであれば、更に人数や原料、機械や作業スペースを増やす必要があります。
設備を増やした分の資金を回収するため、価格を上げて売り出します。
そうしないと、増えるほど赤字になってしまうからです。
逆に生産量を減らしても同じことが言えます。
生産を減らすと設備や人数は必要ありませんが従業員にお金を払います。供給量を減らしたからと言って商品も安く出来ません。
設備廃棄や人数削減などは、組織の成り立ち上簡単にできないのです。
供給は長い時間かけて増減するので今すぐ対応は物理上不可能なのです。
供給は売上を上げるための薄利多売ではなく、1つ生産したコスト負担はどれぐらいかかるか?と考えるのです。
[box class=”red_box” title=”ポイント”]供給は量を増やせば、設備投資が増えるので回収するために価格を上げざるをえない事を覚えておきましょう。[/box]
正の相関関係
コートを着ている数と飲み物の販売量の2つが、共に上昇しているので右肩上がりです。
負の相関関係
傘を差す人が増えても、雨が降れば外で遊ぶ子供は減ります。共に上昇していないので右肩下がりになります。
正の相関関係には寒さという因果関係が隠れています
負の相関関係は雨が降るという因果関係が隠れています
[box class=”red_box” title=”ポイント”]因果関係があるからといって、原因と結果が一致するとは限らない[/box]
つまりコートを着ている人が多いから飲み物が売れている、わけではないのです
需要供給曲線の移動要因
需要供給曲線の移動と要因を解説していきます。要因はすでに決まっているので悩む必要はりません。丸暗記すればOKです。
需要曲線上の移動
この需要曲線は右肩下がりなので負の相関関係になります
Aは価格40円の時に1000個売れた点。Bは価格20円の時に3000個売れた点です
この2つをつないだ線が需要曲線になります。これがもし右にシフトした場合を考えてみましょう
需要曲線の右シフト
点A⇒点A’:価格40円のまま需要量が増加
点B⇒点B’:価格20円のまま需要量が増加
このような需要量が増える時は、国民の所得が増えたと考ましょう。
それ以外にも要因はあります。
右シフトの要因
- 代替材の価格増加
いつもお米を買っていたが、お米が高いので代わりにパンを買った - 補完材の価格減少
セットで物を買ったので上昇した - 顧客の好みの変化
健康志向が高まり高い健康食を買った - 自然環境の変化
猛暑なのでビールが売れた - 人口変化
人口が増えれば需要が増える - 情報の変化
SNSで商品が拡散された - 資金の借り入れ可能
審査が緩くなり借金をして購入する
代替材とは、ある財の代わりになり、市場で競合している財の事です。財とはモノやサービスの事を言います。商品や生産物とも言う
例えばお米とパン、コーヒーと紅茶は競合しあっている食品です。どちらかの物価が高い、もしくは品薄でなかったなどの要因で買われる
補完材とは、車とカーナビのようにセット販売のことです。抱き合わせ販売とも言います
需要曲線の左シフト
点A⇒点A’:価格40円のまま需要量が減少
点B⇒点B’:価格20円のまま需要量が減少
需要が下がったのは、単純に所得が減ったと考えます。
それ以外にも考えられる要因。
左シフトの要因
- 代替材の価格減少
パンの価格が下落したのでお米からパンに変えた - 補完材の価格増加
車の価格が上昇したので、車が売れずカーナビも売れない - 顧客の好みの変化
健康志向が高まりダイエット思考になり減った - 自然環境の変化
涼しいのでビールが減少した - 人口変化
人口が減れば需要が減る - 情報の変化
SNSで商品の悪口が拡散された - 資金の借り入れ可能
審査に規制がかかり借金出来なくなった
供給曲線上の移動
供給曲線は右肩上がりなので正の相関関係になります。
20円の時に1000個、40円の時に3000個。3000個以上は40円じゃないと売りません。
なぜなら3000個を超えると価格コストが上がり損するからです
1000個の時に20円で売れたのは今ある環境で生産できたからです
供給曲線の右シフト
点A⇒点A’:価格20円のまま供給量が増加
点B⇒点B’:価格40円のまま供給量が増加
下にシフトしたと考えても良い
B’の3000個を20円で供給できたのは、今ある環境で生産できたからです。
右(下)シフトの要因
価格以外で供給量を増加させる要因を考えるより、コストを低下させた要因を考えます。
- 生産要素価格の減少
労働の賃金や、資本(機械)などの費用が下がった - 技術革新
技術革新が向上し安く作れるようになった - 自然環境の変化
適度な環境に恵まれ、豊作となった - 情報の変化
AIを使い無駄な量を生産しないようになった - 資金の借り入れ可能
借金をして設備投資など行うことができた
供給曲線の左シフト
点A⇒点A’:価格20円のまま供給量が減少
点B⇒点B’:価格40円のまま供給量が減少
上にシフトしたと考えても良い
3000個を40円で供給するのは設備資金が必要になったからです。
左(上)シフトの要因
価格以外で供給量を減少させる要因を考えるより、コストを上昇させた要因を考えます。
- 生産要素価格の上昇
労働の賃金や、資本(機械)などの費用が上がった - 技術革新
技術者などが退職し、生産が低下しコストが上がる - 自然環境の変化
適度な環境に恵まれず、豊作にならなかった - 情報の変化
AIが無駄な製品を作りコストを補うため価格上昇 - 資金の借り入れ可能
借金をして設備投資が行えず供給できなくなる
ここまでが需要供給曲線のシフト要因の解説です。
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市場はなぜ均衡を保つことが出来るのか?
市場均衡の成り立ちをワルラスとマーシャルの調整過程から学んでいきます。先に言葉を紹介。
市場均衡とは需要量と供給が等しい状態
安定とは、均衡状態に戻る力が働き最終的に均衡状態になる
不安定とは、 均衡状態に戻る力が働かず戻らない。
調整過程とは、安定であれば均衡に戻っていき、不安定であれば変化していく過程
ワルラス調整とは、値段が上がれば供給も上げる状態。生産や労働で需要を調整
ワルラス安定とは、過剰な需要や供給であっても安定の位置に戻ること
マーシャル調整とは、農作物や家畜産業のように値段が上がったからといって供給を調整できないことをいいます。なぜならすぐ量を変えることはできないからです。
超過供給の場合
[box class=”red_box” title=”ポイント”]供給曲線は正の相関関係となので、値段が高いと供給量も大きくなる。[/box]
もし価格が50なら需要は20ですが、供給は60になり40超過供給になります。
A→Bは60-20=40超過供給になり価格も50と高いので、値段を下げざるをえません
結局Cに戻ってしまいワルラス安定となります
超過需要の場合
[box class=”red_box” title=”ポイント”]供給曲線は正の相関関係なので、値段が低いと供給量も少なくなる。[/box]
もし価格が10なら供給は20ですが、需要は60になり40超過需要になります。
A→Bまで需要が40多いので、圧倒的な供給不足となり値段を上げざるを得ません
結局Cに戻りワルラス安定となります
このような原理で均衡に戻ってしまうのです。
ワルワス不安定の超過供給の場合
通常ではありえない特殊ケースを解説します。逆の右上がりの需要曲線と右下がりの供給曲線です
需要と供給が逆になっているので気をつけてください。
供給曲線は価格が上がれば供給が減る、価格が下がれば供給が増える。
需要曲線は価格が上がれば需要も増える
PeからP3に下がれば、価格が下がって超過供給となり需要も下がり二度とCに戻りません。これは特殊なケースなのでワルラス不安定となります
ワルワス不安定の超過需要の場合
これも原理は同じでPeからP2に上がれば超過需要となり、価格が上がり供給も下がるのでCに戻りません。これもワルラス不安定になります。
超過需要はかつて日本のバブル全盛期と同じです。
マーシャル安定
供給曲線は正の相関関係です
供給量がQ1に決まった時、点Aになるので価格はP1の供給価格になります
需要曲線が負の相関関係なので点Bとなり価格はP3となります
供給者はP1で売りたいのに、P3なら翌年から供給量を減らそうと考えます。供給量は調整されCになりマーシャル安定となります
マーシャル不安定
供給曲線が正の相関関係なので、供給量Q1が増えれば、価格P1も増え始めCには戻らずマーシャル不安定になります
供給曲線が正の相関関係なので、供給量Q2が少ないと価格P2も下がりCには戻らずマーシャル不安定となります
ここまでがワルラスとマーシャル調整のすべてとなります。
需要供給曲線移動を分析する
需要供給曲線の基本や要因パターンを理解できても、分析ができないと意味がありません。
価格変動した時に要因を判明出来るように、交点移動のパターンを把握しておきましょう。
需要曲線右斜め上シフト
右斜め上シフトは消費が拡大したので経済が活性しています
需要曲線左斜め下シフト
左斜め下シフトは消費が縮小したので経済が活性してない。
供給曲線右斜め下シフト
設備投資が無くても供給量を増やせるので利益を拡大できます。
供給曲線左斜め上シフト
設備投資しないと供給量を増やせないので利益を拡大できない。
需要曲線と供給曲線が同時シフト
消費者と生産者の市場が安定しています。
需要供給曲線は市場の分析です。シフト移動から経済の安定や企業の利益を分析できます。
供給は1つ生産した時にかかるコスト負担を考えて価格を上げます。このことを限界費用といいます。
限界費用に関する詳しい記事はこちら
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まとめ
相関関係と因果関係は別:相関関係があるからと言って因果関係があるわけじゃないので、関係性が同じになると解釈しない事
需要と供給のシフト要因は決まっている:要因のパターンは決まっているので深く悩む必要はない。
供給は生産者目線で考える:生産を増やせば設備投資が必要になるので資金を回収するために価格があがる