二部料金制の経済学を分かりやすく解説します

光熱費料金はどのようなシステムで成り立っているのか、そして独占市場特有の損失を防ぐためにかけられた価格規制とは

二部料金性の経済学を分かりやすく解説します

記事の内容

エネルギー産業の地域独占から電力自由化になった理由を解説します

独占市場になった理由

費用逓減産業の詳細と理屈をグラフで解説

自然独占における3つの価格設定

限界費用価格形成原理、平均費用価格形成原理、二部料金制の詳細とグラフを使った解説

二部料金システムが採用されている理由

独占市場や地域独占から自由化になったコンテスタビリティー理論

さらに競争を促すヤードスティック競争

これらを解説します

地域独占とは

ある特定の地域において、商品やサービスを提供する事業者が1つだけであり、需要者に選択の余地がない状態を言います

需要者は地域内で唯一の事業者からしか需要が出来ないので消費者は選択の余地がありません

つまり事業者は価格支配力を持つことが出来ます

価格を自由に設定できる

地域独占は、特定の地域には唯一の事業者であるが、全国的に見れば多数の事業者がいます

地域独占はある一定の地域だけに特化した独占なので地域独占と言います

東京都の地域独占3つ

  • 上下水道:東京都水道局・下水道局のみ
  • 家庭用電力:東京電力のみ(2015年まで)
  • 家庭用ガス:東京ガスのみ(2016年まで)

電力自由化やガス自由化までは、このように東京都を例にしても、1社だけで独占市場が続いていましたが、近年電力の自由化が注目を浴びるようになりました。その理由を解説しましょう

なぜ電力自由化になったのか

送配電線は大手の電力会社しか持っていません。送電は発電所から地域住民へ、配電とは地域から地域へ電力を供給することをいいます

この送配電線は大手の電力会社しか持っていないので、電力事業法により地域独占が認められたものです

よくよく考えてみると独占しているのは送配電だけで、電力の小売りや発電所の建設は、他の事業者でも出来るのです

大手電力会社に適正価格で送配電線を貸し出すことにより、電力供給社を増やし競争させれば、個人でも供給できるし、新規参入が増えます

これをコンテスタビリティー理論いいます。この理論の説明は後程します

この電力競争の仕組みは都市ガスにも応用が出来ます

ガスを送っている太いパイプ、これを導管部門と言いますが、これを適正価格で貸し出すことにより、他のガス供給社が参入できるようにしています

ガス事業も2017年に全面自由化されました

ただし、電力もガスも円滑に競争できるとは限りません。なので市場監視委員会が自由化の競争を監視しています

これが自由化になった理由です

ですが、なぜ今ままで自由化に出来なかったのか、それは独占市場になっていたからです

なぜ独占市場になったのか

電気事業を例に、独占になってしまった理由を3つ解説します

莫大な費用コスト

原発事業や液化天然ガスの供給というのは、最初の立ち上げコストが凄まじくかかります

原発産業などは億円規模ではなく、兆円規模でかかります。兆円と言われてもピンとこないでしょう

例えば、日本人口が仮に1億人だとしましょう。その1億人から1人頭1万円を投資してくれと頼まれたら、え!ってなりますよね

1000円なら、まだまーいいかぐらいですが、1万円になると躊躇します。それぐらい費用が掛かるのです

原発は安全面でも、リスク対策費用でも容易に出来るのもではなく、誰でも出来る市場ではないのです。その国々によっても規制があるので、簡単にはいきません

つい最近(2019年1月)日立がイギリスから原発事業を撤退しました。理由は上記に書いてある理由が全てです

エネルギー事業は誰でも参入できるものではない

インフラ投資が厄介

電気やネットなどの送配電の線は、電柱を見れば一目瞭然でわかるように、複雑に絡み合ってますね

これが他の事業者も配線したいとなると、線の束が増え蜘蛛の巣状態になり、どんだけ増やすんだよ!てなりますよね

重みで落ちてくる危険性も出てくるので配線は増やせません

そこで送電と配線にわけた線のみに限定させ、電力事業法により送配電線のインフラ設備を整えた業者しか使えないようにしたのです

政府が認めた事実上の独占市場が出来上がってしまったのです

分散できない理由

原発事業というのは、特定の場所に巨大な建物を建設することになるので、時間も費用も莫大にかかります

地域の幅を広げたいからと言って建物を移動できるかと言えば、できませんよね。ましてや建物は歩けません

仮に会社を分散したとしても、小さく分けているだけで、かえってコスト負担が増えてしまいよくありません

例えば、数社に分散してパワーを供給しても、1社の生産量は低下します。地域の消費者が増えると供給能力を上げるため、かえって費用が増えてしまい負担が増えてしまいます

この様な理由から、独占市場になってしまったのです。エネルギー独占市場の利点は2つです

  • 価格支配力が圧倒的に強い(自由に設定できる)
  • 国民や企業は否応でも頼らざるをえない

この2つを政府は規制しないと、電力会社の暴挙になり、大変なことになります。では政府はどのような規制にしたのでしょうか?

この規制のかけ方が二部料金体制につながります。使った分だけの料金と基本使用料の2つに分けられます

これから出てくる経済学の用語を理解していけば、二部料金制にたどり着きます。まずは費用逓減産業からいきます

費用逓減産業とは

費用逓減産業ひようていげんさんぎょうとは、利用者が増えれば増えるほど、生産量が増加し、長期平均費用が次第に減少する費用構造を持つ産業分野です

他企業が参入するかどうかを検討するので時間は長期で考えます。長期というのは固定費用がなく、すべては可変費用となります

全てが可変費用と言うことは、他の産業から人や機械を取り入れ、参入できることを意味します

費用に関する記事はこちらになります

限界費用と限界収入を理解すれば正しい受注判断ができる

2019年1月14日

逓減とは徐々に減っていくことです。逆に増えていくことを逓増といいます

分かりにくいのでグラフを使って費用逓減産業を説明します

費用逓減産業のグラフ

通常の費用曲線

通常の費用曲線と費用逓減産業の曲線

左図にあるように、長期平均費用は途中からU字型を描くように曲がっています

再び上昇しようとする起点X’で生産量が決まります

U字型には理由があり、利益の規模が関係しています

上記の記事にも書いてあるので再掲します

利益の規模とは、大量生産することにより1個のコスト負担を軽くすることです
身近で言えば、レストランなどで、食べ放題をしている店を見かけたことがあると思います
この方式にはまさに利益の規模が適用されていて、1個1個の注文を1人が作っていては、コストパフォーマンスが非常に悪いです
そこで、料理を大量に作っておけば、あとは提供するだけです。仮に1人が100人前の料理を作ったとして、それを100人が取り合えば、1対100となるのでコストパフォーマンスが上昇します
食べ放題はこのようにして、コストを下げているのです

https://gakureki-zero.com/marginal-cost/

ですが、一定量を越えると逆に費用は掛かってしまいます。これを規模の不利益といいます

コスト上昇の理由も引用します

ある一定までは大量生産でコストを下げることは可能です
ですが、生産量限界突破を試みるには、更に人、機械、原材料、資本、資金が新たに必要になり、コスト負担が上がってしまいます
どの企業でも最低限これだけという限界値があります。限界値を超えて生産するために費用がどんどん上昇していくのです

https://gakureki-zero.com/marginal-cost/

このようなコスト上昇は大企業に多く見られます

費用逓減産業の曲線

通常の費用曲線と費用逓減産業の曲線

次に右図にあるように、曲線が上から下に下がったまま上に上昇していません。これも理由を説明しましょう

例えば1兆円で作った事業をたった1人だけに使うのであれば、1人に対して1兆円の負担です

1000万人が使ってくれれば10万円、1億人が使ってくれれば1万円、毎月使えば1兆円の原発費用は回収できるのです

費用逓減産業は最初のコストは莫大にかかりますが、あとは自動で生産してくれるので、資源や人権費、管理系に費用が掛かるぐらいで、あまり他の事には費用はかからないのです

なので曲線は下の向いたまま上がってくることは無いのです

見方を変えると、低コストのまま産業が成り立つということは、技術が相当優れていないと出来ないということになります

自然独占とは

費用逓減産業において、当初は競争市場であったとしても、多くの客を囲い込み、大量生産する費用が低コストで供給できれば需要をつかむことが出来ます

そうなると競争市場であっても最終的には1社のみとなるので、自然独占となります

自然独占とは競争の結果おきてしまう現象です。ですが自然独占も良い事ばかりではなく、独占企業や独占市場のように、利益を独占することが出来ないのです

余剰の損失と言って、独占市場特有の利益の損失が発生するのです

詳しい記事はこちらになります

独占市場の需要曲線は価格差別でコントロールしている

2019年1月18日

利益の損失を回避するため、独占企業は値段を釣り上げようとしてきます

つまり独占を認めた上で価格規制の対策が3つ必要となるのです

  • 限界費用価格形成原理
  • 平均費用価格形成原理
  • 二部料金制

エネルギー事業はこのような産業であることを理解したところで、限界費用価格形成原理を解説します

限界費用価格形成原理

限界費用価格形成原理とは長期限界費用で価格が等しくなるような水準で価格規制することです

つまり長期で考えた場合、1ボルト生産するのにかかる費用と総需要の2つの観点から見た最適な資源配分で、需要と生産量を決めるのです

分かりにくいのでグラフで説明しましょう

2つの曲線が交わるAが消費者に最適なボルトを配分できるので、P円とQ個に決まります

政府は最適な資源配分が決定する価格で販売しろと規制がかかりました。仮にP円を1ボルト50円と仮定しましょう

ですがもう一つ問題があります。それは長期平均費用での損失が出てしまうのです

長期平均費用は総生産量にかかる総費用の割合です。つまり会社にかかる全ての平均費用で利益を考えた場合は、100円貰わないと割に合わないのです

平均費用を仮に100円としましょう

分かりにくいのでグラフで説明しましょう

限界費用価格形成原理2

点Aのラインで上に上がると平均費用曲線にぶつかり点Bになります。この点AとBの高さ分、マイナスの利益が生じてしまいます

電力会社は50円で売っても1ボルトの平均費用は100円かかってしまうので、マイナス50円の赤字になります

使えば使うほど最適にボルトは配分されるが赤字も拡大する

そこで政府は赤字のマイナス分を補助金という形で補う事にしました。ですが政府の補助金は莫大に膨れ上がるのでよくありません

次に平均費用価格形成原理を解説します

平均費用価格形成原理

平均費用価格形成原理とは平均費用で価格が等しくなるような水準で価格規制することです

つまり長期で考えた場合、1ボルト生産するのにかかる平均費用と総需要の2つの観点から見て需要と生産量を決めるのです

分かりにくいのでグラフで説明しましょう

平均費用価格形成原理

2つの曲線が交わる点Aが消費者に提供する平均的な費用となり、P円とQ個に決まります

ですがもう一つ問題があります。それは点Aよりもまだ生産量は増やせるのに、横軸に増やそうとすると、点Aから外れるので増やせません

つまり利益の損失が出てしまうのです

分かりにくいのでグラフで説明しましょう

平均費用価格形成原理 2

点Aと最適な資源配分の点Bの三角地帯だけ利益の損失がどうしても出てしまうのです。これは先ほど説明した独占市場特有の余剰の損失です

平均費用と同じ価格で売り出すので平均費用1ボルト100円なら100円で売り出すので、マイナスの赤字は出ません

つまり政府の補助金は必要ないのです。このように補助金が要らない状態の事を、独立採算と言います

ですが利益は0で増えませんし、最適に資源も配分されませんので、この価格規制もあまりよくありません

この2つの問題を上手く解決し、最適に配分したやり方が二部料金制です

二部料金制

二部料金制とは、重要量に関係なく支払う基本料金と、需要量に応じて払う従量料金の2本柱の料金設定です

エネルギーを最適資源配分ができ、コスト負担の赤字を上手く補うには

  • 使った分だけ払う
  • 基本料金を設定する

この2つを解説します

使った分だけ払う

これは最適資源配分がちゃんと適応されている限界費用価格形成原理です。使った分だけ払うので、余分な利益も出ないが余計な費用も出ません

ですが限界費用価格形成原理の欠点は利益がマイナスになることでした。マイナスになるので価格を上げてしまうと、消費者は逃げるので需要量が減ってしまい価格を上げることが出来ません

基本料金を設定する

平均費用価格形成原理の平均価格1ボルト100円で売り出せと規制されているので、利益は出ません

基本料金を採用すると、政府の補助金が必要ないとなるので、独立採算を採用することになります

限界費用価格形成原理の規制は赤字になり、政府が補助金を出すと莫大な金額になるので、赤字を国民に負担させる方法が基本料金制です

使っても使わなくても基本料金は徴収されてしまいます。

このやり方で2つの問題は解決できるようになりました

もし価格を規制しなかったら、自由な価格で売り出され、たまったもんじゃありません。ですが適正価格の規制にすると赤字になります

二部料金制にすることで、エネルギー事業はバランスを保っているのです

エネルギーに限らず、二部料金体制をとっている事業者は全てこのような理由があると考えて構いません

携帯料金もそうですし、ガスも水道もそうです

今後のエネルギー事業

エネルギー事業の自由化が本格化してきました。このような背景には、何があるのでしょうか?

独占市場から競争市場にするために何をやったのかを説明します

自由化の背景

今や太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電など技術の進歩により、エネルギーの生産方法が開発されています

独占市場というのは、競争相手がいないので質も上がらなければ、価格競争も起きません

しかも経済学では測れない非効率も生じます。非効率とは作業のスピードが遅くなるとか、やる気が無くなるなど数字化できない非効率が出てきてしまいます

この非効率をX非効率といいます

政府は競争市場にするためにコンテスタビリティー理論を採用することにしたのです

コンテスタビリティー理論

コンテスタビリティー理論とは、巨額な設備が必要で、自然独占や寡占になっている市場でも、巨額な既存設備が売買可能、賃借可能で投資資金を回収可能であれば、競争が働くので独占企業といえどプラスの利潤を得ることが出来ないという考えです

この理論を政府は採用することによって競争市場にしたのです

電気、ガス、水道、通信などは今後競争市場になります

格安スマホなどが続々と出てきているでしょ。あれは政府がNTTなどに適正価格で電波配線やネット環境を貸しなさいと規制をかけているのです

参入業者は安く設備を借りられるので参入しやすく、かつ最初のインフラ設備の投資がいりません

初期投資がないので、格安スマホと宣伝出来るのです

ヤードスティック競争

ヤードスティック競争とは、地域独占企業の費用構造を比較して、世間の監視にさらすことにより、費用削減を促すことです

携帯事業などをみると、料金比較が分かるようになっています。つまりライバルや顧客に晒すことにより、企業意欲を高め競争させようというわけです

寡占市場の競争に関する記事はこちらです

ゲーム理論とナッシュ均衡は価格競争を起こす

2019年1月17日

このようにマーケットには、経済学でみる市場原理が働いています

今後技術革新などにより、コスト負担は更に削減できるようになるでしょう。昔は通信網も銅を使っていました

銅は高いわりに、通信情報があまり多く伝達出来ず、コスト負担が大きくなっていましたが、光ファイバー網が開発されたことにより、ネット料金も安く、使い放題になりました

時代の変化=技術革新で変化しているのです

まとめ

二部料金制は、事業者の赤字負担を補うために基本料金が設定されている

最適資源配分を行うために、使った分だけの料金になっています

エネルギー事業は初期投資が莫大な費用なため、簡単に参入できない

コンテスタビリティー理論を用いる事で、市場競争を起こしている

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