限界費用と限界収入を理解すれば正しい受注判断ができる

限界費用と平均可変費用をしっかり理解していれば、正しい受注判断が出来るようになります。その手法を学んでいきましょう

限界費用と限界収入を理解すれば正しい受注判断ができる

記事の内容

受注を度外して注文を取る原因

平均収入と限界収入の違い

仮の完全競争市場で考えます

限界費用、可変費用、平均可変費用、限界利潤、限界分析などを解説

限界費用や可変費用、平均可変費用の表やグラフの見方

限界分析での受注判断するデッドラインの見方

正しい判断が出来るようになるための工夫を解説

これらを解説します。

受注を判断するために

受注生産を判断するには、様々な視点からの判断が必要になります。利益拡大のために、むやみに受注すると会社が大打撃を受けます

正しい判断が出来るようになるために 経済学の収入と費用、平均と限界を学んでいきましょう

度外視して注文を取る原因

まず4つあります。見ていきましょう

1:他の案件との関係

その会社とは色んな取引があり、実は他で儲かる案件をやってるから、この案件引受けてくれないかな、と引き受ける案件

実際、単体の注文だと自社にとっては儲からない案件であっても、全体で見れば儲かる案件もあるので、しょうがないからやろう、的な案件です

ITのシステムプロジェクトに多いケースです。全体での利益最大化を目的とした案件です

2:売上高最大化仮説

これは最低限の利益を確保した上で、売上高を最大化することです

勘違いしてほしくないのは、最低限の利益が確保が出来れば赤字になっても良い、というわけではありません

ちゃんとした理由があり、売上最大を達成する時というのは、ある意味ライバルに勝つということです

ライバルに対して信用力が出てくると、結果売上が上がるので、長期的な利益を最大化するための短期的な戦術となるのです

3:利益の規模と経験効果

利益の規模

利益の規模とは、大量生産することにより1個のコスト負担を軽くすることです

身近で言えば、レストランなどで、食べ放題をしている店を見かけたことがあると思います

この方式にはまさに利益の規模が適用されていて、1個1個の注文を1人が作っていては、コストパフォーマンスが非常に悪いです

そこで、料理を大量に作っておけば、あとは提供するだけです。仮に1人が100人前の料理を作ったとして、それを100人が取り合えば、1対100となるのでコストパフォーマンスが上昇します

食べ放題はこのようにして、コストを下げているのです

経験効果

工場など生産過程において、経験などをつみ、技術などが上がっていけば、生産を有利にすることが出来ます

今の中国や東南アジアがそうです

商品の質が向上し、経験値も上がり、質の高い商品を作っていくことができます

ですが経験を積んだからと言って、コストパフォーマンスが向上するのは別問題です

4:利益が増える。と謝った判断

今回、この4つ目が一番問題になる話です。架空会社の会話形式で解説していきます

今回モデルになっていいただいたのは、馬をこよなく愛するロイホさんです ありがとうございます。彼のブログはこちらろいほのわがままブログ

ろいほ
2018年有馬記念見事当てました。どんなもんじゃ

この案件は受注すべきか

ウマーズ電子会社は、パソコン電子部品の大手のメーカーである。近年では、そこそこの生産量であるものの、下落が止まらない業績は、相変わらず変わらないままであった

そんな中、営業部より知らせを受け、国内からの受注案件があるとのことであった

  • 1つ目はアマソンのスマホ部品。受注個数は800個の価格1100円
  • 2つ目はグーゴルのスマホ部品。受注個数は1000個の価格990円
ラフㇿ営業部長
ウマーズ会社に大手の受注案件が来た。2つあるのだが、両方受けるのは厳しい。どっちか1つにしたい
ろいほ工場部長
今受けているだけでも、生産ラインギリギリなのに、人手不足でこの上、更に受注を受けるのは無理だ
ラフㇿ営業部長
これはウマーズにとってはチャンスだ‼残業やってでも利益を確保すべきだ
ろいほ工場部長
わかってないな!残業で生産量を増やしても、社員は疲労し、毎日続くとミスや社員の過労で休む人間が出てくる。今受けている案件自体が危なくなる
ラフㇿ営業部長
過去の生産統計から1個追加した時の平均費用はいくらになる?
ろいほ工場部長
1個の生産を会社全体の利益から割出すのは不可能だ。過去の統計から1万個を大まかに割り出しても、1個の生産にかかる費用は
  • 平均固定費が500
  • 平均可変費用が1000
  • 合わせて平均費用が1500になる
ラフㇿ営業部長
1個当たりにかかる平均可変費用が1000なら、アマソンの1100円から1000円を引いても100円の利益が出る。利益の規模や経験効果もあるし、受注すべきだ

グーゴルの990円では、どう考えても採算は取れないので無理だ

結論からいいますと、実は1個の生産で受注を考えるのは非常に危険です。このような間違った考えで営業をしている企業は多いのです

工場、IT産業、金融、教育関連が特に注意です

2馬の会話は埒が明かないので、ひとまずほっておいて、まずは収入の面と完全競争市場から見てみよう

平均収入と限界収入の違い

平均収入とは、1個当たりの平均の収入です(AR: average revenue)

1万個生産して100万円で売れた場合は、100万÷1万=100円 一個当たりの平均収入は100円となります

限界収入とは、生産量を1個増やした時の総収入の増加分です(MR: marginal revenue)

総収入(TR: total revenue)とは、収入の合計です

完全競争市場の中の価格

需要者と供給者は常にプライステーカーということです。プライステーカーとは市場で決まった価格設定を受け入れるだけの存在ということになります

見方を変えれば、どれだけ生産しても常に一定の価格で買い取ってくれます

市場では価格は常に一定の値段

仮に市場価格が100円だとすると、価格は一定なので、限界収入も平均収入も市場価格では100円ということになります

限界収入=平均収入=市場価格

完全市場価格で考えよう

市場価格というのは、現実には価格が一定ではありません。場所や顧客、量などによって一定になりません

市場価格が不安定だと限界費用と平均収入が割出せません。市場の業者は膨大な数なので、市場にはこの2つしかない、という条件で進めていきます

  • アマソン 800個:1100円
  • グーゴル 1000個:990円

アマソンに供給できる最初の量は800個 限界収入1100円  801個目から限界収入は1個につき1100円得ることになります

グーゴルに供給できる最初の量は1000個 限界収入990円 1001個目から限界収入は1個につき990円得ることになります

ここで平均収入を割出してみましょう

(800個×1100)+(1000個×990)=1,870,000円となり

平均収入は1,870,000÷1,800個=1,039円

平均収入は1039円になり限界収入の1100と990とは一致しなくなります

プライステーカーの目線で考えても、1039円が市場価格の平均になるので、990を受注すると損することになります

ウマーズの会社でも、グーゴルの990円では採算は取れないので、受注は出来ないと判断しています

1100円だと平均価格よりも上なので、アマソンを受注したほうが良いということになります

あとはウマーズの会社で受注すべきかどうかになります。コスト負担が問題の接点になっているので、費用を見ていこう

費用の種類

可変費用(VC):生産量とともに変わる費用

固定費用(FC):生産量に関わらず一定の費用

平均費用(AC:average cost)=総費用÷生産量

平均可変費用(AVC:average variable cost)=可変費用÷生産量

平均固定費用(AFC:average fixed cost)=固定費用÷生産量

一番重要な費用は限界費用です

限界費用(MC:marginal cost)生産量を1個増やした時の総費用の増加分

企業が考える費用の考え方

基本的に企業というのは、総収入-総費用=利益となるので、個別注文に関しては限界の注文で考えます

限界とは1個増やした時の収入や費用のこと

つまり限界費用で考えると、1個追加した時に利益があるかどうかを考えます

ですが現実には、ほとんどの企業は限界費用で利益は考えないのです。なぜかというと、会社全体の利益の中から1つの生産の費用などわかるわけがないからです

なので平均可変費用を用いて考えるのですが、このような考えが一番の問題点なのです

限界費用と平均可変費用1の表とグラフ

限界費用が変わらないパターンです(限界費用が一定)

限界費用と平均可変費用1

計算は、生産量の1は、限界費用10、可変費用10、平均可変費用10となります
生産量の2から計算が変わります

可変費用の10と生産量2の限界費用10を足すと可変費用は20となります

可変費用20を生産量の2で割ると平均可変費用10となるのです

基本的にこの順番で計算すれば平均可変費用は割出せます

限界費用が一定

平均可変費用は10のままなので、一定の一直線となります

限界費用と平均可変費用2の表とグラフ

限界費用が段々増えるパターンです(限界費用逓増)

限界費用と平均可変費用2


計算は、生産量の1は、限界費用10、可変費用10、平均可変費用10となります
生産量の2から計算が変わります

可変費用の10と限界費用20を足すと可変費用は30となります

可変費用30を生産量の2で割ると平均可変費用15となるのです

平均可変費用20も同じ順番でやれば割り出せます

限界費用逓増

限界費用MCが先に上に上がり、平均可変費用AVCは遅れて上がってきます

限界費用と平均可変費用3の表とグラフ

限界費用が段々減るパターンです(限界費用逓減)

限界費用と平均可変費用3

計算は、生産量の1は、限界費用50、可変費用50、平均可変費用50となります
生産量の2から計算が変わります

可変費用の50と限界費用40を足すと可変費用は90となります

可変費用90を生産量の2で割ると平均可変費用45となるのです

平均可変費用40も同じ順番でやれば割り出せます

限界費用MCが先に下に下がり、平均可変費用AVCは遅れて下がってきます

限界費用と平均可変費用4の表とグラフ

限界費用が上下するパターンです(限界費用U字型)

限界費用と平均可変費用4

平均可変費用の割り出し方は同じなのですが、途中から限界費用が上がるパターンです

生産量4から限界費用が60、70、90、120と上がっています

限界費用U字型

限界費用は4つ目を境に上がり始め、平均可変費用は6つ目を境に徐々に上がり始めます

限界分析とは

利潤最大化するため、個別注文にかんしての考え方は、限界費用や限界収入で考えるべきだ、というのが限界分析の定義です

限界収入-限界費用=限界利潤。このような考え方を限界分析と言います

限界の利益を限界利潤(Mπ:エムパイ)といいます

限界分析のグラフ

限界分析のグラフ

通常経済学というのはU字型のケースを考える。単純化のため限界収入MRは常に一定の価格で市場は買い取ってくれると仮定します

この場合MRが160円です。なので線は一直線です

限界分析の表1

限界利潤の表

黄色の部分が生産できる部分です。8個になると利潤は0になります。上のグラフと見比べてみてください

なので7個で止めないといけません

限界分析の表2

限界分析の表2

9個まで生産してしまうと、限界費用を越えて-50の赤字になります

限界分析のグラフ

限界分析デッドライン

限界分析デッドライン

最低でも8個で止めないと危険です。8個を過ぎると赤字が拡大し経営が悪化します

実は日常の仕事でも、このようなことは頻繁に起こっていて、労働時間を減らす方がかえって利潤が増えるなんてこともあるのです

限界収入と限界費用の比較

限界収入MR>限界費用MCであれば
限界利潤はMπはプラスとなり、利潤が増加するので生産続行

限界収入MR=限界費用MCであれば
限界利潤はMπは0となり、利潤は変わらないので生産しなくてもよい

限界収入MR<限界費用MCであれば
限界利潤はMπはマイナスとなり、利潤が減少するので生産中止

限界利潤の問題点

限界収入に関しては、追加注文を受けた際の単体なので、値段を見れば分かるので問題は無い

厄介なのが限界費用です。仮に1つ追加しても全生産費用がどれくらい増えたのか、なんてわかるはずがない

例えば、会社の全生産費用100として、1つ追加しても、それは100.1なのか、100.0001なのか100.001かなんて割り出すのは不可能です

企業は限界費用を割出せないので、代わりに可変費用÷生産量で平均可変費用を割出して受注判断している

政府も国の予算費用を割出す時は、平均可変費用で予算を決めています

ここまでが費用の考え方です。

ウマーズの限界分析

今度は今まで出てきた、限界費用、平均可変費用、可変費用を使って限界分析をしてみましょう

もし実際に生産してみた時の限界分析の表です

工場の限界分析の表

表を見てわかるように、利潤が最大化する生産量は6000個になります。限界費用も一番780と少ないです

ですが6000個を越えたあたりから、限界費用は上がっており、10000個の時には1200になっています

そして平均可変費用は1000になっています

会話をもう一度振り返ってみよう

ろいほ工場部長
1個の生産を会社全体の利益から割出すのは不可能だ。過去の統計から1万個を大まかに割り出しても
  • 平均固定費が500
  • 平均可変費用が1000
  • 合わせて平均費用が1500になる
ラフㇿ営業部長
平均可変費用が1000なら、1100円から1000円を引いても100円の利益が出る。利益の規模や経験効果もあるし、受注すべきだ

確かにろいほ工場部長の言う通り、平均可変費用は1000になっています

上の表は実際に生産してみた時の表であり、会話をしているときでは、まだ生産していません

平均可変費用も過去の統計から割出した数字です。1000を超えているならやるべきというのは大きな間違いになります

なぜ間違いになるのか検証してみましょう

平均値で判断してはいけない

先ほど、ろいほ部長が言ったように、1個の限界費用を会社全体の利益で割出すのは無理です。他種様々にある事業の中から、部品たった1個だけ割出すのは容易な事ではないことは、理解していただけると思います

なので企業も過去の統計から、平均費用を割出し、生産体制が整うか検討します

ですが、あくまでも仮の話であり、利益が絶対確保できるわけではありません

その理由としては

  • コスト削減が出来るか実際やってみないと分からない
  • 技術面での負担は数字で表せない
  • 労働者の精神負担は計算できない
  • 製造過程の不良品もどれぐらい出るかわからない
  • そもそも大量生産が可能かわからない

会社はこのようなコスト負担を考えず、利益拡大だけを考え、受注判断するので会社は思わぬ業績悪化を強いられるようになる。しかも動き出すと簡単に生産を止められない

平均値で受注判断は絶対危険

重要
ほとんどの企業が平均を割出し、受注しているので危険

このような判断を繰り返すとブラック企業になってしまうのです

仮に判断を誤り、実行していたとしたらどうなるのか見てみよう

もし判断を誤ったら

もし実際に生産していたら、の仮定の表です

営業部長の言う、1万個生産の平均可変費用は1000です。この数字をあてにして、生産すれば限界費用は1200となり受注価格1100を超え、赤字になります

1個の生産コストが

限界収入1100-限界費用1200=限界利潤-100となり打撃を受けます

更に儲かると勘違いし、生産を増やすと、限界費用は1200⇒1500⇒2000とドンドン赤字は拡大します

実際の従業員からしたら残酷な話です。自分たちは利益確保しようと残業しているのに、じつは事業を悪化させているなんて気付きもしません

しかもたちが悪いのは、社員も経営者も営業部長も、誰も気付かないことです

これは、実際に生産してみたらの話であり、仮なので現実に2馬が話してる段階では分からない

では、どのような判断をすればよいのか?実はちょっとした工夫をすることで判断出来るようになります

正しい判断をするために

正しい判断をするために、平均可変費用+αの分析で考える。では会話に戻りましょう

ろいほ工場部長
すでに工場は生産ラインがギリギリであり、新規注文を受けるには
  • 残業手当200円をアップする
  • 残業が継続すると、疲労などにより、不良率が上昇するので、コスト負担100円追加
  • 残業で出来る生産ラインは1000個が限界
ラフㇿ営業部長
つまり、限界費用は
平均可変費用が1000+300となり=1300となるから
ラフㇿ営業部長
1100-1300=-200となるので、受注すべきではないということだな
ろいほ工場部長
そのとおりだ。受注する時には平均可変費用+疑似費用を想定しコスト負担を考えたほうが良いのだ
経済学を勉強していた私の知識が生きた
ろいほ工場部長
会社は社員がいての組織だ。その労働者を利益拡大のために犠牲にはできない。無理な受注は受けるべきではない

判断には疑似費用を盛り込んで考えること

この疑似費用は工場に限った事ではないので、色々な業種で取り入れて考えてみると良い

限界費用はなぜ変動するのか?

生産過程において、店や工場、農家まだ他にもいっぱいありますが、ある一定までは大量生産でコストを下げることは可能です

ですが、生産量限界突破を試みるには、更に人、機械、原材料、資本、資金が新たに必要になり、コスト負担が上がってしまします

どの企業でも最低限これだけという限界値があります。限界値を超えて生産するために費用がどんどん上昇していくのです

まとめ

限界とは1個生産する費用や収入の事

市場価格の平均収入を考慮し、判断する

限界費用は限界利潤を超えないよう限界分析をすること

過去の統計からの平均費用などで、受注を容易に判断してはいけない

疑似費用を付け加え、正しい受注判断をすること

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