外部経済と外部不経済からピグー政策の在り方を理解します

外部経済と外部不経済にピグー政策を適用するだけで、市場の効果は格段に上がります。市場均衡を最大化するために行う方法とは何か

外部経済と外部不経済からピグー政策の在り方を理解します

記事の内容

外部経済と外部不経済の概要を解説

世界で発生している外部不経済の問題点や、それに対して行われている対策

外部不経済と外部経済に関する用語とグラフを使ってわかりやすく最適資源配分を解説

2つの市場を効率の視点と余剰最大化、余剰損失をグラフを使って理論的に解説

ピグー税とピグー補助金のメリット・デメリットの説明

コースの定理の条件とその問題点

これらを解説します

外部不経済とは

国民経済に外部からの要因で害を受けることです。需要と供給における取引以外の第3者からの悪影響を及ぼすことを言います

公害や工場などの廃棄物による害、最も身近に感じるタバコなども外部要因の悪影響と言えます

肺がんリスクが高まり、喫煙者よりもむしろ禁煙者のほうが害を被っている、つまり外部不経済になることから、健康保険で負担すべきではないのか?

このような問題が起こってしまいます。ですがタバコや公害だけでしょうか?実は身近に大きな問題があるのです

地球温暖化現象

地球温暖化とは聞いたことがあると思います

我々が排出する二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが、過剰な排出や蓄積から大気中の温室ガスの濃度が上昇し、大気の温度が上昇します

結果、山や氷河などの氷が溶け、海面が上昇し、低地域の土地などは水没してしまう現象の事を言います

モルディブのような海面に近い国が消えると言われています

図の統計データーは今の現状を表しています

温室ガスと排出量のグラフ
https://www.jccca.org/chart/chart01_03.html 全国地球温暖化防止活動推進センター
アクセス2019/8/26
二酸化炭素の経年推移
https://www.jccca.org/chart/chart01_04.html 全国地球温暖化防止活動推進センター
アクセス2019/8/26

気付いていない方が多いのですが、過剰な暑さや寒さになるとエアコンをつけっぱなしで日常を過ごすでしょ

そうするとガスが外部に排出されるので悪影響を及ぼしてしまうのです。近年、温暖化の要因は、このエアコンが排出するガスだと言われています

夏になると過剰に暑くなり、世界各国で異常な暑さが記録されていますが、これが原因です

日本がガス排出を抑えましょう、と世界に提起しましたが何か知っていますか?

京都議定書

先進国全体の温室効果ガスの排出を2008年から2012年までの期間に、基準となる年の5.2%を削減しましょう、とした定義書です

各先進国に温室効果ガスの排出量削減を設定します

実は先進国でガス削減を呼び掛けたのは日本が初めてなのです。日本は1990年比でマイナス6%を削減しています

ですが途上国やアメリカは不参加となりました。この途上国というのがインドと中国です

気付いたかもしれませんが、インド中国は経済成長真っただ中です。経済成長を減速するような呼びかけには都合が悪いわけです

そこで日本は非常に経済合理性のある制度を導入します

排出権取引制度

排出量規制を前提に排出量枠を設定し、排出量が少なかった時に、残り枠を他国や企業に市場で売買できる制度です

例えば日本が毎年100%排出しているが、がんばって10%の削減に成功した。そこで残りの90%枠を売るのです

逆に排出量が多い国は、設定枠以上を持っていないので、日本などのような10%の空きがある枠を買い取り、その10%の中に排出しよう、ということです

極端に言ってしまえば、どこの国で削減しようと地球全体の排出量が減ればそれでいいわけです

日本などは排出費用が高いのです。なぜなら排出規制が厳しいからです。ガス削減は各企業が極限までやっているのでこれ以上の削減は逆に難しくなるのです

費用が高い国は排出権を買い取り、ロシアや中国のような排出量が多い国は費用が安いので、削減して排出量を売ればいいのです

ですが近年、ヨーロッパや中国もそうですがガソリン車の廃止を目標として政策を進めています

日本はまだやっていませんが、電気自動車や水素自動車に関しては、他国よりも技術は先を走っています

ガソリン規制をかけなくても、自然にガソリンを使わない燃費の良い自動車が出来るのでは?と個人的に思っています

さらに京都議定書の後継者がでてきました

パリ協定

京都議定書に続く地球温暖化の国際的な枠組みです

目標設定は、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度より低くし、1.5度に抑える努力をすること

出来る限り早いスピードでガス排出量を抑え、21世紀後半にはガス排出量と森林の吸収量のバランスを取りましょう、という目標です

一律の規定はなく、各国が国情に応じて自主的に削減を行ってください、という決まりです

2023年から5年ごとに実地状況を確認して、結果からさらに削減してください、というものです

協定は発行から3年後に離脱可能となります。目標が不完全でも特に罰則はありません

実は難点もあり、各国の基準で決めているので削減量が分かりにくいという問題もあります

意外だったのが、途上国のような中国やインドも参加してきたことです。アメリカは当然のように不参加です(2019/8/26)

このように経済に悪影響を与えているガスは外部不経済になるのです

外部不経済の概要は分かったけど、具体的な詳細が分からない、と言う方に外部不経済のキーワードとなる用語とグラフを使って解説します

私的限界費用と社会的限界費用

用語の持つ意味を理解しておきましょう。グラフに出てきます

外部費用
第3者に与えている悪影響のことです

限界外部費用
害を与える生産を1つ追加した時にかかる費用のことです
(MEC:marginal external cost)

私的限界費用
企業が負担する外部費用
PMC:private marginal cost)

社会的限界費用
社会全体で負担する限界費用
SMC:social marginal cost)

通常、社会限界費用というのは、私的限界費用のことになるのですが、外部不経済が生じている場合は違います

社会的限界費用=私的限界費用+限界外部費用=外部不経済

ではグラフで解説します

PMC私的限界費用に外部からの要因であるMEC限界外部費用を付け足すことで、SMC社会的限界費用となります

社会的限界費用

限界外部費用は一定とします

企業というのは自社の利益の最大化を考えます。最大化になるためなら、外部への配慮も害も考えません

自社の限界費用で売れればそれで良い、となるので公害の供給が止まらなくなるので外部不経済はさらに活性化していきます

各企業が出す害を全て付け足すと、社会的限界費用となるので、外部不経済が成立します

そうなると市場の均衡が変化します。グラフを使って解説します

外部不経済の市場均衡

外部不経済の均衡は変化します。PMCは自社の利益だけを追求しているので外部に対する害は全く考えていません

つまり社会全体の均衡から外れた費用となります

市場均衡

PMCと需要曲線Dの交点が企業にとっての利益になる点Eになります。その時はP1円とQ2個になります

ですがよく見てみると、SMCのラインから大きく外れています。SMCは社会全体の費用です

最適な資源配分が実現されるのはE’となるので、P2円とQ1個にならないといけないのです

つまり余剰利益と効率の視点から外れ、余剰損失が発生していることになります

効率の視点

市場均衡

E’が社会全体の望ましい費用です。この時P2とQ1となります

Eの点だとP1とQ2となり、価格も大きく下落し、必要のない過剰な生産をしていることになります

E’のような社会全体にかかる費用が最適に配分されていないことになり、効率が悪いとなります

余剰利益

E’点が効率的に望ましいとなり、社会全体が得る利益も最大となり、必要な費用で必要な個数分を、適正な価格で市場取引していることになります

余剰利益

オレンジで囲まれている部分が社会が得る最大の利益になります

余剰損失

E’からEまでの間で生じる損失の事です。三角形E’EFが余剰損失となっているのです

余剰損失

例えば市場取引価格P2を150円としましょう。Q2個生産した時の費用Fが200円とします

費用が高くなるのでマイナス50円の損害が出ているのです。つまり点E’を越えて生産したばかりに、必要のない費用と過剰な生産をしてしまったのです

このように外部不経済は、余剰損失や効率の悪さが生じてしまうので、これを何とかしようと、ピグーという学者が対策を考えます

ピグー税

ピグー税とは限界外部費用 t 円だけ、1個生産するごとに課す課税の事です。PMCに限界外部費用を付け足すことによって、強制的にSMCに引き上げます

この図がそうです

社会的限界費用

悪い影響を与える外部要因に税金をかけ、最適資源配分を実現させるということです

グラフで解説します

PMCにピグー税を課すことによってSMCのラインになり、E’となるので最適な資源配分が実現します

ピグー税も良い事ばかりではありません

ピグー税の問題

社会はまず、悪い公害や汚染物質などを削減することから考えます。そのままにしておくと国民の生活に支障が出てくるからです

ですがピグー税は、悪い外部要因に課税することなので、この要因が削減されると課税対象が無くなるのです

次に、外部要因があると判明したところで、その外部要因に税金の値段を適正に付けられるのか?という問題があります

悪いといってもどの程度のレベルなのかわかりません。税金をかけるにしても、それなりの問題もあるのです

これの真逆が外部経済となります

外部経済

外部経済とは、国民経済に外部からの要因で良い影響を受けることです。需要と供給における取引以外の第3者からの良い影響を及ぼすことを言います

桜の季節になると花見が多くなるので、施設貸出や消費が活性化します。経済に良い影響を与えていることになります

外部経済の概要はこれぐらいで十分なので、グラフと用語で解説します

私的限界費用と社会的限界費用2

外部不経済とはちょっと読み方が違っているので、気を付けてください

外部便益
第3者に与えている良い影響のことです

限界外部便益
利益を与える生産を1つ追加した時にかかる費用のことです
(MEB:marginal external benefit)

私的限界費用
企業が負担する外部費用
PMC:private marginal cost)

社会的限界費用
社会全体で負担する限界費用
SMC:social marginal cost)

社会的限界費用=私的限界費用-限界外部便益=外部経済

外部経済の場合は、社会限界費用=私的限界費用のことになるのですが、良い環境を与えた分、引かないと成立しません

グラフで解説します

限界外部便益

企業が負担する費用が100円だとします。それが国民に良い影響(限界外部便益)を与えている効果が20円だとします

100円から20円を引いて、企業の費用は80円になります。これをグラフで表すとPMCのラインから限界外部便益を差引いて、SMCの費用になります

企業というのは自社の利益の最大化を考えます。最大化になるためなら、外部への配慮も便益も考えません

自社の限界費用で売れればそれで良い、となるので便益の供給が止まらなくなるので外部経済はさらに活性化していきます

各企業が出す利益を全て付け足すと、社会的限界費用となるので外部経済が成立するのです

そうなると市場の均衡が変化します、グラフを使って解説します

外部経済の市場均衡

外部経済の均衡は変化します。PMCは自社の利益だけを追求しているので外部に対する便益は全く考えていません

つまり社会全体の均衡から外れた費用となります

外部経済

PMCと需要曲線Dの交点が企業にとっての利益になる点Eになります。その時はP2円とQ1個になります

ですがよく見てみると、SMCのラインから大きく外れています。SMCは社会全体の利益です

最適な資源配分が実現されるのはE’となるので、P1円とQ2個にならないといけないのです

つまり余剰利益と効率の視点から外れ、余剰損失が発生していることになります

効率の視点

外部経済

E’が社会全体の望ましい利益です。この時P1とQ2となります

Eの点だとP2とQ1となり、価格も大きく上昇し、必要な生産をしていないことになります

E’のようなに社会全体にかかる利益が、最適に配分されていないことになり効率が悪いとなります

余剰利益

E’点が効率的に望ましいとなり、社会全体が得る利益も最大となります。Eだと必要な個数分を適正な価格で市場取引していないことになります

オレンジで囲まれている部分が余剰損失を除いた最大の利益になります

余剰損失

余剰損失2

例えば市場取引価格P2を200円としましょう。Q1が10個と仮定すると
200×10=2000となります

E’だとP1を150としましょう。Q2が20個と仮定すると
150×20=3000となります

つまり社会全体の利益で考えると、3000円の利益のはずなのに、自社利益だと2000なので-1000円の不利益が生じてしまいます

-1000こそが余剰の損失となるのです

これを最適な効率と余剰損失を防ぐためにピグー方式を導入します

ピグー補助金

ピグー補助金とは、限界外部便益S円だけ、1個生産するごとに補助金を支給することです

PMCに限界外部便益の補助金を付け足すことによって、強制的にSMCに引き下げます

この図がそうです

限界外部便益

良い影響を与える外部要因に補助金を支給し、最適資源配分を実現させるということです

PMCにピグー補助金を支給することによってSMCのラインになり、E’となるので最適な資源配分が実現します

余剰分析に関する詳しい記事はこちらになります

効率性と公平性の観点から最適資源配分や平等を考える

2019年1月21日

ピグー補助金の評価

私立学校への補助金やエコカー減税などの根拠は、ピグーの理論で成り立っています

例えば、学校教育が立派になれば卒業した生徒は、社会貢献や社会の教育に良い影響を与えるだろう。このような考えから補助金支給は成り立っています

次に、仮に外部要因があると判明したところで、その外部要因に補助金の値段を適正に付けられるのか?という問題があります

良いといってもどの程度のレベルなのかわかりません。補助金支給にしても、それなりの問題もあるのです

外部不経済にはピグー税を、外部経済にはピグー補助金を適用すれば、最適資源配分が実現します

このような方法をピグー的政策といいます

これに対し、コースという経済学者は、一定の条件を満たせば最適資源配分が実現できると主張しました

コースの定理

コースの定理とは、外部の影響を与える者と、受ける者との間で自発的な交渉により最適資源配分が実現する、ということです

一定の条件とは2つあります

  1. 権利関係が明確であること
  2. 交渉の取引費用がゼロであること

政府の介入は絶対条件ではない

コースの定理(外部不経済の例)

工場を例にコースの定理を当てはめてみましょう。工場は1単位生産につき t 円だけ地域住民に払うとします

被害者には権利があり、交渉費用はゼロとします

工場側は、公害を排出するので地域住民の生活に確実に害を与えるのは明確。そこで限界外部費用を1個生産するたびに払うと住民と交渉する

企業と住民の間で保証金を払うことで交渉成立

言い換えれば、企業に t 円のピグー税をかけたのと同じことになります

コースの定理の問題点

公害の場合というのは、権利関係は汚染者側が負担することになっています。法律上、害を受ける側が立場が強いことになるので、権利関係は明確です

被害者との交渉は時間がかかり、費用がゼロになる可能性は極めて低い

住民といっても、何人の保証金を払えばいいのか、現状を把握することが極めて困難になり、保証金が莫大な金額に膨れ上がる可能性があります

コースの定理は交渉ができれば良いが、出来ない場合の負担が大きすぎることが問題点なのです

まとめ

外部不経済とは外部からの悪い影響により発生する損害の事である

外部経済とは外部からの良い影響により発生する利益の事である

外部不経済のような企業にピグー税をかけることにより最適資源配分を実現させる

外部経済のような企業にはピグー補助金を支給することにより最適資源配分を実現させる

コースの定理は利害関係が明確であれば問題無いが、そうでない場合は問題となる負担が大きすぎる

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