逆選択とモラルハザードを活用し自社ブランドを立上げる方法

逆選択とモラルハザードには『情報の非対称性』という共通項目があります。実はこの非対称性を理解することで、自社ブランド構築の手法が見えてきます

目次

逆選択とモラルハザードを活用し自社ブランドを立上げる方法

記事の内容

逆選択とは何か

レモンの原理

レモンの原理の供給曲線と需要曲線をグラフで解説

レモンの原理の市場不成立

レモンの原理の対策

モラルハザードとは何か

自社ブランドに情報の非対称性を取り入れて構築手法

ちょっとした役立つ豆知識

これらを解説します。

自社ブランドとは

ブランドの意味を知っている方はいるだろうか?ブランドは聞きなれた言葉であっても、その定義はどのようモノなのかは知らない方が多いはず。

そこでアメリカのサイトからブランドの定義を持ってきました。

A brand is a “Name, term, design, symbol, or any other feature that identifies one seller’s
good or service as distinct from those of other sellers.”

https://www.ama.org/the-definition-of-marketing/ アクセス(2019/9/30)

ブランド
名前、言葉、デザイン、シンボル、またはある売り手の商品やサービスを売り手のモノと区別して識別すること

簡単にすると、会社の信用や品質の良さ、製品の利便性が高く、安心して購入できる企業名の価値。

自社ブランドを立ち上げるには、最初の壁があります。それは信用と実績です。

売り出しても買ってくれない、信用されない、実績がない、などの理由で立ち上げは苦しい環境が続きます。

そこでOEMやODMなどで自社ブランドを構築していくやり方があります。結論から言いますと、自社ブランドの立ち上げ方はこの2つを使うことです。

今回の記事の接点はこの2つのやり方を理解するのではなく、ブランド構築に潜む、情報の非対称性を理解した上で立ち上げる手法を学びます。

情報の非対称性には逆選択とモラルハザードがあるので2つを詳しく説明していきます。

逆選択とは

逆選択とは、取引前の情報の非対称性が原因で劣悪なタイプが蔓延し、優良なタイプを淘汰してしまう現象のこと。

このような現象が起きてしまう要因は、情報の非対称性が原因となっています。しっかりとした情報を待たなかったばかりに、市場は劣悪な環境になり、競争から外れてしまうことです。

情報の欠落こそが非効率を引き起こしたと言えます。

レモンの原理を使って、もっとわかりやすく説明します。

レモンの原理

中古車市場の説明としてレモンの原理が有名です。レモンとは不良な中古品を指します。なぜレモンなのかは知りませんが、そこは触れないようでおきましょう。

中古車市場などに行けば、好みや走行距離、時間経過や整備保障など、目安になるもので中古車の品質をみていきます。

買い手はその程度ぐらいしか分からないので、売り手側が知っている本当の品質は分からないのです。つまり情報の欠落です。

一つの目安として、ブランド価値や市場全体の価値、何よりも値段をみて買い手側は推測や購入判断を考えます。

次は売り手側を見てみましょう。

100万円の中古車と50万円の中古車があったとします。市場価格が75万だとしましょう。

売り手側は100万円の価値のある中古車を75万で買い取ると言われると、損をするので売りません。

50万円の価値のある中古車を75万円で買い取ると言われると得をするので、喜んで売ります。

すると市場には品質低下の50万円の中古車がばかりが出回り、質が高い100万円の中古車は市場から消えてしまいます。

買い手は、価値の低い50万円の情報は知らないので、質の悪い中古車を買ってしまいます。価値の高い100万円の中古車を買えないのです。

つまり逆になっているので逆選択現象が発生し、このことを情報の非対称性といいます

逆にブランド価値の情報を分かっている人は、そんな価格で市場に出回るわけがない!その車は偽物だ!質が悪いから安いのだ!と判断され、余計に買われなくなります。

そうなると、ブランド力は更に低下し、最悪の場合、市場から姿を消してしまいます。

完全競争市場であれば、完全に情報は持ち合わせているので、市場販売の車の価値はわかっています。つまり中古市場でも、価値の高い車の市場と価値の低い車の市場2つが出来るのです。

情報の非対称性が発生してしまうと、劣悪な車ばかりが市場をしめるようになり、高級車や、高品質な取引が市場から消えてしまいます。

レモンの原理の供給曲線

供給曲線が右上がりの線になるということは、価格が上がった分、供給量もそれに応じて増えていくことを意味します。

レモンの原理の供給曲線

低品質の車の供給も、高品質の車の供給も同時に上がります。そうなると高品質な車が一定数市場に出回るので、平均的な品質が上がったことになってしまいます。

レモンの原理の需要曲線

今度は需要を見てみます。当然のように価格が下がれば、購入数が増えます。つまり需要が増えます。

この表だと100万〜70万に下がると需要は増えています。ですが、70万〜30万に下がると、逆効果がでてきます。

車の価格が余りにも低すぎて、品質が悪く、価値が無いと判断されてしまいます。

レモンの原理の市場不成立

通常の需要供給曲線は2つのラインが交わることで市場の価格となります。ですがこのパターンは交わることすらなく、市場が不成立となります。

70万でも売れず超過供給となり、0円でも売れず超過供給となり、市場の存在すら無くなるのです。

0円なら買うでしょう、と思うかもしれませんが車は維持費がかかるので、価値のない車を持つことはガラクタを持ち、お金を捨てることと同じなのです。

レモンの原理の対策

中古車市場における情報の非対称性が原因で、逆選択が起こり市場が消滅することは避けなければなりません。

その対策として品質の保証機能があります。中古車の品質価値が分からない人たちに購入してもらうには、保証を付けるのがいいのです。

新古車や中古車を新車と偽って売ることができる、と思っているかもしれません。ですがそのような騙しをした場合、困るのは業者の方なのです。

もし偽って中古車を売ってもメンテナンスの方に費用が掛かかるので、業者側の方がかえって損をするのです。

このように、情報の非対称性でおこる逆選択を防ぎ、かつ市場の取引を円滑にしている原因は品質保証機能なのです。

もし品質保証が無ければ中古車や新車も買いません。保証のおかげで市場が存在しているのです。

高品質である事をシグナルといいます。

高品質である事を伝えることをシグナリングといいます。

ブランドと品質保証

ブランドと品質保証は密接な関係があります。例えばイノウエ工務店の作成した指輪を買ってください、と言っても誰も買いません。

なぜなら何時潰れるかわからない商品など買いたくありません。そこでブランドが重要になるのです。

ソニー、トヨタ、Google、apple、など名だたる企業の保証が付けば、疑問を抱くことなく購入するでしょう。

このようにブランドがあるから品質保証が活用できるということなのです。

では、モラルハザードの説明に入ります。

モラルハザードとは

モラルハザードとは、取引後の非対称性が原因で十分な監視が出来ない結果、相当な注意が払われなくなり、資源の浪費が浪費が生じること

分かりやすく例でいきましょう

まじめだと思って採用した営業マンが、採用後、営業活動を監視せず自由にやらせていたら、喫茶店でさぼっていた

上司の目を盗み、さぼっていたとなれば、遊んでいる時間にお金を払い、利益が上がらないので、会社の打撃になります

保険で言うと、任意保険に入ったので、安心して注意を怠ってしまい、事故を起こしてしまった

どちらも共通しているのは、後に非効率が生じていることです

もっとわかりやすく説明しましょう

保険加入による非効率

モラルハザードとは十分な監視が出来なかったばかりに、会社の損失が大きくなることなのです

保険加入者が車の修理を全部保険で直してほしいとなると、修理工場側も沢山修理して儲けたいと思うわけです

そうなると保険会社は損失が大きくなります。常に監視が出来るわけでもなく、事故原因や現地の調査などで、時間と人件費が重なり、さらにコストが大きくなります

これらの原因は、保険加入者がどのような人間なのか?の情報が無く、判断できなかったばかりに生じた損失なのです

これも情報の非対称性が原因となります

逆選択とモラルハザードについて説明してきましたが、2つの違いをまとめておきます

  • 逆選択
    取引きの情報の非対称性が原因で、劣悪なタイプが蔓延し、優良なタイプが消えてしまう現象
  • モラルハザード
    取引きの情報の非対称性が原因で、十分な監視が出来ない結果、相当な注意が払われず資源の損失が生じる現象です

自社ブランドに情報の非対称性を取り入れて構築する

今回は立ち上げわずかのベンチャー企業を例に解説します。商品開発はタブレットに絞り、自社ブランドを構築する

OEMを利用する

ブランドを構築するには、信用や実績が必要不可欠です。ですがいきなり、開発したからといっても、誰も見向きもしてくれません

そこで大手ブランド力を活用し、大手の製品を手掛け技術品質向上を狙います。大手の販売経路も勉強し大いに活用する

ですが、いつまでも大手ブランドに頼っていても先がありません。なぜなら自社の開発商品をアピールできないからです

顧客との接点も持てないので、自社で顧客獲得ができず、下請けの状態が続くからです

見切りをつけることも大事です

自社ブランドを本格的に手掛ける

OEMにより自社の技術が向上した。さぁ~自社ブランドを手掛ける時だ。どんなに安く開発が出来ても、決して安売りはしてはいけない

市場価格をみて妥当な値段で売る。安くすると逆選択現象が起きてしまい、信用されないうえに、需要もなくなるので決して安売りはしない

商品を購入してもらった顧客には保証をつけよう!

モラルハザード現象が起きても品質保証と部品交換保障も付け、保証内容も明記しておけば、誰に買われても大丈夫だ

後で損失が大きくならないように、保証内容はしっかり範囲を規定しておくことだ

大手ブランドの販売で知り合った人たちとコネが出来、販売経路の無駄なコストを削減できる方法を勉強した

販売経路の無駄を無くし、コスト削減が出来れば、資金を設備投資や人件費向上にまわし、ブランド力を高めることが出来る

ちょっとした豆知識

販売経路の無駄をなくし、コスト削減し、品質のいい商品を安く市場に売り出した手法は、柳社長がおこなった戦略です。ユニクロは、このようなからくりで安くできるのです

台湾のASUSやACERはOEMで技術を向上させ、自社ブランドを立ち上げてきました。シャープを買収した鴻海精密工業もiPHONEなどの生産を手掛け大きくなりました

最後に保険会社の事に触れておきます。今の保険会社はビッグデーターを活用し、保険の料金が合理的になっています

実は自動車などの運転にはGPSやネットが接続されており、速度超過、急停止、急発進、何キロ走行、道路の法定速度など、保険会社にデーターが流れています

誤魔化しは段々できないようになっているのでお気を付けください

ODMとは、携帯事業を見れば分かると思いますが、色々な企業がタブレットやスマートフォンを製造し世にだしています

自社のブランド携帯を設計や製造まで自社で手掛け、docomoなどのブランド名を借りて販売することです

まとめ

逆選択とは、本来買われる高品質な商品が出回らず、低品質を買ってしまうなどの選択が逆になることです。品質低下は需要をなくします

モラルハザードは監視が出来ない結果、注意が払われず、損失が後になって発生することです

逆選択の情報の非対称性は、前に発生します

モラルハザードの情報の非対称性は、後に発生します

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この記事を書いた人

ビジネス、経済、心理学、簿記3級、起業、ドラムなど15年以上勉強してきた知識や情報、資格と知識の特化型ブログを発信中。

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