国内総生産の基礎を理解すれば所得のからくりが分かります

国内総生産6つの定義を知ることでGDPがわかります。さらに三面等価の原則を知ることで経済の大きさや豊かさを理解できます

目次

国内総生産の基礎を理解すれば所得のからくりが分かります

[box class=”green_box” title=”記事の内容”]国内総生産を理解する6つ定義、帰属計算や要素費用、GDP三面等価の原則、人口多=豊かではない。これらを解説します[/box]

GDPとは

GDPとは国内総生産の事を言います。国内で国民がどれだけモノやサービスを生産したかを表す指数です

GDPとは、Gross=総(全ての合計) Domestic=国内 Product=生産の略です。計算にはいくつかルールがありますので、GDPの細かい定義を説明していきます

GDPの定義

GDPは全部で6つの定義を原則としているので、わかりやすく説明していきます

  • 一定期間
  • 国内
  • 生産された
  • 固定資本減耗を(減価償却費を含む)
  • 市場価格で表示した
  • 付加価値の合計のこと

これらはGDPを知るうえでしっかりとした基礎知識になるので理解しておきましょう。1つ1つ説明していきます

一定期間

GDPを割出す期間を簡単に説明しておきます。通常1年間で計算し、1月から12月までの計算を4分割されます

4月〜6月:第1四半期
7月〜9月:第2四半期
10月〜12月:第3四半期
1月〜3月:第4四半期

となっています。四半期は1年間を4分割した言い方です。4分の1をquarterとも言うので、第1四半期なら1Qともいい、2Q、3Q、4Qとなります

国内

国内と言っているので国内で生産されたモノやサービスを指数としています

外国人が日本にやってきて、日本で働いて生産したのであればGDPとなります。外人だから違うということはありません

逆に日本人が海外で生産しても、国内の生産にはなりません。もちろん海外で働いている国の生産に計上されます

生産

生産なので生産していないものは含めてはいけません。気を付けることは3つあります

中古品

中古品というのは、その年に生産された商品で無いのであれば生産として計算には含めません

生産した品物を買う時は消費として含めますが、それを売却し他の誰かが買ったとしても、一度生産物として計算に入れているので外します

仮に計算に含めると、一度の生産で倍々に膨らんでわけがわからなくなるからです

土地の売買

土地というのは、腐ったり、無くなったり、消耗して消えたりすることはありません。国が存在する限り、半永久的に存在します

土地の売買が土地を生産したことにはならないので、GDPの計算には含めません。埋立地を増やし土地が増え、売却したのであれば話は別です

株価などの売却

投資家などが、株や仮想通貨などの売り買いで利益を得ても計算に含めません

なぜかというと生産していないからです、株の数字が変動しているだけで、生産していないからです

仮に株が値上がりし、売却して所得が増えても、生産していないので計算には入れません

固定資本減耗

固定資本減耗とは、固定された資本のことで、会計用語で減価償却のことです。減価償却とは、投じた資本がどれぐらい償却したのかを表した数字になります

総生産の総の部分にあたり、マクロ経済では一国経済として考えるので、減価償却は、国で生産したモノの中の一部の不純物として考えます

分かりにくいので例でいきましょう

例えば、400万で機械を買い、機械を買ったおかげで、売上が1000万円になりました。それと同時に機械も壊れてしましました

1000万-400万=600万。売上が600万とはなりません。GDPに含めるのは1000万円のままです

なぜかというと、機械を使っていれば消耗するし、性能も落ちていきます。中古品となるので価値は減少していきます

ですが、この価値がどれぐらい下がったかなんてわかりますか?わからないですよね。価値を判断できないので計算に含めないのです

減価償却というのは正確に数字として判断できないので、購入した価格を決められた年数で割って数字を出す、と決められています

減価償却の詳しい記事にかんしてはこちらになります

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市場価格

商品というのは人それぞれ価値が違うものです。なので市場価格の取引となります

例えば私の場合、曲やゲームのクオリティーに価値を見出すので、手頃な値段のソフトであっても、面白いからそれ以上の値段の価値があると思ってしまいます

ですが、逆に盆栽や掛け軸、壺や陶芸をみてもまったく価値などわかりません。しかもこのジャンルの価値というのは、1億や〇千万ぐらいで売買されています

つまり商品の価値というのは、客観性や価値観、納得感などで商品の値段が変動します

そうなってしまっては、値段のつけようがないので、原則として市場価格の売買を生産として含めると決められているのです

市場取引が無いものは計上しません

例えば、家などで奥さんが家事や育児をやっていても、労働として認められません。いくらかわからないからです

家事代行を頼んでお金を払えば、GDPの計算に含めます

公害問題も同じで工場などの廃棄物など、生産したモノから公害が出ても、害を及ぼしたからといってGDPの計算から差引くわけではありません

特殊なケースも計算に含めます

帰属計算

実際に市場取引していないが、取引したと仮定してGDPの計算に含めます

帰属家賃などがそうです。マイホームなど購入した場合、毎年ローンの支払いを払っていますが、生産したモノを買っているわけではありません

賃貸など、家賃がなぜ計算にいれるのかというと、居住空間をサービスとして生産し、不動産屋などはメンテナンスや居住を管理して価値を生産していると考えるからです

なので家賃を自分に払っていると考えてGDPの計算に含めます

農家などもこれにあたります。お米を生産して全て売るわけではなく、商品を自分で食べたりすると、消費となるので計算に含めます

要素費用

公共サービスなどがそうです。基本的に警察や消防などは、お金がかかりません

警察に保護されたからと言って、ハイ5千円ね、などとは言われません。公務員というのは我々が払っている税金で賄われているからです

活動に掛かった費用も税金で補います。公共サービスというのは国からの無料のサービスと考えてください

ただし公共料金は違います。これはしっかりお金を払っているのでサービスにはなりません

公共料金に関する詳しい記事はこちらです

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付加価値の合計

付加価値とはお金に換算できない事を言います

例えばパソコンを1つ生産したとしましょう。原材料費などは部品にあたるのでお金で表すことができます

ですが、性能のいいパソコンの設計、職人による高度な技術力、生産にかける努力や情熱、思いなど、お金に代えられないものを付加価値といいます

1億円で売却したスーパーコンピューターから原材料費1千万を差引いた、残りの9千万が付加価値となります

9千万円から固定費や人件費、株主の配当金などが配られます

付加価値+原材料費の合計が製品となり、GDPの計算に含まれます

以上までが国内総生産の全ての基礎となりますが、三面等価の原則も知っておく必要があります

GDP三面等価の原則

基本的にGDPとは国内で生産された合計をいいます。GDPが高いと国が豊かであり、経済が大きいと言れます

それは何故か、GDP三面等価の原則を知ることにより理解できるようになります。GDP三面等価とは

生産の合計は、所得の合計であり、支出の合計でもある
生産が大きいと所得が大きいとなるのです

わかりやすく説明していきます。結構簡単なので、すぐわかると思います。商品を売買しただけで三面等価は成り立ちます

Sさんは100万円の商品をAさんに売却しました。Aさんは100万円を払いました

このやりとりだけで成立しています。まずSさんは生産した100万円の商品を売りました

Aさんは商品を買いお金を払います。100万円の支出となります

Sさんはお金をもらったので、100万円の所得となります

つまり生産品100万円=支出100万円=所得100万円となるのです

生産品を売るということは、誰かの支出であり、誰かの所得になるのです

ですが生産したからと言って必ず商品は売れるのでしょうか?売れなかった場合はどうなるのか説明します

生産面と支出面は常に同じになる

製造工場などが生産した商品が必ず売れるとは限りません。ですがGDPの計算にはちょっとしたからくりがあるのです

日本のGDPは約500兆です。仮に1年間で500兆円分生産したが、490兆円分しか売れず、10兆円分売れ残ってしまった

ですが例え売残っても、生産した企業は支出もしたと考えるので、売れ残っても結局500兆となってしまうのです

理由としては、実際生産したことに変わりはありません。売れ残ったからと言って商品を消すことは出来ません

売残った商品=在庫変動と言いますが、1年間経過した後も、商品はいずれ売れます。仮に売残りの商品をGDPに含めなかったら、売れた時に計算に入れることが出来ません

なぜなら1年間の生産から外れるからです。なので売れ残っても1年間の生産として計上しないと後から計上しても、いつの商品?となり、計算が複雑かつ時間単位もあやふやになります

このことから1年間で生産したモノ全てGDPとして考えるのです

人口が多いとGDPは大きいのか

世界GDPの大きい順で言えば、1番は経済大国のアメリカ、2番中国、3番目に日本となります

2018年時点での人口推移は
アメリカ3.2憶
中国14憶
日本1.2憶です

人口が多いと言えば、インドは13憶人いますが、GDPは低いです。よく人口が多いとGDPが高いと言われますが全然違います

中国で言えば人口は多いです。アメリカよりも多いのにGDPは低いです

人口が多いと生産が上がるわけではありません。複雑な計算になるので省きますが、単純に考えると1人頭がどれだけ生産性が高いかということなのです

例えば農村の人が桑だけでお米を生産したとしましょう。もう一人は機械を使ってお米を生産したとします

結果はあきらかに違い、機械を使って生産している方が多いに決まっています

つまり一人の生産性を上げるためには、インフラの環境、設備や機械などの利便性を高めないと生産性は上げることが出来ません

中国などの山奥の農村は、ほぼ自給自足に近い生活なので、生産性は上がりません。中国のGDPは都会の人たちがインフラの整った環境で生産を上げているのです

日本で言えば全国各地に、ネットや交通インフラは整っており、機械や設備の導入も基本的に出来ているので、一人一人の生産が高いのです

さらにアメリカなどは、日本と環境はあまり変わらないのですが、なぜGDPが高いのかと言えば、付加価値が物凄く高いからです

高い付加価値の商品売買が行われるので、生産性というよりも消費や所得が大きくなるのです

アイフォンが10万以上で売られていたでしょ、あれは付加価値が物凄く高いからです

日本のGDPが増えないのはデフレで国民がモノを消費しないので、売れない、だから生産しない、となっているからGDPが増えないのです

まとめ

GDPの定義は6つの要素から成り立っている

製造した商品は売れ残っても、製造した商品としてGDPとなる

三面等価の原則は、生産の合計=支出の合計となり、所得の合計となるので、全てイコールの存在となる

人口が多いからと言ってGDPが大きいわけではない。一人ができる生産性が左右する

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この記事を書いた人

ビジネス、経済、心理学、簿記3級、起業、ドラムなど15年以上勉強してきた知識や情報、資格と知識の特化型ブログを発信中。

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