お金が流通する仕組みとは通帳の数字が変動しているだけ

お金とは何か?どうやって増えていくのか?流通の仕組みがわかる信用創造を解説します

目次

お金が流通する仕組みとは通帳の数字が変動しているだけ

[box class=”green_box” title=”記事の内容”]貨幣に関する3つの機能と3つのM、お金の増やし方、日銀の役割、流通原理がわかる信用創造、貨幣乗数や金融の弱点、日本の貨幣問題など解説していきます[/box]

貨幣が持つ3つの機能

皆さんは、紙きれ紙幣をお金だと認識しています。小銭も同様の感覚です

日本の貨幣が国内で通用している理由は、3つの機能が存在しているからです

  • 交換仲介機能
  • 価値尺度機能
  • 価値保存機能

この3つを解説します

交換仲介機能

レストランなどに行き、お金というものが無かったら交渉することになります

例えば、『私のブログいくらでも読んでいいので、ステーキ食べさせてください』

何言うとんねん、はよ帰れ、で終わりになります

つまりお互い商品の間に入って、商品同士の交換が出来る仲介の役割を果たしているのです

商品の価値を交換できる仲介機能

価値尺度機能

チラシなど見た時に、この商品は安いので買いに行こうと思うのは何故だと思いますか?

それは商品の価値が円という単位で決められているからです。もしこの単位が無く、お金もなかったらどうなるでしょう

例えば、車を買いに行って『車ほしいので、牛10頭と交換してください』

何言うとんねん、はよ帰れ、で終わりになります

つまりお互いの商品の間に立って価値が同じです、という役割をはたしているのです

お互いの商品の価値を同等と判断できる機能

価値保存機能

時間が経過しても価値が変わらないことをいいます

例えば、貴方の給料パイナップル100個で払いますと言われても

何言うとんねん、金よこせ、で終わりになります

パイナップルもらってもいずれ腐ります。そうなると使えなくなってしまうので困るわけです

株や仮想通貨のように価値の変動があっても困ります。1分前まで2倍だったのに!何て言われても、知らんがな、です

価値を保存し、かつ変動しない機能

貨幣を知るための3つのM

貨幣を知る3つのMを分かれば、お金の概念が分かるようになります。新聞を読んだ時に、このM1やM2というのは何のことだろう?と迷わなくなります

しっかり理解しておきましょう。一目でわかる表を見てください

貨幣取扱い銀行一覧

M1とは

現金と全預金取扱い銀行をさします。全預金取扱いなので、全ての銀行とゆうちょ銀行や農協も含みます。ゆうちょは昔郵便局だったので銀行とは違っていましたが、今では銀行としての機能があります

M1は全ての銀行から現金引き出しの要求が出来ることをいいます。ATMもそうですし、銀行でも引き出せます。定期預金は不可

普通預金の事を、ゆうちょ銀行や農協などは貯金と言い、銀行系列は預金と言いますが預金も貯金も同じです

キャッシュレスで言えば、例えばスイカなどチャージして皆さん交通料金や電子マネーとして使っていると思います。私もスイカは愛用者です

スイカのストックマネーが増えれば、銀行やATMでお金を引出す必要がないのに、と思ったことありませんか?

スイカは上限2万までしかストックできません。理由としてはそれ以上現金の取り扱いをしてしまうと銀行と同じになり、金融の法律に違反するからなのです

知っていましたか

M2とは

M2はM1の規制をちょっと緩くした感じです。M2は現金引出と定期預金も含まれます

定期預金とは、一定期間預けたら引き出せない状態になることです。5年定期なら5年間は引き出せません

ですが定期預金であっても解約すれば現金を使えるようになるのがM2です

ただし取り扱は国内銀行のみで、ゆうちょや農協などからは引き出すことは出来ません

M3とは

M3は、M2の規制を更に緩くした感じです。基本的にM2と同じなのですが、取扱銀行が変わります

M3の場合は、ゆうちょも農協からも引出せるようになり、全銀行預金取扱いが可能となります

結局のところ貨幣というのは

貨幣=現金+預金

ということです

マネーストック

マネーストックとは、日本全国の市場に流通している現金紙幣のことです。マネーサプライとも言いますが、日銀はマネーストックと言っています

皆さんが使っている貨幣供給量はどれぐらいか? およそ100兆円弱と言われています

マネーストックには、現金通貨、預金通貨、準通貨、CD、M1~M3とあるので説明します。M1~3は省きます

現金通貨

皆さんが持っている手持ちの現金です。これが100兆円弱といわれています

預金通貨

預金通貨は普通預金の事で、要求した時に引き出せる現金の事です。皆さんは貯金と言っています

準通貨

準通貨は定期預金の事です

CD

CDというのは、譲渡性預金の事です。定期預金の一種だと思ってください

譲渡性預金というのは、預金者の定期預金を他人に渡すことが出来る預金です

中央銀行

中央銀行、または日本銀行と言います。日本銀行は3つの定義があります

  • 発券銀行
  • 銀行の銀行
  • 政府の銀行

発券銀行

日銀は現金紙幣を刷ることができます。皆さんが使っている紙幣、実は皆さんからお金を借りている借用書なのです(借用書の理論については、いずれ記事にします。ここでは借用書だと分かればよいです)

その証拠に紙幣には日本銀行券と書かれています

1万円

紙幣を刷れるのは日銀だけで政府は刷れません。政府は硬貨のみです

その証拠に日本国と書かれています

銀貨と金貨

銀行の銀行

銀行には、銀行が貨幣を預ける銀行があります。つまり日銀です

この日銀は全ての銀行の親分だと思えばわかりやすいでしょう。銀行が何か用立てがある場合は、日銀から調達し、国債の買取も日銀が行います

ただし、日銀の口座を持てるのは、銀行と政府のみで、民間人は口座を持つことは出来ません

政府の銀行

日銀は政府の銀行であり、政府のお財布でもあります。国債を発行する時も日銀から用立てします

公共投資や財政出動も日銀から国債を調達します

皆さんが払っている税金や交通違反の罰金などは、いったん銀行に行きますが、その後日銀の方に流れていき、政府の財政となるのです

政府は紙幣を刷れない

日銀は紙幣を刷れますが、政府は硬貨しか発行できません。政府が紙幣を刷っていると思っていたでしょ、実は違うのです

その昔、多くの国では中央銀行や政府などは議会から独立していました。つまり中央銀行とは関連が無かったのです

政府は国民から支持を得ようと、人気取りをするために紙幣を沢山刷ってしまい、インフレが起きてしまいました

インフレになると貨幣の価値が急落し、物価が値上がりします。継続的な物価の上昇により経済は苦しめられました

この歴史的背景から、政府に紙幣の発行権利を持たせてはいけないとなり、硬貨しか発行できないようになったのです

ここで大事なことは、日銀が供給しているマネーストックというのは現金100兆円程度しか流通していません。それよりも預金の方が圧倒的に多いのです

ではその預金というのは、どのようにして増えているのか?これが信用創造につながるのです

信用創造の前に知っておく用語がいくつかあるので説明します

ハイパワードマネー

力強いマネーをイメージするかもしれませんが、なんてことはない日銀が最初に供給する貨幣のことです

ですがこの供給した貨幣というのは、貸し借りを繰り返すことでお金が倍々と増えていきます

基になる貨幣という意味で、マネタリーベースやベースマネーとも言われています

ハイパワードマネーは現金+準備となっています。この準備を説明します

準備とは

日銀以外の市中銀行が預ける預金を準備と言います

市中銀行は、メインバンクであったり地方銀行のことをいいます。銀行が何かあった時の対策として、日銀に現金を預金し準備しておくのです。銀行が日銀に当座預金を持つことを、日銀当座預金といいます。そのまんまですね

例えば、民間が現金を引き出し、現金が無くなりそうであれば日銀から調達したり、国債を日銀に渡して現金化したりと準備に備えているのです

銀行から現金が無くなるということは絶対ありえません

法定準備率

法定準備率とは、市中銀行が預金として預かった現金のうち、準備として日銀に預けなくてはならない現金のことです

銀行の預金が2.5兆円を超える場合、定期性預金は1.3%、その他に預金は1.2%日銀に預けます。1991年に変更されてから、今に至るまで変わっていません

法定準備率1.2%だと、100万円の預金を得た銀行は1.2万円を日銀に預けなくてはなりません

例えば、民間が現金を引き落として、銀行にお金が無くなったら、この1.2万円のお金を銀行に戻して渡しなさい、ということです

銀行にある現金全てが、企業や民間に貸し出せるわけではなく、1.2%のお金は絶対預けないと駄目なのです。というよりも法律で決まっているので強制です

預けたお金以外の現金を、企業や民間に貸し出しています

信用創造の仕組み

信用創造の仕組みを理解すれば、基本的にお金の解釈は出来たのと同じことです。しっかり理解しておきましょう

法定準備率は1.2%でしたが、計算がややこしくなるので、10%として説明します

現金預金は違います。しっかり区別しておかないと混乱します

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/3.jpg” name=”日本銀行様” type=”l”]まず日本銀行が貨幣を供給します。これがハイパワードマネーだ。その金額は100万円としておこう。100万円をA銀行に渡す[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/4.jpg” name=”A銀行” type=”r”]100万円を日銀から供給されたけど、持っていても意味が無いので貸し出す。銀行は貸出すことで利子を得て成り立っているからだ。東京商事に貸そう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/5.jpg” name=”東京商事” type=”l”]A銀行から100万円借りて事業拡大だ。神奈川工務店に100万円で仕事を依頼しよう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/6.jpg” name=”神奈川工務店” type=”r”]100万円で工事を請負ました。何かのために10万円は現金でもっておこう。残りの90万円はB銀行に預ける[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/4.jpg” name=”B銀行” type=”l”]神奈川工務店から90万円預かったので、日銀に法定準備として10%預ける。
9万円は日銀へ、90‐9=81万を大阪商事に貸し出そう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/5.jpg” name=”大阪商事” type=”r”]B銀行から81万借りた。これで事業拡大だ。和歌山工務店に仕事を依頼しよう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/6.jpg” name=”和歌山工務店” type=”l”]81万円で工事を請負ました。何かのために8万円は現金でもっておこう。残りの73万円はC銀行に預ける[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/4.jpg” name=”C銀行” type=”r”]和歌山工務店から73万円預かったので、日銀に法定準備として10%預ける。
7万円は日銀へ、73‐7=66万を広島商事に貸し出そう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/5.jpg” name=”広島商事” type=”l”]C銀行から66万借りた。これで事業拡大だ。愛媛工務店に仕事を依頼しよう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/6.jpg” name=”愛媛工務店” type=”r”]66万円で工事を請負ました。何かのために7万円は現金でもっておこう。残りの59万円はD銀行に預ける[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/4.jpg” name=”D銀行” type=”l”]愛媛工務店から59万円預かったので、日銀に法定準備として10%預ける。
6万円は日銀へ、59‐6=53万を熊本商事に貸し出そう[/voice]

[voice icon=”https://gakureki-zero.com/wp-content/uploads/2019/07/5.jpg” name=”熊本商事” type=”r”]D銀行から53万借りた。これで事業拡大だ。もうやめよう、きりがない[/voice]

このように貸し借りを増やすことによって預金は増えていきます

B銀行90+C銀行73+D銀行59=222万となり、最初のハイパワードマネー100万円の2倍以上になっています

仕組みの整理

最初に供給されたのは預金100万です

その後のA銀行からのやり取りは全て預金の貸し借りを繰り返しただけです。現金でやり取りしたわけではありません

正式な現金保持をしているのは、現金10+8+7=25万のみです

現金でやり取りする、と考えてしまうと混乱します

考え方としては、通帳に記録する記録媒体の数字だけが記入されて、預金の数字だけが動いた。と考えます

仮に1億のお金を相手に渡す時、現金でやり取りしますか?しないですよね。通帳の数字が動くだけです

信用創造というのは極論を言えば

貨幣の債務と債権の記録

なのです

信用創造の貨幣乗数

このように最初に供給されたハイパワードマネーのお金が、銀行をまたいで貸し借りを行うことで、預金が増えていきます。これを預金創造ともいいます

また信用創造の信用とは、貨幣のことを言います

貨幣が倍々と増えていくことを、貨幣乗数と言います。貨幣乗数は約2倍程度なのです

金融の弱点

銀行は出来もしない契約をしています。まず記事の引用から

日銀が9日発表した6月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、代表的な指数のひとつである「M3(現金、銀行などの預金)」の月中平均残高は前年同月比2.0%増の1362兆4000億円だった。

M3からゆうちょ銀行などを除いた「M2」は同2.3%増、M3に国債や投資信託を加えた「広義流動性」は同1.7%増だった

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL05HRS_V00C19A7000000/?n_cid=SPTMG002
2019年7月9日(火) 日本経済新聞より

この引用から分かる通り、M3の貨幣は1362兆円です。市場に流通している現金は100兆円弱です

つまり国民全員が一斉に現金を銀行に引き出しに来ると、現金を渡すことができないのです

出来もしない契約というのは、銀行は預金者との契約に、引き出すお金は時間内であれば必ず渡す。となっているのです

ありえませんが、もし取り付け騒ぎになれば全員引き出せないということです。そうなった場合は日銀が介入するので問題ありませんけどね

そういう銀行の裏側があるというだけですw

日本の貨幣供給問題

現在日本の供給量はほぼ止まっている状態です。その理由を説明します

長年のデフレ経済で、消費者はお金を使うことを控えているので、モノが売れません

企業はデフレで商品が売れないので、銀行からお金を借りて投資をしようとは思いません

ということは、銀行にお金が貯まっているだけで市場に出回りません。ちょっと前にメインバンクは〇千人のリストラを決行しています

利子を得ることも出来ず、しかも日銀からマイナス金利の導入により経営を圧迫されているからです

しかも企業の内部留保(400兆円)問題で、社員にお金が分配されず、先行き不安病によりため込んでいます。社員にお金が流れないので、市場でお金を使うことも出来ません

このようなデフレ期には、政府が代わりにお金を使って財政出動をするのですが、気が狂っているのか緊縮財政路線でお金を全く使いません

しかも国民の所得を消費税で吸い上げるだけで、必要以上にお金は使わない!節約!などと言っているので所得は減っていく一方です

今皆さんが持っている現金は、過去に政府が財政出動を決行したから、持てるのです

ということは日本のGDPは約500兆円なので、その範囲内でお金を奪い合いしているだけなのです

つまり誰かが大きく所得を得ると、誰かがド貧乏になるのです。悲しいですがこれが現実なのです

正しい経済を身に付け、世論が政府を変えていくしかないのです

まとめ

貨幣には3つの機能がある、そして3つのMがあります

貨幣とは現金と預金で成り立っている

信用創造は貨幣の債務と債権の記録です

日銀には3つの定義があります

日本の政府は率先して財政出動を行うべきです

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ビジネス、経済、心理学、簿記3級、起業、ドラムなど15年以上勉強してきた知識や情報、資格と知識の特化型ブログを発信中。

目次