国際収支の仕組みから所得の変化を理解しよう

国際収支の構造から国民所得の動きが分かるようになります。日本の金融取引の変化を解説します

目次

国際収支の仕組みから所得の変化を理解しよう

記事の内容

国際収支の要点3点や注意点

経常収支、資本移転収支、金融収支の詳細な内容

日本国際収支29年度の資料を使って解説

貿易赤字と黒字から起こる日本の変化

国際収支のグラフを使って日本の現状を解説

グローバル金融取引、流通の動き、金融危機が起きた時世界の変化

G20 の背景など、これらを解説します

国際収支とは

国際収支を正確に定義することは難しいので簡単に考えてください

国際収支とは一定期間、一国における対外経済取引を体系的に記録した統計数字の事です。一定期間とは、1年なら1年間の統計数字を意味します

国際収支は大きく分けて3つです。経常収支、金融収支、資本移転収支です

国際収支の注意点

国際収支の数字は、財務省からのデーターを見ますが、細かい数字は気にせずに、大まかな数字を見てくれればOKです

これを複式簿記の原理で説明します。簿記をやっていない方は全く分からないと思いますが、そうなんだぐらいの感覚でかまいません

暦年は1月から12月の統計、年度は4月から3月となるので、年度と暦年では2つ統計があるので注意してください

四半期に分けて数字を出しているので、よく数字が変わることもあるので、ぶっちゃけ、あまり本気でにらめっこしなくてもいいです

第1速報、第2速報、と統計数字の修正は頻繁に行われています

経常収支

経常収支は外国に輸出して商品を売って、国内に多くお金が入れば貿易黒字になります

逆に天然エネルギーなど輸入してお金を払う方が多いと赤字になります

経常収支はこの3つを理解すればOK

貿易収支

財やサービスなどを貿易で輸出や輸入することです

財というのは 物体、物、商品など、目に見える形あるものです

サービスは目に見えない形の商品です。運輸系、観光、金融、通信などです

第1次所得収支

生産要素のある所得が国境を越えて国に入ってくることです。 資本や労働など、海外で働いたお金が日本に流れてくる収支の事をいいます

日本が海外にお金を貸して利子を受け取ったお金も入ります。他には株の売買で得た配当金も入ります

第二次所得収支

第二次所得収支は別名、経常移転収支とも呼ばれます

外国への援助で言えば医療や技術指導などです。 他には出稼ぎにきた外国人が母国に送金などです

経常収支が移転するだけなので、経常移転収支といわれるのです

資本移転収支

経常移転収支と何が違うかと言えば、その国の資産になり投資の対象になるものです

援助で道路作ったり、施設作ったりと、その国の資産となり投資にもなります

資本自体が移転することになるので、資本移転収支となるのです

誤差範囲

為替レートの変動による金額や統計上のズレです。何兆円規模の世界取引があるので誤差があって当然です

金融収支

金融収支とは、金融資産や負債増額の増減による取引です。中身の内訳を簡単に説明します

直接投資

経営のために必要な投資をすることです。経営支配を目的とした株式等の取引のことです

証券投資

直接投資とは逆の、資産運用などを目的とした投資です。株式や債券などです

金融派生商品

株式や債券、通貨や原油などの商品をいいます。価格が連動する金融商品と思ってくれれば大丈夫です

その他の投資

貸借や現預金など、外貨などの貸し借りや、外貨で投資するなどです

外貨準備

これは主に日銀の金融当局への取引と思ってください

金融収支に関しては、直接投資と証券投資だけ覚えておけば問題無いです。以上までを踏まえて、財務省の資料を見てみましょう

細かい数字は気にしなくていいです。▲はマイナスを表しています

日本国際収支

29年度の国際収支の内容です

日本国際収支
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2017fy.htm 財務省㏋

これを複式簿記の形式で解説すると、経常収支と金融収支の数字が合っていません。複式簿記は左右の数字が絶対一致します

経常収支から資本移転収支-2と誤差-0.3を合わせた2.3兆円を引かないといけません(資料には載っていません)

21.7兆円からマイナス2.3をすると19.4兆円になります

経常収支は19.4兆円。金融収支19.4兆円となるので、お互いの数字が一致します

貿易赤字と黒字

日本も高度成長期の頃、貿易は黒字続きでした。貿易が黒字だと収支がプラスになるので、余ったお金で海外の資産や国債を買ったりします

これを対外純資産といいます。そしてこの黒字が続いた結果、日本の金融取引は変化し、債権が多くなり日本は26年連続お金持ち国家になっています。今もそうです

つまり対外純資産を多く持っているわけです。利子だけでも相当入ってきます

その反対に赤字続きがアメリカです。世界の中心なので貿易は輸入の方が多く、輸出が少ないので貿易赤字になっています

赤字になると支払うお金が無いので、その国から借金をすることになり、借金が増え続けます

だからトランプは貿易で怒っているのです

日本の国際収支のグラフ

日本の国際収支のグラフ
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2017fy.htm 財務省HP

第一次所得収支

黄色のグラフを見れば分かるように、ドンドン上がってきています。これは海外にお金を貸したり、株や債券の配当金で得た利益を表しています

日本は前のように、輸出モノを生産して海外に売ってお金を稼ぐスタイルから、市場取引で利益を得るスタイルに変わってきたのです

つまり国民所得の稼ぎ方が変わってきたのです

サービス収支

これは主に観光客です。前と比べたら相当増えてます。今じゃ外国人だらけです

日本はサービス分野が弱く赤字が続いていましたが、規制を緩和したことにより増えています。マイナスになっている赤色が無くなって来ているのが分かると思います

現段階で日本の観光客は約3千万人です。フランスの観光客は8千万人です。日本も頑張りましょう。外国人がお金を使ってくれれば、その分日本人の所得が増えます

貿易収支

青白の貿易収支が23年~26年の間、大きくマイナスになっています。これは東北大震災があった年です

今では貿易は回復しています

これからグローバル金融取引について解説します

グローバル金融取引とは

国をまたいで資金や資本のやり取りをいいます。アジア各国、アメリカ、ヨーロッパ諸国など、いろいろな国のお金が流通しています

1995年から世界の金融取引は増えてきました。そして2007年は約13兆ドル(1400兆円)のお金が世界で流通していたのですが、金融危機により酷く落ち込みます

リーマンショックですね。2015年では4兆ドル(440兆円)になってしまいました

グローバル金融の動き

リーマンショックにより国際的な金融危機が起きました。この時の2007年と2008年の金融取引の流れを説明します

資料は経済産経省の通商白書から持ってきています。アメリカを中心とした金融取引です

グローバル金融の動き
https://www.meti.go.jp/ 経済産経省HP

図は正常な時の流通です

イギリスとアメリカの金融取引が多く行われていますが、大きく欧州となっています

理由があって、イギリスは欧州中心の金融取引国なのです。欧州のお金がイギリスに集まって取引をしているので、イギリスの取引が大きくなるのです

世界でこんな感じで金融取引が行われているのが、イメージ程度分かれば十分です

リーマンショック後の金融の動き

グローバル金融の動き2
https://www.meti.go.jp/ 経済産経省HP

ほとんどの矢印が赤になっています。これは投資金や自国のお金を戻そうとして取引が逆流しているのです

国際金融危機が起こってしまうと、各国は自国のお金を戻してしまいます。他の国に預けていたら大変だ、となるので一気に流通するお金が減っていきます

他国のお金が信用できないとなるのは、いついなくなるかわからないからです

日本も同じように引き上げますが、ぶっちゃけ日本は別に引き上げる必要はありません

日本は世界一のお金持ち国家なので、仮にお金が消えても痛くも無いのです

なぜお金は流れるのか

金融危機が起きると、お金が流れますがどのような仕組みで動いているか説明します

為替取引というのは必ず1対1で取引します。3国はできません。

例えでいきましょう。新興国アメリカのドル、先進国日本の円

相手先と取引するためには、相手国の通貨が必要です。つまり円を売ってドルを買うのです

ドルを買うとアメリカの商品や株や債券を買うことができます。反対に円を売ったのでアメリカは円を持っています

金融危機が勃発しました、日本側は大量にドルを持っています。こんなドルを持っていても信用が無いから誰もドルを買ってくれない

持つだけ無駄だ!ドルが価値のない紙切れになる前に、売って円と交換だ。円を買い戻せば世界で通用するが、ドルは通用しない

日本側は持っているドルを全部売って円を買い戻しました

アメリカの国にドルは戻りましたが、円は日本に戻ってしまいました

これが流れるという現象です

金融危機が起きるとどうなるのか

問題はお金の信用がない新興国です。中南米や東南アジア、アフリカ諸国などです

発展するためにお金が必要なので、先進国からお金を借りています。ですがそのお金が戻されると何もできなくなるのです

自国のお金でやればいいじゃない、と思うかもしれませんが、新興国のお金は世界の流通市場では信用がなく、あまり取引が出来ないのでお金を借りて世界から商品や原料などを調達するのです

つまり金融危機が起こると真っ先にやばくなるのは新興国なのです

これをきっかけにG20が出来ました。G20のメンツは9割が新興国です

なぜ9割が新興国なのかはわかると思います。一番やばいのは新興国だからです。だから金融危機に備えて新興国同士でも助け合えるよう対策するのです

まとめ

国際収支の要点は3つあり、経常収支、金融収支、資本移転収支です

日本は第二次所得収支が増え始め所得の在り方が変わってきた

貿易黒字が続いた日本は世界一のお金持ち国家となった

金融危機になるとお金が逆流し、新興国がやばくなる

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この記事を書いた人

ビジネス、経済、心理学、簿記3級、起業、ドラムなど15年以上勉強してきた知識や情報、資格と知識の特化型ブログを発信中。

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