為替レートの変動要因やレートの決定要因。なぜ円安や円高になるのか、その理屈を解説します
為替レートの決定要因と円安円高の理屈を解説
記事の内容
円高や円安をしっかり基礎から解説
円安や円高になる理由やドルに対する円の解釈
固定相場と変動相場制の説明
なぜ相場は変動するのか
為替レートの決定要因は何か
アセットアプローチ、フローアプローチ、購買力平価説の3つの説明
為替レートが変動するのはなぜか
これらを解説します
外国為替レートとは
外国為替レートは、通貨同士の交換比率の事を言います
毎日ドルや円、ユーロなど世界で取引が行われています。このような市場を為替市場と言います
為替はドルを基軸通貨としており、ドルに対して安いか高いかなどの売買が行われています
ドルだけではなく、円に対するユーロ、ポンドに対するドルなど、取引の形は様々です
円安円高をしっかり理解しよう
ニュースを見ていれば、毎日円安だ~、円高だ~と聞きますが、円高円安の原理を知っていますか?
円高円安を知っておかないと、これから解説するこの記事の解釈がわからくなります。かなり重要なことなので、しっかり理解しておきましょう
円高?円安?
1$=200円から1$=100円になりました。さて円高円安どちらでしょうか?
答えは円高です
まず、1$=200円から1$=100円に下がったのに、どうして円安じゃないの?と思ったはず。私も当時はそう思いました
投資をやっている方は分かると思いますが、わからない人のために解説していきます
自国通貨建て為替レート
自国通貨とは、1$=100円のように円で基準を表すことを言います。自国通貨建てのポイントは、円で表現しているのではなく、ドルの価値を円の価格で表記している点に注目です
1$=100円のような表記は日本のやり方です
例えば、店に行って商品の値段をみると円で表記されていますよね
『今日は安いよ~、リンゴが100円だよ~!、バナナが200円だよ~、1$100円だよ~』
これと同じ原理で1$100円となっているだけです
考える視点を円に向けるのではなく、ドルに向けて考えます。1ドルが200円から100円に値下がりしたのでドルが安くなったと考えます。リンゴが200円から100円に値下がりして安くなった、これと全く同じことです
通貨のルールは、片方が安くなると、必ずもう片方は高くなります。ドルが安くなったのであれば、必ず円が高くなるのです
ドル安/円高、となります
単純にそうなんだね、と考えればいいのですが、いまいち理解できない方のために、見方を変えてみます
外国通貨建て為替レート
外国通貨建てとは、1円=100分の1$、のように外国通貨($)を基準に表記していることです。日本では見かけない表し方です
ポイントは円の価格を表していることです
1$=200円から1$=100円になると、外国通貨建て為替レートでは、200分の1$=1円から100分の1$=1円となります
1円の価値は200分の1$から100分の1$になり、単純に200分の2$となるので、2倍だから円高だとわかります
まだわからない方のために
強引な解説をします
1$=200円なら100円が2枚必要となります
1$=100円なら100円が1枚必要となります
コインが2枚必要だったのに、コインが1枚で買えるということは、コインの価値が上がったためです
もっとかみ砕いて説明すると
1$=100円とします
もし100円と書かれているコインの価値が50円の価値しかなかったら、2枚で1$を買えることになります
もし100円と書かれているコインの価値が100円の価値を持てば、1枚で1$を買えることになります
100円と書かれている円の価値が、50円から100円と価値が高くなったから1枚で買えるようになった
つまり円の価値が高くなった、円が高くなった、円高になった
これの逆が円安です
1$=200円とします
もし100円と書かれているコインの価値が200円の価値を持てば、1枚で1$を買えることになります
もし100円と書かれているコインの価値が100円の価値しかなかったら、2枚で1$を買えることになります
100円と書かれている円の価値が、200円から100円と価値が安くなったから1枚で買えなくなった、2枚必要になった
つまり円の価値が安くなった、円が安くなった、円安になった
おわかりいただけただろうか
変動相場制
変動相場制とは、外国為替レートが市場の需要と供給の変動によって、決定される通貨制度の事を言います
外国為替レートというのは、通貨と通貨の価格の決定を、投資家の売買で好き勝手にやってくれ、為替市場は任せる。このようなルールになっているので変動していくのです
実際は、為替市場に任せるとなっていますが、もし自国通貨があまりにも大きな変動を起こす場合は、中央銀行や政府が介入します
政府が介入しないことをクリーンフロート言い
政府が介入することをダーティーフロートと言います
政府が介入するというのは、円を売ったり買ったりすることです
急激な円高になった場合は政府が円を売ります。反対に円安になった場合は円を買います
つまり自国の都合の良いように相場をコントロールします
これを為替操作といいます
これをやると各国から批判がきます。なぜなら公平な貿易にならないからです
お隣のC国さんは、頻繁にやってますけどねw
アメリカ政府は5日、中国が自国の輸出に有利になるよう人民元を意図的に安く誘導しているとして、「為替操作国」に認定したと発表しました。アメリカが中国を為替操作国に認定するのは25年ぶりで、両国の対立がさらに深まりそうです
https://www3.nhk.or.jp/news/catnew.html?utm_int=all_header_menu_news-new web
為替レートの決まり方
上でも説明したように、為替の変動というのは需要と供給によって変わっていきます
つまり需要と供給の通貨の売買で変動し続けるのです。単純にこれだけです
何言ってるの?ってなるので解説します
なぜ変動するのか
皆さんの生活感覚で考えてみましょう
日給が100万円、1日の生活費が1万程度とします。月給が3000万、生活費が30万とします
こんなにお金を持っていても、はっきり言って使い切れませんよね。毎日豪勢に使いまくっても3000万もいかないでしょう
逆にお金が余り過ぎて困るわけです
『こんなに持ってても困るよ~』となります
なぜかと言うと、あまりにも多くのお金を持ちすぎると、使いきれなくて、ありがたみが無くなるからです
そうなるとお金の価値が下がります。為替市場において円の価値が下がることを、円安と言います
では日給が1万円、1日の生活費が1万とします。月給が30万、生活費が30万
『生活費が1日1万もかかっていたらお金が無くなるよ~、生活を切り詰めないとやっていけない』
お金使うことを控え、ため込んでしまいます
そうなると円の価値が高くなります。為替市場において円の価値が上がることを、円高といいます
相場の話に戻しますが、為替市場で投資家が円を売りたいとなると、円が市場に溢れてしまいます
そうなると円が多くなり価値が無くなるので、円安となります
逆に投資家が円を買いたいとなると、市場から円が無くなるので円の価値が高くなり、円高となります
このようなやり取りで為替は変動しているのです
数字の変動だけで分かるようにしよう
ニュースを見て円の数字の変動で、すぐ円の売買がわかるようにしておきましょう
円が売られると
1$=100円….110…120…130円と数字が上がっていきます
円安だ!
円が買われると
1$=100円….90…80…70円と数字が下がっていきます
円高だ!
円の数字が上がった時は、円が売られたんだな~となり
円の数字が下がった時は、円が買われたんだな~となるのです
しっかり覚えておきましょう
なぜドル安/円高、円安/ドル高になるのか
為替市場というのは、2つの通貨の取引で成り立っています。ドルと円の売買で解説します
投資家が円を買いたいとなると、持っているドルを売ることになります
となると、ドルを売って円を買うことになるので、ドルの供給と円の需要が成立します
逆に、ドルを買いたいとなると、持っている円を売ることになります
となると、円を売ってドルを買うことになるので、円の供給とドルの需要が成立します
ドルを売って円を買う
ドルが溢れ、円が無くなる
ドルの価値が下がる、円の価値が上がる
ドルが安くなる、円が高くなる。ドル安円高になる
円を売ってドルを買う
円が溢れ、ドルが無くなる
円の価値が下がる、ドルの価値が上がる
円が安くなる、ドルが高くなる。円安ドル高になる
固定相場制
固定相場制とは、外国為替レートを一定に固定し、中央銀行が介入義務を負う制度通貨の事です
実は、昔の日本はドルに対して、1$=360円と相場を固定していた時代がありました。そうなると中央銀行、今の日銀ですが、相場を常に監視しなければなりません
なぜかというと、ドルが売られると360円にならず、340、300と価値が変動するからです
なので日銀は円を売ってドルを支えるわけです。日銀は徹底的に介入し1$=360円を維持していました
もはや市場は介入が不可能
今の為替市場というのは、先進国において固定相場制は無理になっています
民間の取引金額が物凄いことになっていて、中央銀行が抑え込むことが出来ないのです
例えば、急速な円高を抑え込むために日銀が介入しても、円高が止まらない!なんてことはよくあることなんです
もはやレートを固定するなんてことは、雲をつかむような話なのです
為替レートの決定要因
国がやっている資産運用は聞いたことがあると思います。個人としてではなく、年金で運用するGPIF (年金積立金管理運用独立行政法人 )です
為替の変動要因は時間軸によって変わります。それと決定要因は通貨と通貨の交換比率なので需要と供給により決定します
需要と供給に与える要因は何なのか、ということを説明していきます
時間軸とは、超短期、短期、長期の事です
アセットアプローチ(超短期)
ニュースなどで為替相場を見ていると、数字が上がったり下がったりと常に変動しているのを見たことないですか?
あの変動がアセットアプローチです
アセットアプローチとは、輸出や輸入のような移動など、時間がかかるモノは、超短期においては影響は与えません
投機的な資金の流動が電子取引により変動を与えます。アメリカの方が儲かると思えば円を売ってドルを買います
逆に日本の方が儲かると思えばドルを売って円を買います。国と国の資金の移動が電子取引により一瞬で行われます
資金移動を国際資本移動といいます
この数字の変動こそがアセットアプローチです。資産運用の意味でも同じです
フローアプローチ(短期)
短期の長さで言えば、超短期ほど一瞬でもなく、物の移動ができる時間ぐらいなので数か月程度です
資金の移動は一瞬で終わるので、短期においての主役は輸出輸入のモノになります
輸出や輸入の貿易によって需要と供給は変動します。これをフローアプローチといいます
フローと言うのは一定期間による流れを意味します。例えば1年間でどれぐらい貿易などでモノが変化したのか、商品が減ったのか増えたのか、ということになります
このような考え方からフローと付いています。フローチャートも同じ意味です
購買力平価説(長期)
もっと長い期間、5年や10年で物事が変化する長期では、物価水準が外国為替市場の需要や供給に影響を与えます
これを購買力平価説といいます
購買力というのは、買う力が同じになるように外国為替レートが決まることを言います
なぜ1$が100円になるんですか?といわれるのは、同等の価値があるからです
例えばA商品を1ドルで買えるなら、100円でも買えます。それは貨幣の価値が同じだからです
通貨の価値というのは、どれだけの物が買えるのか、ということなんです
1万円よりも2万円の方が価値が高いのは、2倍多く買えるからです
この定義をもっと単純化したのがビックマックレートです
ビックマックレート
これには定義があります。この世はビックマックしかない、という前提で成り立っています
結構つらいですねw 朝昼夜すべてビックマックだと食べる気が無くなるw
ビックマックの価値の変動を例えでいきます。円安円高の理屈が分かればかなり簡単に理解できます
2000年
日本のビックマックは200円
アメリカのビックマックは1$
1ドル=200円
その後アメリカの景気盛り上がり物価が高くなってきました。ですが日本では物価は安定しています
2010年
日本のビックマックは200円です
アメリカのビックマックは2$
2ドル=200円
景気が盛り上がり物価が上昇したので2ドルになりました
ビックマック2ドル200円となりました。表記がおかしいので直すと、1$=100円になります
1ドルで買えていたビックマックが買えなくなったのは、アメリカドルの価値が下がり、円の方が強くなったからです
これがビックマックレートです。この現象が為替レートに打撃を与えます
為替による変動
国の景気により為替レートは大きく変わります
例えば、日本で景気が盛り上がりデフレ脱却してインフレになった。つまり物価が上昇し始めたのでお金の価値が下がってきた
1万円で買えるモノが少なくなってきたのでお金の価値が下がったことになります
物価が上昇すると貨幣の価値が下がる
通貨価値としても貨幣の価値は下がる
為替レートは安くなる
貨幣価値が同等にならないので、アメリカ商品がいっぱい買えることになります
日本で景気が盛り下がりインフレ脱却してデフレになった。つまり物価が下降し始めたのでお金の価値が上がってきた
1万円で買えるモノが多くなってきたのでお金の価値が上がったことになります
物価が下降すると貨幣の価値が上がる
通貨価値としても貨幣の価値は上がる
為替レートは高くなる
貨幣価値が同等にならないので、アメリカ商品がいっぱい買えないことになります
まとめると
景気が悪くなると、為替では有利になり
景気が良くなると、為替では不利になる
まとめ
1$=100円の数字が上がれば円安
1$=100円の数字が下がれば円高
為替は円やドルの売買で変動する
為替レートの決定要因には、、フローアプローチ、購買力平価説の3つある
景気が悪いと為替は有利になり、景気が良いと為替は不利になる