アダムスミスの経済学は現代社会の基礎になっている

アダムスミスの時代、神の見えざる手、経済学の父と呼ばれ、かつ道徳哲学者だった彼のマクロ経済学はここから始まります

目次

アダムスミスの経済学は現代社会の基礎になっている

[box class=”green_box” title=”記事の内容”]アダムスミスの経済学とはどのようなものか、神の見えざる手とは何か、なぜ経済の父と呼ばれたのか、彼の時代や経済を左右する道徳観念を解説します[/box]

アダムスミスの時代背景

アダムスミスは、1723~1790に生きたスコットランド人です。実は経済哲学者というよりは、道徳哲学者の教授で有名です

当時のスコットランド人は、イングランドに支配されており、政治的に自由が無く、国内では許可を受けた商人や製造業者が事業を独占していました

なのでスコットランド人は、勉強や学問の方に力を入れ、産業や製造業をどんどん盛んにしていきます。その時代背景をスコットランド啓蒙期といいます

啓蒙けいもうとは、何も知らない人たちに正しい知識を教えていくことです

そんな啓蒙期にアダムスミスはいました

当時のイギリスは植民地を求め戦争をしていましたが、戦争にはお金がかかるため、オランダに借金をし、国内で国債を発行して金融市場を大きく発展させます

国内では重税や植民地による課税などが多く掛けられていました

この課税が嫌になり、西に植民地を求め多くのイギリス人は移動していきます

これがのちのアメリカであり、課税をめぐりアメリカ独立戦争が起きます

当時の経済

アダムスミスが経済学を唱えるまでの経済とはどのようなものだったのか

当時は重商主義でした

重商主義とは、国家の保護の下、貿易黒字を生み出すことにより、多くの貨幣を獲得し、国富の増加となる考え方です

国富とは国民の富、今で言うGDPです

それまで経済学というものは存在せず、アダムスミスが一番最初の経済学者と言われています

アダムスミスの経済学

アダムスミスが取り組んだ課題とは何か?これがのちの経済学となります

国富

先ほど説明した重商主義では、貨幣、及び金や銀を集め富を得ようとしても、それは豊かではない

一部の人間に富が集中しても、国としては成り立たず、国民が財やサービスを消費することで国富となることが重要と位置付けました

国富とは人々が消費する財のことである

生産性

勤勉であり、身体能力も正常であるのに国富が増えないのは、生産性が低いからである

つまり分業や協業として生産をするべき

人口が多くいても、効率や段取りが悪いと作業の生産性が下がります

国富の拡大は、分業と協業で生産性を拡大させる

資本

人口が多く、分担作業が出来ていても、資本がないと効率は上がらない

農業で言えば、耕すにはスコップや桑がいる。運び出すにはバケツやキャリーカーなどがいる

稼いだお金でこれらの作業道具(これが資本になる)を買い、資本を作業に投ずることで作業効率が向上し生産性が上がる

資本を事業に投下することで、経済は拡大していく

資本を投ずる産業

何を置いてもまずは食べることが優先。最初に重要視すべきは農業を活性化させること

農業が盛んになれば原材料に余裕が出来てくる。余った材料は工場などの生産物に活かせる

生産物が拡大すると、今度は売り買いする商業が発展するようになる

つまり資本を投ずるには、投ずる順番が大事だということ

農業 ⇒ 工場 ⇒ 商業の順番で資本を投じた方が国富は拡大する

アメリカ独立問題と財政再建

当時は植民地を求めて各国で戦争が多く行われていました

もちろん植民地を守るために、防衛費などのコストも膨れ上がっていき、植民地をめぐる戦争で財政危機に陥る可能性がありました

今のアメリカ(当時はまだアメリカではなく、イギリスの植民地)と貿易をしても場所が遠いのでコストが上がる

近いフランスやオランダなどと貿易をした方が近いので効率が良く、アメリカの独立を認めてはどうか、などの問題も浮上していた

当時のアメリカ(イギリスの植民地)は広大な土地を活かし経済が拡大していたため、資本を投ずる考え方が商業第一になっていた

農業が優先になのに、商業が優先されるのはおかしいと主張

アメリカの独立を認め、近隣諸国と自由貿易に転換して、他国との対立関係をやめて軍事を削減し、財政再建を目指す

これら5つの事を体系的に経済を説明できたので経済学の父と呼ばれるようになりました

これら5つの事は今の社会経済の基礎になっています(アメリカ問題は除く)

アダムスミスの道徳観

いくら経済学が説明できても現実経済はそんな簡単ではありません。今の経済を生きている皆さんであれば実感できると思います

アダムスミスは人間の道徳観も経済に大きく関係していると主張しています。しかも彼は道徳哲学者でもあります

経済を動かす道徳観とは何かを見ていきましょう

同感

人間の感情は経済に大きく関係していると言います

例えば、自分の利益を優先するから他人にはかまってられない

正論のように見えますが、人はそのような生き方をしていません。困っている人がいれば手を差し伸べ助けようとします

自分に利益や権益が無くても、お互いが助け合うことの重要性を認識しています。他人に共感し、同調することで協力関係を構築していく

これが同感になります

内面の自分への評価

世間というのは結果で判断してしまいます。努力や頑張りなど評価してもらえず、形だけで判断します

それはなぜかというと、人の査定判断が簡単にできるようになり、結果の内容でステータスを決めることが出来るからです

逆を言えば、結果さえ出していれば中身の内容は自己判断になります

つまり努力をしようが、ズルしようが、結果さえ評価してもらえばグレーゾーンでも許されると思うようになります

グレーゾーンとは法律違反ギリギリ、もしくはちょっとした法違反をやることです

社会的秩序の形成

社会は規制緩和や人間の道徳心でルールが作られています

やってはいけないことは明確になっていますが、人の感情というのはたまに抑えきれず、先ほどもいったグレーゾーンでも許されることがあります

他人は違反をして利益を得ているのだから、自分がやっても許される、皆やっていることだ

そんなことが当たり前になっています

ですが、ルールがある以上、良心の呵責や道徳観念、他人に対するモラルなどで、大きな犯罪は起こらず、社会的秩序は保たれているのです

見栄の原動力

他人に言い格好を見せたい、他人に凄いと思われたい、このような見栄を張ることで仕事や活力が向上していきます

動機は不純であっても、自分を凄く見せることで、仕事や創造が向上することはとてもいいことなのです

他人、もしくは地位が高い人などに認められることで野心が芽生えてきます

これらの道徳観により、競争が起き、経済は成長し、活性化していきます

アダムスミスの経済理論と現代社会

アダムスミスの経済理論は、基本的に市場に任せておけば良いと主張しています

その背景としては、市場の需要に合わせて供給は勝手に調整される

他人に財やサービスを提供するために、良いものを作ろうと努力をするようになる

労働価値が向上し、賃金は長期的に持続していく

物価の価値は供給と需要によって勝手に決まる。需要供給に関してはこちらに詳しく書いています

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全ては競争市場に任せておけば上手くいく。政府が介入しなくても市場が自動的に活性し経済が成長していくのだ

この現象を神の見えざる手と表現しました

インターネットの存在

アダムスミスの唱えた経済理論と現代社会では何が違うかは明確です

それはインターネットです

インターネットの存在で情報化社会になり、個人のデーターはSNSで見られる時代になりました

現在の資源はビッグデーターともいわれるぐらい時代は変化しました。アダムスミスの時代とは違う社会であり、経済論も変わってきました

つまりインターネットが出来たことで、神の見えざる手が通用しなくなってきているのです

まとめ

アダムスミスの経済学は、国富、生産、資本、資本を投ずる産業、財政再建が経済成長になる

政府は介入せず、市場に任せておけば、神の見えざる手によって市場は活性化する

市場競争は、ある種人間の道徳観念によって社会的秩序は守られ、互いは助け合い、見栄により野心が芽生え競争が起き、経済は成長していく

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この記事を書いた人

ビジネス、経済、心理学、簿記3級、起業、ドラムなど15年以上勉強してきた知識や情報、資格と知識の特化型ブログを発信中。

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