裁量的財政政策とは、不景気や好景気時に適切な政府の財政政策のことをいいます。
ここでは、裁量的財政政策の他に、プライマリーバランス黒字化の嘘や景気回復するためにどのような対策が良いのか分かるようになります。
裁量的財政政策とは
裁量的財政政策とは、不景気時や好景気時に応じて、政府が日銀からお金を借りて、企業や民間の代わりにお金を使って景気を安定させる政策です
日本の現状で言えば、今不景気です。政府はお金を借りて、企業に仕事の依頼をします。企業の仕事を増やして雇用を生み、国民に消費をしてもらわなければいけません
景気の良い時悪い時の政策は変わりますので、くわしく解説します
不景気時の裁量的財政政策
政府が代わりにお金を使って仕事を増やすことを、財政出動といいます。又は拡張的財政政策ともいいます
裁量的財政政策により景気回復の流れを説明します
1:政府は景気が悪いので税金の割合を下げ減税対策をします
2:減税によって可処分所得が増えます
3:可処分所得が増えると消費に回すので、財やサービスの需要が増えます
4:政府はお金を使って企業の仕事を増やせば、消費が増えるので需要も増加します
5:需要が増えると、企業は供給を増やすために銀行からお金を借りて投資を増やします
6:供給を増やせば、需要と供給は活性化するので 国内総生産は増えます
7:国内総生産GDPが増えれば景気は過熱していきます
好景気時の裁量的財政政策
政府はお金を使うことをやめ財政出動をストップすることを、緊縮財政といいます、又は緊縮的財政政策ともいいます
裁量的財政政策により、景気過熱を抑えて消費を減らす流れを説明します
1:政府は景気が良いので税金の割合を上げ増税対策をします
2:増税によって可処分所得が減ります
3:可処分所得が減ると消費に回らないので、財やサービスの需要が減ります
4:政府はお金を使うのをやめるので、消費が減るので需要も減少します
5:需要が減ると、企業は供給を減らすために銀行からお金を借りず投資を減らします
6:供給が減れば、需要と供給は不活性化するので 国内総生産は抑えられます
7:国内総生産GDPが抑えれば景気の過熱は減速していきます
裁量的財政政策により景気の変動を政府のテコ入れでコントロールします。
ですが裁量的財政政策も良い事ばかりではありません。短所も見ておきましょう
裁量的財政政策の短所
円高ドル安による経常収支悪化です。
裁量的財政政策により国民の所得が上がり、景気が良くなると企業の取引が活発化してきます
そうなると銀行の貸出が増えるので利子率が増えてきます
利子率が増えると、海外の投資家は日本の方が利子率が高くて良いな~、となるのでドルを売って円を買う流れになります
そうなると円高ドル安になり輸出に打撃を与えます。逆に海外製品は安く買えるので国内供給が低下し景気は減速となります
輸入が増え輸出が減るので貿易赤字となり、経常収支は悪化してしまうのです
円高円安に関する詳しい記事はこちらになります
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裁量的財政支出に大きく関係してくるのが、プライマリーバランスです。
プライマリーバランスとは
プライマリーバランスとは基礎的財政収支のことで通称PBと呼ばれます。全ての負債関係を除いた財政の収入と支出の合計です。財政支出の中身といった感じです。
PB=(歳入-公債金収入)-(歳出-国債費)となります。
今から出す資料は財務省HPからであり2018年度になります。
歳入
歳入とは国民から得た全ての税収です。このことを一般会計といいます
合計は81.7兆円となっています。大きいので縮小して載せているので見にくいかもしれません
歳出
歳出とは、地方政府や中央政府、地方公共団体や各省庁に支出するお金ことです
合計は94.6兆円です
公債金
公債金とは、国や地方公共団体などの税収が不足しそうな時に、債券を発行し税収を補うことです。政府の負債の事です
債券を発行し得た税収だから公債金収入と言います
公債金は32.6兆円となっています
国債費
国債費とは国が発行する国債のことであり、国が保証する債券みたいなものです。償還するまでに国が費用を負担します。この国債は売買が可能で、僅かばかりですが利子も付きます
国債費は23.5兆円となっています
全ての数字を合計してみましょう
(81.7-32.6)-(94.6-23.6)=-21.9となるので、プライマリーバランスは赤字となります
PBのバランス均衡
PBのバランス均衡とはGDPに対する政府の負債残高(債務残高)の割合の事です。分かりにくいですね
例えば、年収500万の人が銀行からいくら借りていますか、ということです
もし、年収500万の人が1000円万借りていれば単純に2倍になるので負債は2倍なのでバランスは不安定
もし、年収1000万の人が500万借りていれば単純に2分の1になるので資産は2倍なのでバランスは安定
これを日本の現状に合わせると政府の負債1000兆、GDP500兆なので不安定となります
政府のPB目標
政府はプライマリーバランス黒字化を目標として掲げています。
一見まともな政策のように見え、消費税が上がるのも仕方ないと思うでしょう。ですが
この政策は全くの大間違いです
なぜ間違っているのか解説します。
プライマリーバランス黒字化の嘘
プライマリーバランス黒字化とは、財政健全化を指します。ニュースでも財政再建と称し健全化を目指しています
結論から言いますと、黒字化達成すると我々の所得は大きく下がり、国民はド貧乏のド貧民になります
上でも説明した通り、不景気時の裁量的財政政策とは財政出動を指します
つまり政府はお金を借りて赤字を拡大しないといけません
財政赤字こそが景気を良くする
皆さんは財政赤字と聞くとヤバいとか、破綻するなどイメージすると思います。その間違いに政府や財務省は付け込んで洗脳してきます
不景気時の裁量的財政政策で出てきた、財政出動というのは、国債を発行して政府が借金して、国民に仕事を与え、所得を増やし消費を増やす政策です
つまり政府がお金を借りて赤字を拡大すれば、仕事を請け負った国民はそのお金を持つことになるので、黒字になります
単純に考えて、赤字が増えれば、反対に黒字が増えるのです。お金を借りている人がいれば、反対に貸している人がいます
仮に国の借金が1000兆円もあるのなら、反対に貸した預金も1000兆円あるということです
政府の負債が1000兆円あるなら、国民が1000兆円貸しているのです
政府の負債と書いたのは、正しい言い方だからです。通常は国債の発行や債務残高のことを国の借金と言われています
国の借金ではなく、政府の負債が正しいのです
国のお金の移動は、政府と国民の2つしかありません。政府が赤字であれば、反対に国民が黒字になるのです
逆にプライマリーバランス黒字化を目指すということは、国民の所得を吸い取ることになるので、国民のお金は政府に流れます
政府が黒字化を目指すと国民の所得は赤字になり、ド貧乏ド貧民になります
ちなみに所得の吸い取り方法を消費税と言います
政府の負債は=赤字になるので、国民にとっては黒字になり、国民の所得は拡大しGDPも拡大します
対GDP比率の話も、債務残高が増えればGDPも増えるので不安定でいいのです。
まとめ
裁量的財政政策とは不景気時には、財政出動し、好景気時には緊縮財政をすれば経済は安定する
プライマリーバランスとは全ての負債を除く、税収の収支と支出の計算の事
プライマリーバランス黒字化とは全くの大嘘。
財政赤字こそ景気が良くなるので、大いに赤字を拡大させればいいのです。