現金過不足の消し方を理解していないから精算表でつまづくのです

現金過不足がわからないのは、取消し方を知らないから他の勘定科目と仕訳る理屈が理解できないのです。精算表では費用と収益が増えます。減ることは絶対ありませんし、資産や負債を転記することもありえません。なぜそのようなことになるのか基礎から学んでいきます。

現金過不足の仕訳や精算表問題につまづいていませんか?

実は現金過不足の取消し方がわかれば簡単です。

実際、精算表から財務諸表を作成する時、現金過不足が無いため取消す方法を知っておく必要があります。

まず現金過不足の仕訳方を理解し、現金と他の勘定科目と仕訳方を学びます。そのあと雑損や雑益に振り替え転記します。

この記事を読めば、問題集や試験問題の解き方、実際に財務諸表を作成するために必要な仕訳方を理解でき、明日から現金過不足問題に悩むことはありません。

ポイントは3つです。

  • 現金過不足とは何か?
  • 現金過不足の取消し方
  • 現金と他の勘定科目の仕訳方

では具体的に解説していきます。

現金過不足とは何かを理解すれば問題は解決する

現金過不足問題を解けるようになるには取消し方を理解しないといけません。

現金過不足と仕分けるのは、費用と収益、資産と負債の4つのみです。精算表への転記は雑損と雑益のみです。

最初に現金過不足と費用と収益、資産と負債の基礎仕訳を理解し、その後に現金過不足の消し方、現金と費用と収益、資産と負債の仕訳方を理解します。

精算表には現金過不足と現金、雑損と雑益の仕訳を転記します。

現金過不足とは何か?どうして次期に持越せないのか?現金過不足を取消す理屈とは?を理解すれば問題文、および実際に財務諸表を作成する時に迷うことはありません。

必ず理解できることを約束します。

現金過不足をしっかり理解しておくこと

会社の取引を日々していると、口座取引と帳簿記録が食い違っていることが多々出てきます。

帳簿記録と現実の銀行取引との記録に違いが生じると、決算の時につじつまが合わなくなるので現金過不足を使います。

問題文では帳簿残高と実際有高の2つの用語がでてくるので理解しておきましょう。

帳簿残高

日々の取引きを記録したノート(電子版)のことであり計算上あるべきお金の事。

実際有高

企業間や個人間の取引を行う現金の事。

なぜ現金過不足が必要なのか?

現金増減の詳細がわからない場合は、そのままにしておくわけにはいかないので、とりあえず決算まで現金過不足を使って仕訳します。この処理をしておかないと横領される可能性が出てきます。

現金過不足は決算までに間に合わせで使う仮勘定であり、どこにも属していません。

雑損や雑益処理は良い事ではない

詳細不明な現金は現金過不足を使って処理しますが、決算では雑損や雑益を使って損益決算書に費用や収益として計上します。

現金が多かった場合は雑益となり、少ない場合は雑損となります。詳しい仕訳はこの後説明します。

ただ雑損や雑益を使うことはあまり良い事ではありません。

なぜなら詳細不明の現金処理をしているからです。

例えば、出所不明の現金が増えても雑損や雑益の処理ですむので、脱税や粉飾決済、横領が増えてしまいます。

そのため雑損や雑益を多用すると税務署の調査対象となり調べられます。

しかも現金過不足は取消し当期で処理しないといけません。つまり次期には持ち込まめないのです。

現金過不足は次期に持越せない

現金過不足は精算表で処理できません。必ず消して雑損や雑益として処理します。

現金過不足を次期に持ち込んでしまうと原因不明な処理が残ったままになり、いつまでたっても解決されないままになります。

これも横領や脱税の手口に使われてしまいます。

現金過不足の仕訳から清算表転記まで

現金過不足や雑損や雑益の基本的な知識はこれぐらいで大丈夫です。ここからは本格的な仕訳を説明していきます。

食違いを発見した時の現金過不足の仕訳

ある日、実際有高と帳簿残高が合ってない事に気づきました。

現金過不足を使ってつじつま合わせをします。注目は実際有高の金額が多いか少ないかで仕訳が変わります。

帳簿残高が多い場合

実際有高が100、帳簿残高が150だった場合、実際有高が少ないので現金50を取り消します。

借方貸方
現金過不足 50現金 50

帳簿残高の現金150-50=100になり実際有高100と合うようになります。

実際有高が多い場合

実際有高が100、帳簿残高が50だった場合、実際有高が多いので現金を付け足します。

借方貸方
現金 50現金過不足 50

帳簿残高の現金50+50=100になり実際有高100と合うようになります。

最初にする仕訳は現金が借方か貸方か、どちらかだけです。

現金が多い場合は借方、現金が少ない場合は貸方になります。

原因が判明した時の現金過不足の仕訳

原因が判明した場合は、現金過不足と仕訳します。

注目は現金過不足がどちらにあるかです。

借方に現金過不足がある場合は現金が少ない

貸方に現金過不足がある場合は現金が多い

これを必ず覚えておいてください。

現金過不足が費用の場合

借方に現金過不足がある場合は現金が足らないことを意味します。

お金で支払った、もしくは購入したなどの負債や費用などが当てはまります。

なぜならお金を使っているからです。

例えば何かの費用を支払ったからお金が不足している、となります

さきほどの現金50円から30円分だけ原因判明したので仕訳します。

この仕訳は現金が少ない。

借方貸方
現金過不足 30現金 30

原因は広告宣伝費(費用)と判明しました。

借方貸方
広告宣伝費 30現金過不足 30

費用の増加は借方、現金過不足は貸方となります。

現金過不足が負債の場合

現金が不足していたのは買掛金を支払ったからだと判明しました。

この仕訳は現金が少ない。

借方貸方
現金過不足 30現金 30

原因は買掛金(負債)と判明しました。

借方貸方
買掛金 30現金過不足 30

負債の取り消しは借方、現金過不足は貸方となります。

現金過不足が収益の場合

貸方に現金過不足がある場合は、現金が多い事を意味します。

そのため資産や収益がきます。

なぜなら費用負債は現金を減らす勘定科目だからです。現金が多いのに減らす勘定科目だと理屈が通じません。

この仕訳は現金が多い。

借方貸方
現金 30現金過不足 30

原因は受取手数料(収益)と判明しました。

借方貸方
現金過不足 30受取手数料 30

収益の増加は貸方、現金過不足は借方となります。

現金過不足が資産の場合

現金が多かったのは売掛金を回収したからだと判明しました。

売掛金は資産なので回収することで現金が増えます。

この仕訳は現金が多い。

借方貸方
現金 30 現金過不足 30

原因は売掛金(資産)と判明しました。

借方貸方
現金過不足 30 売掛金 30

資産の取り消しは貸方、現金過不足は借方となります。

これで詳細不明の現金は50-30となり、残りの現金過不足は20円分になります。

仕訳の流れを理解が出来ていないのであれば、基本を理解していないというこになります。しっかり仕訳を出来るようにしておきましょう。

仕訳をわかりやすくするには勘定科目の増減を接点として考える

2018年8月9日

決算まで原因判明しなかった仕訳

現金過不足は原因が判明するまでの一時的な仮勘定科目です。原因が判明しないからと言って、いつまでも帳簿に残しておくことはできません。

決算日に原因が判明しないものは、雑損や雑益として処理します。

再びこの考えを利用します。

借方に現金過不足がある場合は現金が少ない

貸方に現金過不足がある場合は現金が多い

残りの現金過不足は20円残っているので、雑損や雑益で処理します。

現金過不足を雑損として処理する

借方に現金過不足がある場合は、現金が足らないことを意味します。

現金が足らないので損をしている、そのため雑損は費用なので借方。現金過不足は逆の貸方になります。

この仕訳は現金が少ない。

借方貸方
現金過不足 20現金 20

雑損は現金が足らない。

借方貸方
雑損 20 現金過不足 20

雑損は費用の増加なので借方、現金過不足は貸方となります。

現金過不足を雑益として処理する

貸方に現金過不足がある場合は、現金が多いことを意味します。

現金が多いので得をしている、そのため雑益は収益なので貸方。現金過不足は逆の借方にします。

この仕訳は現金が多い。

借方貸方
現金 20現金過不足 20

雑益は現金が多い。

借方貸方
現金過不足 20 雑益 20

雑益は収益の増加なので貸方、現金過不足は借方となります。

最終的に現金過不足と雑損や雑益の仕訳で精算表に移します。

現金過不足の精算表

決算時に現金過不足の残高がある時は、当期の現金過不足が原因不明のまま未処理であることを意味します。

当期に原因が判明した場合は適切な処理をしますが、決算日になっても原因が判明しない場合は、現金過不足と雑損や雑益で処理します。

現金過不足と雑損の転記

借方貸方
現金過不足 20現金 20
雑損 20現金過不足 20

雑損と現金過不足を精算表に転記します。

現金過不足と雑損を精算表に転記している

現金過不足は必ず取消され、損益決算書の雑損は費用として必ず増えます。

現金過不足と雑益の転記

借方貸方
現金 20現金過不足 20
現金過不足 20雑損 20

雑益と現金過不足を精算表に転記します。

現金過不足と雑益を精算表に転記している

現金過不足は必ず取消され、損益決算書の雑益は収益として必ず増えます。

以上までが問題集や試験などに出てくる仕訳方です。実際の精算表は現金過不足は無く、現金として処理します。

実際の仕訳は現金過不足を消さないといけない

これまでの仕訳は、テストや試験などの基本的な仕訳の解釈です。ここからは実際に現金過不足の消し方を解説します。

決算日で現金調査を行ったことで判明した現金過不足は、発生と判明を同じ日に行うことから、現金化不足を用いないで仕訳します。

ですが仮とはいえ、一度現金過不足を当てはめると、どこかで取消さないといけません。取消すには簿記のルールで反対側に現金過不足がもう1つ存在しないと消せません。

実際に現金過不足を使うとなると、今までのような仕訳をやるわけにはいきません。必ず現金と仕訳し、かつ現金過不足の勘定科目を消さないといけません。

  • 何かの勘定科目と現金を仕訳る。
  • 現金過不足は必ず取消す。

この2つがポイントとなります。今までの仕訳をもう一度やっていきます。

費用の現金過不足と現金

詳細不明の現金が広告宣伝費を支払ったと判明した。

借方貸方
現金過不足 30 (取消す)現金 30
広告宣伝費 30現金過不足 30 (取消す)

貸方と借方の現金過不足を取り消します。

借方貸方
広告宣伝費 30現金 30

費用の増加は借方、資産の減少は貸方となります。

損益決算書の費用は増えるので減ることは絶対ない。

負債の現金過不足と現金

詳細不明の現金が買掛金を支払ったと判明した。

借方貸方
現金過不足 30 (取消す)現金 30
買掛金 30現金過不足 30 (取消す)
借方貸方
買掛金 30現金 30

負債の取り消しは借方、資産の減少は貸方となります。

貸借対照表の負債が増えることは絶対ない。

収益の現金過不足と現金

詳細不明の現金が受取手数料を受け取ったと判明した。

借方貸方
現金 30 現金過不足 30 (取消す)
現金過不足 30 (取消す)受取手数料 30
借方貸方
現金 30受取手数料 30

収益の増加は貸方、資産の増加は借方となります。

損益決算書の収益は増えるので減ることは絶対ない。

資産の現金過不足と現金

詳細不明の現金が売掛金を回収したと判明した。

借方貸方
現金 30 現金過不足 30 (取消す)
現金過不足 30 (取消す)売掛金 30
借方貸方
現金 30売掛金 30

資産の取り消しは貸方、資産の増加は借方となります。

貸借対照表の資産が増えることは絶対ない。

雑益の現金過不足と現金

原因不明なので雑益として処理することにした。

借方貸方
現金 20 現金過不足 20 (取消す)
現金過不足 20 (取消す)雑益 20
借方貸方
現金 20雑益 20

収益の増加は貸方、資産の増加は借方となります。

貸借対照表の現金が増え損益決算書の収益が増える。

雑損の現金過不足と現金

原因不明なので雑損として処理することにした。

借方貸方
現金過不足 20 (取消す)現金 20
雑損 20現金過不足 20 (取消す)
借方貸方
雑損 20現金 20

費用の増加は借方、資産の減少は貸方となります。

貸借対照表の現金が減り損益決算書の費用が増える。

この状態にしないと現金過不足は取り消せないということを覚えておきましょう。

現金の精算表

実際に精算表に転記する場合は、現金過不足はないので現金と雑損や雑益として処理します。

現金と雑損の転記

この仕訳を転記します。

借方貸方
雑損 20現金 20

当期の利益として現金は100円とします。

現金と雑損を精算表に転記している

現金と雑損を転記するとこのようになります。

現金と雑益の転記

この仕訳を転記します。

借方貸方
現金 20雑益 20

当期の利益として現金は100円とします。

現金と雑益を精算表に転記している

現金と雑益を転記するとこのようになります。

以上までが現金の仕訳方と取消し方の全てです。この理屈を使って具体的なテスト対策をします。

試験対策について

現金過不足問題は第5問の精算表問題で必ず出てきます。

実は現金過不足の試験問題は幅広くでてきます。

色々なパターンで出てくるので、毎回共通した問題が出ません。現金過不足のテスト問題は数をこなすことでなれます。

例題を1つやってみましょう。

問1
決算日における現金の実際有高は560,000であった。帳簿残高との差額のうち3,600については通信費の記入漏れであることが判明したが、残額については原因が不明なので、雑損又は雑益として処理する。
(決算整理残高試算表に現金564,000と明記してある)

解答
現金の帳簿残高564,000を実際有高560,000に合わせるため、帳簿残高より4,000減らします。なお、原因の判明した『通信費の記入漏れ』は通信費勘定の借方に振替、判明しなかった借方差額400を雑損とします。

借方貸方
通信費 3600
雑損 400
現金 4000

問題を解くコツ

現金過不足は問題が他種様々に出てくるので試験対策のパターンをつかみましょう。試験問題は現金を仕分ける問題が多く出されます。

なぜかというと雑損と雑益の勘定科目を使わせたいからです。途中で原因が判明してしまったら使えません。ですが裏を返せば、雑損と雑益を使った問題は仕訳の形が決まってしまいます。

そのためパターンをつかんでおけば簡単になります。現金過不足の仕訳は実際有高が多いか少ないかの判断になります。

借方貸方
費用や負債の勘定科目
残りは雑損でカバーする
不足する現金の数字が入る

実際有高の数字が少ないと雑損なのでこの仕訳になります。

借方貸方
補足する現金の数字が入る収益か資産の勘定科目
残りは雑益でカバーする

実際有高の数字が多いと雑益なのでこの仕訳になります

まとめ

決算時には現金過不足勘定は必ず取り消します

損益計算書にも貸借対照表にも現金過不足項目はなく、上記の問題文を見れば分かるように現金過不足勘定はなくなっています

  • 最初の仕訳は必ず現金が貸方か借方かどちらかに分けます
  • 現金過不足が借方にある場合は、貸方に現金を減らす勘定科目
  • 現金過不足が貸方にある場合は、借方に現金を増やす勘定科目
  • 現金が少ない場合は雑損
  • 現金が多い場合は雑益

この特徴を覚えておきましょう