貸倒引当金の仕訳はストーリーで覚えるとわかりやすい

景色

貸倒引当金の仕訳は時系列の説明がもっと深く理解できます。ストーリー感覚で学習しましょう。

このような悩みを持っている方は必読!

貸倒引当金をもっとわかりやすく説明してほしい

貸倒引当金の仕訳方が理解できない。

貸倒引当金をどのように解釈すればいいの?

これらの悩みを全て解決できます。

貸倒引当金というのは、売掛金が回収できなかった時に適用する応急処置の事です。

他社との取引において現金回収できなかった事を想定して、貸倒引当金を設定しリスク対策します。

売掛金が飛べば、利益を失い商品も回収できません。かつ自社のお金で補填しないといけません。

本来回収できるはずだった売掛金が飛ぶと仕訳が出来ません。売掛金の仕訳を成立させるために借方に貸倒引当金の勘定科目を使うのです。

とは言っても分からないと思うので、わかりやすく解説します。

ポイントは3つです。

  1. 時系列で貸倒引当金は仕訳る(ここで貸倒引当金に関わる仕訳や用語が出てきます)
  2. 貸倒引当金の基本的な解釈
  3. 貸倒引当金の試験対策はパターンで攻略

では具体的に解説していきます。

時系列で貸倒引当金は仕訳る

時系列をストーリ立てでやっていきます。その都度仕訳を解説していきます。

設定として当期は、1月1日〜12月31を当期の期間とします。

世紀末2000年の仕訳

1年間の取引で区切っていきます。当期の取引と決算時の対処がメインになります

4月1年に商品を売上げました

売掛金の仕訳

撃沈商店に商品100円を売上げました。代金は信用取引なので掛けです

9月1日撃沈商店が倒産し、売掛金回収不能

正す猫
撃沈商店が撃沈したみたいです‼売掛金が飛びました!
回収不能です‼4月1日に仕訳をしているので、売掛金を取り消さないといけなくなりました

このままでは決算で合わなくなるので、貸倒れた仕訳をします

売掛金と貸倒損失の仕訳
ポイント
当期に売掛金回収不能となった場合は貸倒損失という費用の勘定科目で処理します

現金回収できないが、費用として計上できるので法人税を下げることが出来ます

全て損失するというわけではありません

12月31日 売掛金回収できずに決算日を迎えた

信用していた撃沈商店が突然の撃沈倒産となった

いつ何時倒産するかわからん。この教訓を機に対策をすることにしました

そこで決算日に残っている売掛金や受取手形が、将来どのくらいの割合で貸倒れる可能性があるかを見積もって、あらかじめ準備しておく必要があると判断しました

この貸倒れに備えた金額を貸倒引当金といいます

貸倒れに備えるため金額を設定しましょう

貸倒引当金は1%を見積もることにしました

ポイント
設定する時は必ず売掛金や受取手形の期末残高の金額です

撃沈商店以外にも売掛金と受取手形の期末残高は500円残っており、500円の1%を貸倒引当金にします

相手勘定科目は貸倒引当金繰入になり、費用として計上します

500×0.01=5となり、貸倒引当金5円の仕訳をします

貸倒引当金と貸倒引当金繰入の仕訳

貸倒引当金は資産の減少(資産のマイナス)として処理します

繰入は貸倒れが不足しているということを覚えておいてください

世紀末2001年の仕訳

正す猫
去年は突然の倒産でパニクったが、今年は何かあっても貸倒引当金を設定したから大丈夫だ!

3月1日に得意先の嘘つき商店が倒産した

嘘つき商店が倒産となってしまいました。これは嘘であってほしかったな~などと嘆いてもしょうがないので撃沈商店と同じく貸倒処理をすることにします

ですがこの売掛金は2000年の時の取引なので去年ということになります

正す猫
売掛金の回収不能額は200円だが大丈夫だ。こんなこともあろうかと、貸倒引当金を設定しておいたから、少しは軽減されるぞ!その額5円‼安‼‼

売掛金と貸倒引当金の仕訳

貸倒引当金の仕訳をします。もちろん売掛金は飛んだのだから売掛金は取り消しです

でもまだ売掛金が195円残っている。これを取り消すために貸倒損失を使います

売掛金と貸倒損失と貸倒引当金の仕訳

今回貸倒引当金が仕訳に使えたのは前期の売掛金だったからです。

通常、決算日に貸倒引当金が設定されるので当期中に貸倒れても使用できません

ですが前期の決算日に貸倒引当金を設定していれば、それ以降の貸倒れには適用できます。

12月31日決算日を迎えてしまった。貸倒れは1件だけでした

今回も貸倒れが発生するかもしれないから貸倒引当金を設定しましょう

正す猫
売掛金が飛ぶかもしれない。信用されない商店との取引がありますからね。今回は貸倒れ設定率を10%としましょう

当期の売掛金と受取手形の期末残高は800円。800×0.1=80。貸倒引当金は80です

貸倒引当金と貸倒引当金繰入の仕訳

世紀末2002年の仕訳

2002年は、何もトラブルもなく1年間を過ごし、決算日を迎えることが出来ました

信用されない商店との売掛金が飛ぶこともなく、見事信用させる商店になりつつあるようです

今期の決算も貸倒引当金を設定することにしましょう

前期に設定した貸倒引当金が80円残っています
このような場合の仕訳はどうすればよいのか解説します

当期の貸倒引当金は100円

今回の売掛金と受取手形の期末残高は、1,000円あります。貸倒設定率は前回と同じく10%にします

1,000×0.1=100となり、当期の貸倒引当金は100円です。前期は80円残っています

100-80=20 貸倒引当金は20です

貸倒引当金と貸倒引当金繰入の仕訳

貸倒引当金20の考え方

初めの方で出てきた貸倒引当金繰入を覚えていますか?

繰入は貸倒金が不足していることを意味します

当期の貸倒引当金設定額は100です。前期の貸倒引当金は80です

100にするには、まだ20足りません。貸倒引当金繰入は20不足していることを意味します

20+80=100と考えましょう

このことを踏まえ今度はこの逆をやってみましょう

当期の貸倒引当金は10円

仮に当期の貸倒引当金の設定額が10だった場合は、10-80=‐70になり、70減らします

貸倒引当金と貸倒引当金戻入の仕訳
ポイント
貸倒引当金を減らす場合は貸倒引当金戻入といいます

この場合の考え方は、多すぎたので差額分の収益が増えたと考えましょう

このような差額を減らしたり、増やしたりする方法を差額補充法といいます

世紀末2003年の仕訳

何事もなくうまくいっていた矢先に奇跡が起きた

9月1日に撃沈商店からお金が返ってきた

撃沈商店から連絡があり、飛んだ売掛金を払うという奇跡が起きました

店の復活は無いようで、もう商売は疲れたとのことです

前期に貸倒れた売掛金が戻ってきた時は、現金で回収したと考え、仕訳はこうなります

現金と償却債権取立益の仕訳
ポイント
償却(貸倒処理)した債権(売掛金や受取手形)を取り立てることが出来たという意味で償却債権取立益といいます

貸倒引当金、貸倒損失、貸倒引当金繰入、貸倒引当金戻入、償却債権取立益、差額補充法を学習しました。

貸倒引当金の基本的な解釈

ここまで来て、貸倒引当金がややこしくなっていませんか?

そもそも貸倒引当金というのは、今後の未来に倒産するかもしれない不安から、負担を軽減するために見積もるものです。

設定時点では、まだ倒産や貸倒れは起きていません。あくまで予測をする引当金です。ですが勘定科目では資産の減少(資産のマイナス)となっています。

例えば自分のお金が1000円あるうち、何かあったら困るから貸倒引当金として100円取っておこう、と考えたとします。

この場合、自分の資産、つまり持っている現金から引くということは資産が減るということです。

900円は使えるが100円は使えない状態になる。ということは資産の減少となり、マイナスと考えることが出来る。

では仕訳をやってみましょう。

売掛金が回収不能となった場合

売掛金が回収不能になった場合は、必ず借方に勘定科目が必要になります。

貸方売掛金の仕訳

このように借方に勘定科目が無いので、売掛金を取消せません。

ここで登場するのが、貸倒引当金の勘定科目です。

貸方貸倒引当金の仕訳

よく見ると同じ貸方に位置しているので取消すことができません。でも簿記のルールでは、反対に位置すれば取消すことが出来ます。

貸倒引当金のお金をずっと持っていても意味がないので、ここで使うことが出来るわけです

貸倒引当金と売掛金の仕訳

借方は資産のプラスとなっていますが、ここでは気にせず、貸倒引当金を取消すために逆にしたと考えてください。

これで売掛金と貸倒引当金は相殺され、決算でつじつまがあうようになります。

貸倒損失の場合

貸倒損失は費用の勘定科目です。貸倒引当金で賄えない場合は貸倒損失を使います。

売掛金は現金と同じです。
例えば取引というのは消耗品を購入すると、現金が減って消耗品を費用として計上します。

売掛金が飛ぶということは現金がなくなったのと同じ事です。ですが売掛金=現金が飛んだだけでは仕訳が出来ません。

購入してはいないけど、売掛金を取消すには必ず借方に何かの勘定科目を置く必要があります。

そこで、購入した時と同じように売掛金が消えた理由を何かの費用として計上しないと仕訳ができないのです。

その費用が、貸倒損失なのです。

貸倒損失と売掛金の仕訳

このように費用として仕訳すれば売掛金を取消すことができます。

極論言うと、貸倒損失と貸倒引当金は売掛金を取消すために存在しているようなものなのです。

それに費用収益対応の原則という考え方があります。以下は僕の記事から引用します。

費用対収益の原則とは、収益と費用を経済的因果関係は把握すべきである。
期間損益計算上の基本原則であり、企業活動を反映した捉え方をしなければならない。
つまり、利益の結果に対して発生した費用の関係性を結び付けることで、正当な利益を出しましょう、ということです。

https://gakureki-zero.com/depreciation-amortization 減価償却費の計算式をわかりやすく解説

このような考えがあるので、収益や費用に対して必ず関係性を示す必要があるのです。

  • 資産と費用は左側が増えるので借方が定位置です
  • 貸倒引当金は右側が減るので貸方が定位置です

貸倒引当金繰入の場合

貸倒引当金繰入と戻入の仕訳は理解できたと思いますが、仕訳が出来ても意味がありません。しっかり理屈が分かっていないと文章問題で迷います。解釈をしっかり把握しておきましょう。

貸倒引当金繰入は、そもそも設定した引当金に足らない時に付け足します。例で行きましょう。

当期に設定した貸倒引当金が1000円だとします。前期に設定した貸倒引当金700円だった場合は300円足りません。そこで現金から300円取って付け足し1000円にします。

このとき貸倒引当金繰入は300円となり費用の増加になります。仕訳の理屈は資産が減少したのであれば理由が必要になります。減少した理由を費用の増加として仕訳すれば成立します。

貸倒引当金戻入の場合

貸倒引当金戻入は繰入の逆です。これも例で行きましょう。

当期に設定した貸倒引当金が1000円だとします。前期に設定した貸倒引当金1500円だった場合は500円多いです。そこで貸倒引当金戻入として500円引けば1000円になります。

このとき貸倒引当金戻入は500円となり収益の増加になります。仕訳の理屈は資産が増加したのであれば理由が必要になります。増加した理由を収益の増加として仕訳すれば成立します。

貸倒引当金500円を取消すのであれば、貸倒引当金戻入500円の収益としてまた現金に戻せばよいのです。

もっと簡単に言うと、現金から貸倒引当金として持っていかれた時は、貸倒引当金繰入となり、貸倒引当金に必要ないから元の現金に戻す時は貸倒引当金戻入となります。その差引を差額補充法というのです。

以上までが貸倒引当金の解釈です。

貸倒引当金の試験対策はパターンで攻略

ここまで貸倒引当金を理解しても、実際の試験で対応できるだろうか。そこで具体的な試験の対策をやってみよう。

貸倒引当金は第5問の精算表問題で必ず出てきます

貸倒引当金の問題はいたってシンプルで、毎回同じパターンで出題されます。たまにひねりがありますが、ほぼやり方は同じです

貸倒の手順

  1. 貸倒引当金の登記見積額を計算します
  2. 貸倒引当金の期末残高を確認します
  3. 期末残高に何%で繰入額を算出します

問題に対する注意

問題文には受取手形、及び売掛金の期末残高に対して、何%の貸倒れを見積もる。となっており貸倒引当金は差額補充法により計算します

額補充法は減るか増えるかしかないので、気にすることはありません

ほぼこのパターンででます

面倒くさいのは、貸倒引当金の問題の前に必ず、売掛金及び、受取手形の問題がでます

その答えを貸倒引当金の問題に付け足して、問題に挑むことになります

つまり売掛金か受取手形の問題を間違えると、貸倒引当金の問題もそのまま間違うことになります

売掛金や受取手形の問題も間違えずに解くことが重要になります

貸倒の問題

見積額は2%

貸倒引当金見積額は、売掛金問題の答えが追加されている金額=売掛金35,000+受取手形15,000×0.02=1,000

貸倒引当金見積額が1,000なので1,000になるように調整します

貸倒引当金残高がもし700だった場合は、繰入額は300となります

貸倒引当金繰入    300  /  貸倒引当金    300となります

その逆に貸倒引当金残高がもし1500だった場合は、戻入額は500となります

貸倒引当金戻入    500  /  貸倒引当金    500となります

計算はほとんどこのパターンなので難しくはないです

まだわかりづらいようであれば、仕訳の基本を理解しておきましょう

仕訳を基本から理屈までわかりやすく解説

2018年8月9日

まとめ

貸倒引当金というのは、売掛金が回収できなかった時に適用する応急処置の事である。

他社との取引において現金回収できなかった事を想定して、貸倒引当金を設定しリスク対策します。

貸倒損失を費用計上すれば法人税を安くする効果があります。

  • 費用
    貸倒損失
    貸倒引当金繰入
  • 収益
    貸倒引当金戻入
    償却債権取立益
  • 貸倒引当金繰入は設定額に合うように付け足します
  • 貸倒引当金戻入は設定額に合うように差引きます
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