インターネットはどのようにして誕生したのか、インターネットに共通ルールとして使われるTCPIPとは何かを解説します
このような悩みを持っている方は必読!
TCPIP通信をわかりやすく教えてほしい
インターネットはなぜ広まったの?
インターネットの歴史を教えてほしい
これらの悩みを全て解決できます。
TCPIPというのは、異なるコンピューターネットワークを繋げるために開発されたプログラムです。
昔のネットワークは異なるコンピューター同士で通信は出来なかったのですが、TCPIPがあることで通信が可能となったのです。
TCPIPは通信する際の規定や決まり事をあらかじめ決めて通信することです。
これらを理解できれば問題解決です。
ポイントは6つです。
- 防衛研究のネットワーク
- アーパネットの設立
- 通信システムTCP/IP(通信プロトコル)
- WANの開発
- インターネットの4原則
- インターネットの拡大
では具体的に解説していきます。
防衛研究のネットワーク
防衛研究のネットワークと言うとちょっと、えって思うかもしれませんが、元々のネットワークが出来た理由というのは、軍事目的から平和を願うために作られたものであります
実際には相手との戦争に構えるために、ネットワークが作られたというのが事実です
現在のインターネットの基礎となる技術というのはどのような理由でどのような人たちが基礎を作ったのかを解説します
きっかけはソビエト連邦
スプートニクショックから始まります
第二次世界対戦中の日本は、アメリカによって原爆を落とされます。アメリカは日本に勝ち、世界の覇者となります
終戦4年後、今度はソビエト連邦が、原子爆弾の開発に成功し実験も成功します
当時世界の覇権を争っていた米国にとって、大変な脅威であり核の開発は懸念でしかありませんでした。ソビエトの実験成功は仮想敵国の意識をさらに強めます
そんな中、1957年10月、ソビエト連邦現在のロシアが、 人類初の人工衛星スプートニクの発射に成功します
アメリカにとっては相当のショックを与えました。人工衛星が成功したとなると、人工衛星に核爆弾を乗せて打ち込むことが可能になるからです
これが後のICBM大陸弾道ミサイルとなります
冷戦時代が長く、お互い睨み合っている状態の中でどちらが覇権を握るのかという問題が常にずっと続いていました
ドゥエイン・アイゼンハワー
当時の第34代米国大統領ドゥエイン・アイゼンハワーは、ソビエトの脅威を感じ、軍の科学技術の開発に乗り出します
アイゼンハワーいう人はノルマンディー上陸作戦で指揮とった軍の将軍です。映画にもよく出てくるD-DAY作戦です。興味のある方は見てください
終戦後、アイゼンハワーは人気が高まり、後に大統領となります
技術の向上を目指し、アメリカも遅れをとらないよう技術開発に取り組みますが、実際にはソビエトに対する対抗策でもありました
先端技術の開発は政治政策として始めます
アーパネットの設立
高等研究計画所ARPAを設立します(Advanced Research Project Agency)
現在はDARPA(Defence Advanced Research Project Agency)となっていて、今でも活動しています
このARPAの研究で重要な課題としたのが、情報を共有するということでした
その指揮をとったのがリックライダーです。ネットワーク構築の構想者でもあります
ですが在籍中に実現することができなかったため、のちにプロジェクト引き継いだのがボブテイラーという人です。研究課題を実現に向けてを動き出します
ボブテイラーの課題はネットワークよりも、パソコン同士の連携や情報の共有をどうやればできるのかというところに着眼しました
協力者をもとめるために、ボブテイラーが一番最初に声をかけた人が、ネットワークの設計であるラリーロバーツです
ラリーロバーツは、今のネットワークの根本的な技術を開発しようと考えた人です
研究者の開発によりインターネットの大元である、ARPAが完成します
ARPAがとった戦略はIMP(Interface message processor)です。IMPとはコンピューター同士で通信を可能とすることです
これが最初のLANです。LANに関しては後で解説します。
IMPは今で言うネットワークゲートウェイにあたります
ネットワークゲートウェイとは、異なるプロトコル同士を接続することです
コンピューターとコンピュータ同士の通信を目的とした、現在のルーターのような役割だと思っていただければ、わかりやすいでしょう
ルーターとは、異なるネットワークを接続するための通信網のことです
コンピューターを拡大する
ARPAはネットワーク通信用コンピューターとして配置し、コンピューターを新たに導入します
コンピューター同士の通信を目的とし、情報を共有するために各大学に設置し、通信を行うようになります。その通信拠点となった最初の場所が、スタンフォード大学と、ユタ州にある大学です
これが一番最初のインターネットと言われています
まず技術者たちが作った通信技術は、聞いたことがあると思いますがパケット交換です
パケット通信は聞いたことがあると思います。携帯通信で日常的に聞く言葉ですが、パケットは日本語で言う小包みたいなようなものです
小分けにしてデータを細かく分割して運び出すというイメージです
一つのネットワークを複数の人が共有するこのパケットは、画期的なアイデアでした
もう一つのネットワーク
もう一つは分散ネットワークという考え方です
これについては様々な研究者が考えてきたわけですが、特にポールバランが発案した分散型ネットワークが、今でも使われています
一つのネットワークではなく、分散することにより、何本も路線があり、どれか途切れても、例え破壊されても、必ず目的地に届くように分散した構築方法です
今のネットワークウェブを開発した基本的な仕組みです
例えばポイントAからポイントBに行くまでに、ひとつのネットワークでは、何か問題が起きた時に、たどり着くことができません
ですが複数持っていれば、敵に襲われて破壊されても目的にたどり着くことができます
つまりネットワークが必ず維持できるということです。このネットワーク構築にベル研究所が乗り出します。
ベル研究所のソフトウェア
後に1970年代初頭、ベル研究所、略してベル研がコンピューターの基本ソフトウェアであるUNIXのOSを開発します
ベル研はUNIXを搭載したコンピューターを無償で全米の大学研究所に配分します。学生が一番最初に使ったOSとも言えます
全米の大学に置いてあるコンピューターはそれぞれが異なるコンピューターで稼働していました
ベル研が開発したUNIX OSにARPAの協力により、TCP/IP機能を実装し全米の大学に無償提供します。これにより異なるコンピューター同士での通信が可能となったわけです
大学のコンピューター同士で遠距離での情報の共有ができるネットワークWANが始まります
TCPIPは、異なるコンピューターとの通信を可能にするために開発されました。実は異なるコンピューター同士だと共通点が無いため通信が出来なかったのです。
簡単に言えば、AとAならつなげることは出来るが、AとBはつなげることが出来ない、という欠点があったのです。
これを解決したのがTCPIPです。ネットの歴史は以上です。 では本格的に通信プロトコルの話に行きます
通信システムTCP/IP(通信プロトコル)
TCP/IPとは何かについて解説していきます
TCP/IPとは、先ほど話したパケット技術の一つです。これはボブカーンと言うインターネットの父と言われる人が開発したシステムです
ボブカーンはコンピューター同士が通信できるパケット通信プロトコル TCP (Transmission Control protocol)を発表します
プロトコルとは、ネット用語の解説で言えば、規定、規格、共通のルールを定めた通信システムの事です
Transmissionは送信という意味なので、TCPを訳すと、送信に関して共通ルールを定め、制御するとなります
更にTCPを改良する(通信プロトコル)
さらに1976年ヴィトンサーフという方が、TCPをさらに改良し、インターネットプロトコルを二つに分離して、TCP/IPを開発します
とりあえずここではこの二人が開発したTCP/IPというのは、コンピューター同士の通信ができるものだということを理解しといてください
言語に言い換えると、日本語と英語だと共通の言語がなく、国境を越えた話し合いができなくなります
ですがプロトコルという共通言語があれば、日本語や英語が話せなくても話せます。そう考えれば分かりやすいと思います
TCP/IPの基本原理
TCPについては詳しく説明したので、IPの部分を解説します
ネットワークの中でコンピュータを特定するためにはアドレスが必要になります
IPアドレスというものを聞いたことがありませんか?
IPアドレスっていうのは、ネットワーク上にあるコンピューターを特定する住所になります。その場所まで届けるためにはインターネット上の住所が必要になります
TCPというのは送信するデータを小分けにして送ることです。それぞれの小包にタグを付けて住所を指定し、コンピューターの各場所に届けます
ネットワークを複数の人が、複数の技術で情報を共有するためには、IPアドレスがどうしても必要となります
通信経路は、有線、無線、衛星通信は問わず、タグと住所さえついていれば、その場所や相手のところに届けるのがTCP/IPです
パケット通信(宅配便と同じ考え方)
例えばコンピューター ABCがあって送り先であるXYZがあったとします
いろんな通信網の中から小包を小分けして送って行くので、1回の送受信では届くことができません。しかも送受信の中にはABCの情報が混ざってXYZに届けられます
通信網の中を数回に分けて、小包を送り届けることによって一つの情報が完成します
ウェブブラウザーなど、更新の途中でやめたりすると、表示が途中で止まったりしませんか?
そこから先の表示がなかったりするのは、このように小包で、かつ分散型で送られているので、途中で止められると小包が届かなくなり情報が止まってしまいます
携帯通信の話でよく聞くパケット通信は、情報を小分けにして送る通信ですよと言っているのです
TCP/IPを無償開放
この二人のすごいところは、どのコンピューターでも共通の通信ができるパケット技術を開発したことです。TCP/IPは世界中のインターネットを、一つの共通標準として運用することを可能にしたということです
しかも無償で開放し、コンピューターネットワークなどの構築を世界に広げました。インターネットは2人の考えにより世界に広まります
この無償開放により特定使用や課金システムがないため、異なるコンピューター同士がつながるようになり、インターネットは世界中に広がるようになったのです。
これがきっかけとなりWANが開発されます。
WANの開発
WANとコンピューターのネットワーク接続ソフトウェアを開発したのが、IBM です。多分ソフトウェア業界の中ではIBMを知らない人はいないと思います
次にMCIという企業が、インターネットを活用するために長距離通信網を開発します
もう一つは、ネットワークを運用するMERIT企業です。この3社が集まりバックボーンとなりWANの開発に取り組みます
バックボーンとは筋金入りの事です
元々ネットワークの開発というのは、政府主導の軍事目的で行っていたのですが、政府の予算が困難になり、政府から民間業者に委託されるようになります
広域ネットワークWAN
これは各拠点にデータ送受信用のコンピューターを配当し、離れた拠点からコンピューター間でやり取りをします。
WANは小さなネットワークのLANの集合体を結び付けることをいいます。
昔のWANとWANの通信は、企業ごとにメーカーが異なっていました。WANでつながっている企業と企業同士は、異なるWANを運営していたので互換性がなく企業同士でネットワークをつなげることができませんでした
このことにより、遠隔地にある企業などはプリンタやデータ、ファイルも、このような理由で共有が出来ませんでした
TCPIPが開発されたことにより、この問題は解消されました。
LANとは何か
LANとはLocal area networkといって パソコン同士をケーブルでつないで、通信や情報の共有をすることをいいます
LANの技術というのはメーカーによって異なっています。距離が短いエリア内のファイルや情報などを共有できます。自宅や企業などが使っているLANがこれにあたります。
昔は異なるメーカーが作ったLANだと互換性がなく共有できませんでした。
そのエリア内でのネットワーク通信ができない、周辺機器も使えない、などの問題がありました。
これを解決したのもTCPIPです。
今までの歴史背景や今のインターネットの現状を考えると、TCPIPは多大なる利益を世界中に与えました。今もそうです。
TCPIPは無償提供されましたが、世界中で使用するためにルールが決められました。
インターネットの4原則
TCP/IPには4つのルールを定めています
1:インターネットの接続に関して、ユーザーのネットワークLAN内の変更を加える必要はない
現在使っているLANに関しては、変更を加えると、運営上よろしくないということなのです。へたにシステムを変更すればTCP/IPの不具合など問題が出てくるかもしれないからです
逆に言えば変更は無いようにしようとなっています
2: ネットワークの接続に専用(機器現在のルーター)を用いても、その機器は簡略化したものであり、補正する制御は行わないものとする
コンピューター同士でデーターを送ることは構いませんが、送り手と受け手の取り決めは簡単なルールでやりましょうということです
簡単にいうと、送受信のデーター転送の際に、トラブルが生じれば直そうとしますが、その際に技術や送信ルールを厳しくしたり、複雑にせず、簡単な接続にしてください。ということです
3:通信エラーを検知するのは送受信のコンピューターのみとし、その結果再送を行なっても、ネットワーク自体は監視せず、保証もせず、各自が最善の努力を務める
送受信のエラーが発生しても問題を解決することは構いませんが、それはLAN内で留めておき、全体を構築するWANや他の通信を監視したり、手を加えるようなことはせず、拠点のネットワークの問題は最善の努力で行ってくださいということです
4:インターネットの運用が拠点ごとに行われ、中央管理的な制御を行わない
インターネットは小さな拠点LANの集合体です。WANの規模で見た時に、ここのLANは料金が高すぎるから、分配や料金体制を改善しなさいとか、障害が起きたら誰が責任を持つのですか?など、中央管理体制のような監視はやらないこと
以上の4つの理由から、インターネットに関して誰も責任や使用権は無いとなり、ネットは普及しました
インターネットの拡大
インターネットっていうのは誰も使用権を持っておらず、誰も責任を取らないネットワークです。一見無責任にも見えます
世界中誰でも無償で使えることがインターネットの良さでもあり、誰も口は出さない、誰も管理しない、誰も使用権を取らないというのがルールとなっています
各接続部分の管理やメンテナンスは行っても、ネットワーク構築の使用権や通信の変更はしない
そうすることでコストを低く抑えることができ、誰も責任を持たないというのがインターネットの良いとこでもあり、急拡大した理由になります
ですが利便性が良すぎたせいで世界中の人が使用したことにより問題が出てきました。
IPアドレスの不足
現在インターネットは世界で拡大しすぎて、住所の割り当てが不足してしまったのです。
技術も向上しており、時間がたてば解決されるであろうと思っています。
IPv4に変わりIPv6が出てきたので、問題は解消されそうです。
googleがURLがなくても、ウェブブラウザに直接アクセスできたり、データーを送り込める構想を始めています。実はもうプロジェクトは動いているかもしれません
技術の変化は時代の変化です
まとめ
LANは小さな拠点をつないだ通信のことです
WANとはLAN同士の拠点を繋げる通信です
インターネットの誕生は、ソビエト連邦に対抗するため、情報を共有するため軍事目的で作られた
各自異なる通信を行えるように開発したのがTCP/IPである
インターネットには無償で使える4つの原則がある