代替効果と所得効果を取り入れ売上げを上げる方法

値下げをした時に、売上が上がるかどうかを検証し戦略を考えます。その時に活用するのが代替効果と所得効果です

代替効果と所得効果で売上げを上げる方法

記事の内容
値下げの変化により消費者の行動パターンを考えます

代替効果と所得効果を理解するには
無差別曲線、予算制約線、入手可能領域、最適消費点の4つを理解する必要があります

所得効果と代替効果を取り入れ売上アップの戦略を考えます

需要の価格弾力性と所得弾力性の分析法

スルツキ―分析やギッフェン財の成立、所得効果と代替効果のグラフ移動

これらを解説します

独占的競争市場

今回はレストランを例に考えていきます。レストランは外食産業であり、独占的競争市場です

独占的競争市場とは同業者、ライバルが多数存在する市場を言います。ここで重要なことは、独占的と言っていますが、実は供給者が無数に存在します

効用最大化原則

効用とは満足度の大きさを表したものです

この原則にはルールがあり、消費者というのは効用最大化を目的としていると仮定します

消費者はモノやサービスの消費のみで効用を感じると定義します

限界効用

限界効用とは、1個追加した時に消費者が感じる効用の増加です

効用を数字化し、100や200のように数えることが出来ることを前提とします

このことを効用の基数的加速性といいます

限界効用逓減の法則

逓減とは徐々に減少していくことです

例えば、夏の暑い時の1杯目のビールは格別ですが、ステーキもビールも大量に摂取すると、徐々にありがたみが無くなり、満足度が減ってしまいます

現実的に考えれば、コロッケよりもステーキの方が効用は大きくなります

つまり顧客の満足度というのは、人それぞれ違うものであり、買う品物も違えば、数や商品の種類によって、得られる効用効果も違います

消費者によって効用の大きさの順序は変わっていくのです。このことを効用の序数的可測性と言います。これが無座別曲線理論の基になるのです

序数とは、1番や2番のように数えられることを言います

無差別曲線理論は、効用の大きさの順番しかわからない、という効用の序数的可測性を前提に議論していきます

無差別曲線理論

先ほど説明した効用の基数的加速性は、人の気分が高まった効用を数字で表すと言いましたが、実際には非現実的で当にはなりません

そこで、効用の大きさと順序は分かるという効用の序数的加速性を用いて、グラフにしたのが無差別曲線理論です

消費者は、X財とY財をそれぞれ何個づつ買うと効用の最大化になるのか、という数字を結んでいくと曲線が出来上がります

曲線は必ず右下がりとなります

無差別曲線

Aさんが最大に効用を感じるのは、Y財が9個、X財が2個
Bさんが最大に効用を感じるのは、Y財が5個、X財が3個
Aさんが最大に効用を感じるのは、Y財が3個、X財が5個
Aさんが最大に効用を感じるのは、Y財が2個、X財が8個

X財とY財が増えていくと、曲線は右斜め上に上がっていきます。図にあるように矢印の方向に行くほど、効用が大きくなります

また無差別曲線は、原点(0点)の方に出っ張っている形なので、原点に凸と言います

予算制約線

人の買い物には限界があり、好きな物を何でも買えるわけではありません

つまり手持ちのお金には予算があり、買う商品の数も値段も制約されているので、予算制約線といいます

現実の商品は無数にあるので、経済学では単純化するために、X財とY財のみしか存在しないと仮定して制約線を作成します

予算制約線の計算ルール

人の予算には限りがあるので、予算内で最大に買える個数をXとYで振り分けます

所得(M)=価格(Px)×消費量(x)+ 価格(Py)×消費量(y)

となります。XとYをどれだけ買っても必ず所得の数字になります。例で行きましょう

X財を200円、Y財を100円、予算の所得は1000円とします

Xが0なら、Yは10個=1000
Xが1なら、Yは8個=1000
Xが2なら、Yは6個 =1000
Xが3なら、Yは4個 =1000
Xが4なら、Yは2個 =1000
Xが5なら、Yは0個 =1000
最大に買える個数はXは5、Yは10となります

これをグラフで表してみましょう

予算制約線

予算制約線というのは、予算内で最大に買える個数を結んだ線だと覚えておけばいいでしょう

予算制約線と入手可能領域

今度は予算制約線の線を、0個と結んだ三角形が入手可能領域となります

入手可能領域とは、三角形の中の範囲で買える領域をいいます

最適消費点

最適消費点とは入手可能領域で、XとYが最大に買える個数の点をいいます。つまりXとYが偏らずに、バランスよく買える個数のことです

最適消費点の考え方は、値段の高いものが多く買え、かつ予算制約線から外れないことがルールです。もしX財が4つになると線からはみ出してしまいます

この点を効用の最大とします

最適消費点

最適消費点と無差別曲線を合わせて見ます

もし所得が増えた場合

所得が増えた場合は、買える数が増えるので入手可能領域の範囲は広がります。仮に所得が2000円になったとしましょう

2000円になった場合は、Xが10個、Yが20個なり、最適消費点も右上にシフトします

点EがE’へと移動します。E’が最適消費点となります

X財のみ値下がりした場合

Y財は値下げをしていないので、100円のままなので最大に買える個数は10個のままです

X財は200円から100円に値下がりしたので、最大に買える個数は5個から10個になりました

そうなると予算制約線は大きくなり、最適消費点も移動します

点EがE’へと移動します。E’が最適消費点となります

次は商品の質を表わす用語の解説にいきます

上級財、中立財、下級財

財とはモノやサービスの事です。この3つを簡単に言えば、品物のレベルを上、中、下で分けたものです

この3つで気を付けることは、消費者によって同じものでも捉え方が変わるという点です

例えば、所得に余裕があればタクシー移動出来るので、タクシーは上級財になります

ですが富裕層の方から見れば、運転手付きで移動するので、タクシーは下級財になります

では分析に必要な需要の価格弾力性と所得弾力性について説明していきます

需要の所得弾力性

需要の所得弾力性とは所得が1%増加した時に、需要量が何%増加したかを表した指数です

  • 消費量↑(上級財 em>0
  • 消費量→(中立財 em=0)
  • 消費量↓(下級財 em<0

emとはelasticity moneyのことで所得弾力性です

例えば、所得100万の人が、1%給料アップとなり101万となりました。いつも購入している商品を100個から101個購入したのであれば、それは上級財です

もし100個のままであれば中立財となり、99個と購入数が減ったのであれば、それは下級財です

上級財の場合は、所得が1%増加すると、需要量も1%増加します
中立財の場合は、所得が1%増加しても、需要量は0%なので変わらない
下級財の場合は、所得が1%増加しても、需要量はマイナス%と考えるので、減少します

需要の所得弾力性が高い産業は、経済成長とともに需要が拡大していきます。農業などの需要の所得弾力性は小さいですが、高級品に接点を絞れば、弾力性は大きくなります

需要の価格弾力性

先ほど説明したのは、所得弾力性であり、今度は価格弾力性です。間違えないように

需要の価格弾力性とは、価格が1%下落した時に、需要が何%変化するか、を表した指数です。例えば

  • 価格:1000円⇒900円に値下げ=100円下落
  • 需要量:10個⇒12個に増加=2個増加
  • 価格の下落率=100円÷1000円×100=10%
  • 需要量の増加率=2個÷10個×100=20%
  • 20%÷10%=2
  • 価格弾力性=2

価格弾力性の数字が1以下の場合は売上が立ちません

  • 価格弾力性が2×1%値下げ=売上増加 
  • 価格弾力性が1×1%値下げ=売上は横ばい(変わらない)
  • 価格弾力性が0.5×1%値下げ=売り上げ減少

需要の価格弾力性>1なら値下げによって売上は増加
需要の価格弾力性=1なら値下げしても売上は一定
需要の価格弾力性<1なら値下げによって売上は減少

では本格的に所得効果と代替効果の説明に行きます

代替効果とは

代替効果とは、値下げすることにより、普段買っている物をやめて違う物を買うことです

例えば、普段1000円の肉を買っていたけど、鳥がいつもより300円安いので、代わりに鳥を買おうというように代替を行う消費行動です

所得効果とは

所得効果とは、値下げしたものを買った時に所得の予算が増え、さらにものを買う消費行動です

例えば、いつも買う1000円の肉が700円になると、300円分予算が増えたことになり、その浮いた分ケーキでも買おうかな~という消費行動です

この2つを組みあわせて分析することをスルツキー分解といいます。スルツキーという経済学者の考えです

代替効果と所得効果を2つ合わせて、価格効果、もしくは全部効果とも言います

ギッフェン財とは

19世紀アイルランド人ギッフェンが、ジャガイモを事例に発見した法則です

  • 価格が上がると需要も上がる
  • 価格が下がると需要も下がる

通常は、価格が下がれば需要が伸びるというのが、一般的な見方です。ギッフェン財のような理不尽な消費行動も存在することを覚えておいてください

スルツキー分析+ギッフェン財

では所得効果と代替効果を使って、X財を値下げした時に、需要が増加する通常の財とギッフェン財を説明します

X財が上級財、中立財、下級財だった場合を見てみましょう

上級財を値下げした場合

代替効果は増加します
所得効果も増加します
価格効果は増加します
需要の価格弾力性は成立します

上級財を値下げした場合は、お得と感じるので更に上級財を購入します。つまり需要が増えたのです

中立財を値下げした場合

代替効果は増加します
所得効果は不変(変わらない)
価格効果は増加します
需要の価格弾力性は成立します

中立財を値下げした場合は、所得効果にお得と感じることもなく、需要は上級財ほど上がらない

下級財が代替効果より所得効果の方が大きかった場合

代替効果は増加します
所得効果は減少します
価格効果は増加します
需要の価格弾力性は成立します

下級財を値下げしても、所得効果と代替効果もお得と感じず、どちらの方がお得かによって需要が変わる

下級財が代替効果と所得効果が等しかった場合

代替効果は増加します
所得効果は減少します
価格効果は不変(変わらない)
需要の価格弾力性は不成立

下級財を値下げした場合、所得効果は減少してしまい、需要も一定となり増えない

下級財が所得効果より代替効果の方が大きかった場合

代替効果は増加します
所得効果は減少します
価格効果は減少します
需要の価格弾力性は不成立となりギッフェン財となります

下級財の値段が下がったことにより代替効果は得と感じるが、所得効果では、下級財を買わず別の物を買おうとなる

例えば、ジャガイモの値段が下がって、ジャガイモをもっと買いたいな~と所得効果はあるものの、ジャガイモの値段が下がって、お金が余ってリッチになったんだから、たまにはジャガイモやめてチーズでも買おう、となるのです

つまり下級財を値下げしても、需要はかえって減少してしまったのでギッフェン財が成立したのです

所得効果と代替効果のグラフ

所得効果と代替効果のグラフ

X財を値下げした時は、予算制約線がCラインからAラインになります

今度は予算制約線をもう一つ足します。この時Eの点と接するようにAラインと同じように平行に引きます

それがBラインです

この状態で、所得効果と代替効果の移動を説明します

代替効果の移動

代替効果の移動の説明

最適消費点がそれぞれ移動した時の図ですが、見たままなので説明は省きます

所得効果の移動

所得効果の移動の説明

最適消費点がそれぞれ移動した時の図ですが、見たままなので説明は省きます

では、今まで出てきた用語とスルツキー分解を用いて、値下げを行なった時に売上が立つ戦略を解説します

売上を上げる 戦略1

ファミリーレストランを用いて解説します

数ある商品の中から、値段が高い商品をピックアップし、その商品は全て上級財に分類します

これとは別に、満足度のある効用効果の高い商品を選びます

売上を上げる 戦略2

ファミレスに客をよび込み、売上を上げることが今回の目標です

客を呼び込む

商品の値下げをアピールし呼び込む

他店よりも値段が下がった=値下げしたのなら普段行ってるところよりもこっちに行ってみよう

値下げすることで代替効果が発揮

売上を上げる 戦略3

値下げしたことで客がいつもより来てくれました。ここからが勝負です

上級財の値下げ

上級財を値下げします。例えばステーキを値下げすることにより、お客にお得感を与える

1割もステーキの値段が安い=予算内で食べることが出来、実質所得が増えた、かつお金に余裕がある

値下げすることで所得効果が発揮

売上を上げる 戦略4

お客様のお金が余っているようです。さらに畳みかけよう

キャンペーンの実地

満足度がある効用効果の高いデザートの販売を行う

デザートを買ってくれれば、1割値下げした以上に利益が得られる

重要
値下げや効用効果を実行することにより、お客に得をしたと感じさせる

売上結果を検証する

値下げした商品は、需要の価格弾力性を適用しデーターとして活用すること

  1. 商品を値下げしたことで、需要は増えたか?
  2. 商品を値下げしたことで、需要は減ったか?

今回はステーキを値下げしましたが、商品を値下げしたことにより、売上が伸びたか必ず検証しましょう

まとめ

今回紹介した代替効果と所得効果、効用効果などはあくまで推測論です。値下げしても買わない人は買いませんし、贅沢品も買わない人もいるでしょう

こうやれば売上が立つよ

なんて都合の良い商売はこの世に存在しません。皆さんはしのぎを削って売上を上げようと必死です

ただやみくもに値下げをするのではなく、経済学の手法を取り入れて分析と検証を行うことによって、結果は変わるし、活用できることを解説しました

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