経営におけるリーダーシップとはどのような見方や行動があるのか。その考え方をリーダー論から学びます
Contents
経営者に求めるリーダーシップとは何かを考える
リーダーシップとは何か?
指導者たる地位、又は任務や指導権など
ピータードラッカーはリーダーたる第一条件は、リーダーシップを仕事とみることであると述べています
組織やチームをなどを目標に向けて導いていくことであり、目標達成に向けて組織やチーム活動に影響を与えるプロセスです
サッカー日本代表など見ていれば、監督が代わればチームなどの強さや戦略が変わります。現に監督が代わってサッカー日本女子代表は世界一になっています
ここでリーダーシップ論を見てみましょう
3つのリーダーシップ論
リーダーシップにも、どのような見方や考え方があるのか見ていきましょう
リーダーシップ特性論
リーダーシップの有効性は、リーダーの特性に左右される。研究者はリーダーの資質や特質などを長年研究してきたが、思ったほどの成果はありませんでした
リーダーシップ特性論は、優れたリーダーには何らかの共通の資質や、特性を持っていると考えた研究理論です
歴史上偉大なリーダーである人物の研究
例えばリンカーン、ケネディ、ガンジー、徳川家康など、リーダーと呼ばれる人々の個々の性能の違いを研究したのが特性論です
リーダーシップ特性論には優れたリーダーと、そうでない人の資格を研究したものがあります
例えば身体的特性などは身長、体格、外見、容貌、健康
精神的特性などは外向性、内向性、性格的特性、適応性、創造性、知的特性、行動的特性の比較などです
研究者間で共通する普遍的特性を特定できず、研究は衰退し、数もどんどん減りました
しかしリーダーシップをテーマにした書籍には、よく取り上げられています
個々の違いでリーダー像の定義を当てはめるのは無理ってことですね
リーダーシップ行動論
リーダーシップ行動論とは組織やチームの生産性や業績、構成員の満足度の両方を高めるなど、リーダーシップのスタイルを研究したものです
資質は見えないが行動は見える。リーダーとして必要な行動を明確にすれば、行動原則を定めることができ、リーダーを育成や教育できるという考え方です
特性論とは異なり、リーダーは育成可能という立場や、組織やチームの生産性や業績メンバーの満足度を高めるリーダーシップスタイルを研究することです
リーダーシップ状況適合論
リーダーシップ状況適合論とは、コンテンジェンシー理論に似ており、状況が異なれば必要とされるリーダーの行動も異なる
1960年代後半から主流になり、あらゆる状況に適合でき、最善かつ普遍的なリーダーシップスタイルは存在しないと説いています
最適なリーダーシップは、そのチームや組織の置かれている状況や、与えられたミッションタスクに応じて変化します
Fフィドラーの考えた状況を決める要因とは以下のものです
- メンバーがリーダーをどの程度受け入れているか
- 知人の組織の課題がどの程度明確になっているのか
- リーダーに与えられた権限の強さはどの位なのか
リーダーシップに最も影響を与えているのはリーダーとメンバーの関係性
リーダーとメンバーの関係が非常に良い場合、非常に悪い場合はタスク中心型で動くこと
中間的な場合には人間関係中心型のリーダーシップが望ましい
状況判断が優先されるので、リーダーはメンバー間の関係を見て、タスク中心型と人間関係中心型に分けて行動すればいいということです
それでは、先人が定義した各リーダーシップの特質を見ていきましょう
それぞれ異なるリーダーの特質
ウォーレン・ベニスのリーダーシップの基本要素
仕事上の個人的にやりたいことが明確で、失敗しても諦めることがない。基本的姿勢が前向きであり、仕事に情熱を持って取り組み、自分のやっていることが好き
自分の強みと弱点を理解し、他人から学ぶ、他人と共に働く方法を身につけている。人から信頼されている。好奇心旺盛で可能な限り学びたいと考える
リスクを取れる新しいものを試すことが好き
スティーブン・コヴィー原則を守るリーダー
- 継続的に学習すること
- 奉仕の精神を持つこと
- 前向きのエネルギーを発散すること
- 人を信頼する
- バランスの取れた生活も送っている
- 人生は冒険だと考えている
- 爽快とした仕事ぶりで、周囲に刺激を与え変化を促している
- 肉体、知的、情緒、精神の各面で自己革命に勤めている
マックスデプリーのリーダー属性
知的エネルギーと好奇心があり、温故知新で現実的で気まぐれがない
度量が大きく、曖昧さも楽しめて、存在感があり忍耐強い
温故知新
以前に学習した事柄から、新しい発見や知識、見方などをいいます
ジョンガードナーのリーダーの条件
- やる気を起こさせる力がある
- 勇気決断力根気がある
- 人の信頼を得る才能がある
- 管理能力、決断力がある
- リーダーとしての自信がある
- 意見をはっきり主張する
- 適応性と柔軟性がある
リーダーの基本的特性とはどういうものか
ピータードラッカーはリーダーの基本特性を探し出すことは不可能だと述べています
なぜならリーダーの性格、リーダーシップスタイル、リーダーの特性などというものは存在しないからです
この半世紀の間、私が出会って一緒に仕事をした非常に優秀なリーダーたちの中には、自分のオフィスに、こもりっぱなしの人もいれば、非常に社交的な人もいたが結構な堅物もいた。と説いています
リーダーと言えど、所詮は人間です。完璧なリーダーを求めるほうが間違っているのです
ではリーダータイプを見ていきましょう
リーダーシップの分類
独裁的リーダー
部下は服従するものと考え集団と距離を取りながら方針を決定するタイプ
民主的リーダー
部下が活動に関する決定を行えるよう援助するタイプ
放任的リーダー
肩書きがあるだけで部下に任せきりにしてしまうタイプ
仕事中心型リーダー
人間としての部下に関心がなく、業績の達成にのみ関心を持つリーダー。短期的に見れば業績は上がるが、従業員のモラルは低く、長期的に好業績を継続できない
人間中心型リーダー
仕事だけでなく人間としての部下に関心を持ち部下の欲求や動機を満たそうと務める。部下のモラルは高く良好な業績を継続的に上げることが可能
独善的専制型リーダー
部下を全く信用せず意見を取り上げることは稀であり、飴と鞭の管理ばかり。部下は恐怖と不信感を感じており、意思決定は上層部が行う
温情的専制型リーダー
主従関係時には意見も取り上げ、部下を褒めることもあるが、部下は恐怖心と警戒心を持ち下層部の限定された範囲で、意思決定を行う
相談型リーダー
信頼関係など、部下の意見を積極的に採用する。統括的な方針と全般的な意思決定は上層部にまかせている
集団参加型リーダー
部下を十分信頼し、良好なコミュニケーションを持ち、目標設定や方針改善に部下を参加関与させ、能力開発を行う。意思決定は組織として行う
新しいリーダーシップ論
リーダーに対して好意的な集団と非好意的な集団が存在することを前提とした理論です
メンバーとリーダーの関係は初対面の時から、徐々に変化していき、関係性には感情的、忠誠心、相互理解などが含まれている
初対面の時の第一印象がかなり重要で、その後の関係に大きな影響を持ちます
リーダーはメンバーの行動を注意深く観察し、チームにとって望ましい行動をメンバーが取れるようにサポートする理論(正しい行動を褒め、そうでなければ注意するなど)
適切な報酬と適切な罰を与えることによってメンバーの構造を望ましいものにしていく。適切な目標の設定と公平公正な評価フィードバックが重要
変革型リーダーシップ論とは
新しいリーダーシップ論であり状況適合論の一つでもあります
変革的リーダーシップの特徴
魅力あるビジョンを示し、それをメンバーに明確に伝えることができる
ビジョンを実現する戦略を策定し実現できる道筋を示し、メンバーのモチベーションを高める
メンバーの心をつかみ自主的な貢献を引き出せ、メンバーにとって理想のリーダーの役を演じられる
リーダーシップ機能とマネジメント機能
リーダーシップ機能
対象者は人であり、行動はビジョンを描いて浸透させ、実現のために権限を委譲しモチベーションを高める
時間軸は未来志向を指し、目指すものは変革を起こして未来を創造すること
マネジメント機能
対象者は主に仕事であり、行動は効率性を追求し、実行計画を立て、組織化と資源配分、計画と実行の差異調整を行う
時間軸は現在指向を指し、目指すものは秩序の安定と現状維持や改善
リーダーの育成について
新しいリーダーの育成方法とは、成功したリーダーなどの経験を通じて、成長の対話。経験から学ぶことのできる人が、リーダーの素質を持っていることが条件です
素質を持った人を選抜し、適切な経験を積ませることによってリーダーを育成します
リーダーシップ行動の核となっているものは、チームや組織を成功に導くための必要な能力は、意思決定力、行動力、コミュニケーション力の3つです
人間愛や理論感受性、人の痛みがわかるなどです
一貫性に関して
時間的一貫性:コロコロと言うことを変えない
状況的一貫性:緊急時等にあたふたしない
関係的一貫性:上司部下を問わず、同じように公平な姿勢を貫く
学べるものと学べないものを区別する
学べるもの
様々な経営に関する知識コミュニケーションの手法やテクニックリーダーシップの理論、偉大なリーダーの事例などを、本などで調べて読んだりして、考えること
学べないもの
資質に相当する部分は、積極性、責任感、明朗性、協調性、忍耐力など
優れた経営者のリーダーになるために
自分の素質を知り、リーダーに必要な要素を養えば、優れたリーダーに近づくことができます
3つのリーダー像を意識する
民主的リーダー
部下が活動に関する決定を行えるよう援助する
人間中心型リーダー
仕事だけでなく人間としての部下に関心を持ち部下の欲求や動機を満たそうと務める。部下のモラルは高く良好な業績を継続的に上げることが可能
集団参加型リーダー
部下を十分信頼し、良好なコミュニケーションを持ち、目標設定や方針改善に部下を参加関与させ、能力開発を行う。意思決定は組織として行う
人間愛や理論感受性、人の痛みを理解できるリーダーを目指す
まとめ
リーダーシップ論は、リーダーの資質に着目した特性論から始まるが、共通する普遍的特性を特定できず、研究として衰退し、目に見える行動に着目した行動論が主流になった論理です
その後効果的なリーダーシップは状況的に応じて変わろうとする状況適合論が主流となった
自分の素質を知り、リーダーに必要な要素を養えば優れたリーダーに近づくことができる