事業ポートフォリオの分析から企業経営の戦略計画を練る

事業ポートフォリオの分析手法を知り、戦略計画を練ることのメリットを解説します。大きな失敗をしないための戦略です。

事業ポートフォリオの分析から企業経営の戦略計画を練る

記事の内容

事業ポートフォリオとは何か

ポートフォリオの設計から効率性2つの軸

戦略事業単位を分割しポートフォリオの分析手法2つを紹介

分析の問題点の解説

戦略計画とは何か

戦略計画における事業のミッション、事業志向の捉え方

計画策定ポイントや、戦略計画の重要性、戦略計画のマーケティングなど

これらを解説します

ポートフォリオとは

紙、絵、写真、地図、など大判のケースに入れる大きなカバンをイメージしてください。作品集や品ぞろえなども、それにあてはまります。

投資家の株券やファイルなどをフォルダーにしたり、金融資産の一覧などの事をポートフォリオといいます。

株式投資は安定株と成長株のバランスを取りながら投資を組み立てます。

企業もこれになぞらえ、効率性や安定性の成長のバランスを考えながら事業や商品を開発し、利益の最大化を狙います。

事業や商品の組み立てや開発、利益の最大化を一つの集合体とし、事業の集合体と位置付け、事業ポートフォリオとなるのです

事業ポートフォリオの中身を設計しながら事業を考えます。

事業ポートフォリオの設計とは

ではポートフォリオの概要が分かっても、どのようなことを考えればいいのか、ということです。

企業成長をするには、4つのポイントを押さえて事業を考えます。

どの事業にどのくらいの投資が必要か?

どの事業にどのくらい投資するのか。設備投資などの場合は、減価償却などのフリーキャッシュフローのことも考えて、金額投資を考えましょう。

減価償却に関してはこの記事を参考にしてください。

減価償却費の定額法と定率法の計算や節税対策をわかりやすく解説

2018年7月26日

現在の投資を拡大するか縮小するか?

投資には時間が必要です。投資した翌日に成果が出るのものではありません。

時間がかかるので時間の長さも計算に入れて、時間プラス投資価値を考慮して拡大すべきか否か、投資金額以上を回収できるか、などを考えてください。

新商品や新事業の位置づけを考える

どれぐらいの年齢層に、男か女か、ユーザーは何を求めているか、など新商品開発や新事業の計画を練ります。

単純に考えるのではなく、ちゃんと狙った経営戦略からユーザーのピンポイントを狙って位置を定めていきます。

将来の事業のポートフォリオをどうするか?

利益最大化を考えるのであれば、今だけ利益を求めるような事業では、そのうち枯渇します。

事業で一番求められるのは、持続した利益を確保する、ことです。

今だけ、金だけ、自分だけ、のような考えでは顧客はおろか事業継続は出来ません。

将来の利益確保をイメージし、2つの軸から考えましょう。

2つの軸から効率性を考える

時間や資源、人材、資金などは有限です。つまり数に限りがあります。

限られた資源の中で利益を最大化するためには、どのようにすべきか?これを2つの軸で考えます。

  • 今をどうするのか
  • 将来までの道をどのように作成するか

効率性に関してはこの記事を参考にしてください。

効率性と公平性の観点から最適資源配分や平等を考える

2019年1月21日

では事業ポートフォリオの設計手順を解説します。

事業ポートフォリオの手順

事業ポートフォリオの手順はざっくり2つの手順に分かれます。簡単な概要の説明の後で、細かく解説していきます。

手順1、事業を分割する

ビジネスを戦略事業単位で考えることを Strategic Business Unitといいます。略してSBUといいます

手順2 、SBU単位に分析する

現状や将来性を観点から、収益や市場シェアなど分析します。

これらの2つを細かく詳細を解説していきます。

事業単位を分割する

ビジネスといっても多種様々にあるので、各戦略事業単位で分割し効率化を最大化します。

例えば、○○戦略事業部、○○戦略本部、などといったように、ごちゃ混ぜにせず、企業内の事業単位を分割し、一つ一つを組織化します。

組織化すれば、独自性や目的が統一するので、明確な事業計画が作れます。

分割するといっても基準を決めないといけません。

例えば、法人に向けて売り込んでいく戦略、消費者に向けて売り込む戦略、ソフトウェアや宇宙事業など

製造ラインで言えば、食料、服、デジタルデバイス、製造資源など

地域で言えば、国内のとどまらず、アメリカや東南アジア、オセアニア、南米、ヨーロッパなど

売り込む基準や設定をしっかり決めましょう。

SBUの分析手法とは

事業単位を分析することで立ち位置を明確にし、投資の拡大か縮小かを考えてみましょう。

PPM分析

PPMと言って、product portfolio management の事で、ボストンコンサルグループが提唱する分析法を紹介します。

商品市場シェアと市場の成長率を4分割で分析するマトリクス。あなたの事業を当てはめてみましょう。

PPM分析

スターを目指しましょう。

金のなる木の状態は、どのような投資をすればスターになるのかを考える起点になります。

負け犬は投資価値が無い状態なので、投資は止めましょう。

シェア拡大が見込めそうであれば、何を改善するのか、を接点に目的を明確にしましょう。

アマゾフマトリクス

商品を投入する市場と、成長戦略の方向性によるポートフォリオマトリクスです。

アマゾフマトリックス

事業単位をこの4つの中で、どの部分に位置付けられているのか、をしっかり把握し、その分野をどのように拡大させていくのか、そして利益を最大化していくかを考えていきましょう。

これはシェア拡大ではなく、どのポジションに商品を投入するのか、どの方向に向かっていくのか、の掛け算で考えてください。

わかりやすくてメリットもあるのですがポートフォリオの問題点もあります。

分析の問題点

実際の分析において事業単位の区切り方というのが容易ではありません。どこまで細かく区切るのか、どこまでを一つのカテゴリーとするのか、どれぐらいの層に分けるのか、分割が複雑になり、逆に自分たちを苦しめることになります。

客観的視点で考えた時に、人それぞれが違う観点を持っているので、分析が同じになりません。誰がやっても同じ結果になるというのであればわかりやすいのですが、結果が人によって異なるのであれば、分析者の力量や見識が左右することになります。

市場シェアの分析には、ライバル企業も多く存在しています。スターや問題児の部類には、他企業も投資をしてきます。シェアに負ければ、市場から撤退も考えなければならないため、投資の仕方やポジション投資で結果が変わってきます。

残存者利益と言って、市場価値が無い、もしくは縮小傾向にある市場では、他企業やライバル企業というのは消えていきますが、市場規模が小さくても、最期に残った企業が利益を総取りする事も考えれるので、市場の状況判断も大切になります。

事業ポートフォリオとは、必ずしも万能ではないということを覚えておかなければなりません。

事業の現状分析をする上で1つの手段として考えてください。絶対そうなる、というものではありません。

ですが市場分析やシェア分析をした上で戦略計画を練ることは、とても重要なことなのです

戦略計画と出てきましたが、戦略計画とはどのようなものなのか、戦略計画の重要性やミッションなど解説していきます。

戦略計画とは

戦略計画とは企業によるコミットメントと考えてください。

つまり有言実行し、決めた目標は必ず達成することです。このコミットメントには投資家や顧客、そして企業内部の関係者に対しての約束事であり、遂行することの宣言でもあります。

そして結果として信用につながります。意思決定や判断の重要性を自ら知り、企業の価値を高めていきます。

環境や市場の変化に合わせて、企業の目標や能力を適合させることです

計画だけでは駄目です。文書化して数字を可視化し、計画関係者すべてに、自覚させることが重要になるのです。

戦略計画を実行するには、事業ミッションを明確にすることが大切です。

企業の事業ミッション

戦略計画を実行するための第1歩は、使命を明らかにすることです

この使命が不明確では、ミッション関連者はバラバラに動き、コミットメントはおろか、達成すらできません。

  • 目標や使命とは何か?
  • なぜその事業をするのか?
  • 社会に対する企業の責任とは何か?
  • 事業をどのポジションで戦うか?

このような使命をしっかり自覚させ、ミッションを達成していきます。もしこれらの達成が困難な時というのは、何かしらの原因が考えられます。

組織が停滞する時というのは、環境の変化やミッションによる使命が古くなっている可能性が十分考えられます。もしくは使命が不明確になっている場合が多い。

このような場合は戦略計画を見直す必要があります。計画を失敗しないためにも志向の捉え方を知っておきましょう。

事業志向の捉え方

志向の捉え方としては、2つあります。

  • 商品志向
  • 市場志向

商品志向

商品志向というのは、商品開発に力を入れることです。商品を多角的に見て、どのような機能、性能、副作用、効力、デザイン、商品に向けて計画を練っていきます。

市場志向

市場志向というのは、市場の動き、顧客の要望に向けて市場開発に力を入れることです。

顧客は何を求めているのか?市場は何を求めているのか?しっかりとした現状分析し、それに向けて計画を練っていきます。

2つ実行する事

どちらか一つだけでは失敗します。アマゾン事例で解説します。

アマゾンはかつてスマホ商品を開発し市場に投入しました。利便性、性能、カメラなどアマゾンが欲しいと思える商品を市場に投入しました。

結果は失敗で売れず撤退を余儀なくされました。

原因は商品開発の目線だけで考え、市場目線で考えなかったことです。顧客は何を求めているのか、を求めなかったからです。

独りよがりの商品など客は求めていないということです。

ミッション策定にはポイントがあるので覚えておきましょう。

策定重要ポイント

具体的で限られた目標に的を絞ること

従業員にやる気を起こさせる計画である事。

事業テリトリーがしっかり絞られていること
幅広く多くの客に届ける!このような考えでは失敗します。なぜなら幅広くするためコストが拡大し、客は多くいるため、求めている欲求がバラバラになっているからです。

企業の経営理念や企業の思考の明確化、価値観が反映していること。

市場に適合していること(超重要)
時代遅れや市場とミスマッチがあると失敗します。失敗事例を紹介します。

いきなりステーキはアメリカで店舗を拡大し、一気に市場を拡大しましたが失敗しました。しかも店舗は閉店を迫られ、全体の2割まで落ち込む結果となりました。

【ニューヨーク=河内真帆】「いきなり!ステーキ」を展開する外食ペッパーフードサービスの米国法人は14日、ニューヨーク市内に展開する11店のうち7店を閉めると発表した。2017年2月に鳴り物入りでニューヨークに進出したが、2年で事業の縮小を余儀なくされた。高級ステーキ店の多いニューヨークで安さと手軽さを売りにしたものの、浸透しなかった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41308150V10C19A2000000/ 日本経済新聞(2019/9/22)

市場開発を独りよがりの目線で考えたからです。日本の品質の良い肉なら顧客を囲い込めると判断したのかどうかはわかりませんが、市場を奪えませんでした。

日本人の目線では、敷居が高くなく、気軽にステーキが手っ取り早く食せることが受けたみたいですが、アメリカは違います

アメリカのステーキに対する目線というのは、何か自分に特別なことが無い限り食べる事が少ない、という点と近年ヘルシー志向のダイエットです。

アメリカ人の感性では気軽に手っ取り早くが無く、最高級の肉でも無いので、ありきたりの味では食いついてきません。

失敗の原因は、市場と商品が完全にミスマッチしていたからです。策定計画において市場調査はかなり重要ということです。

市場分析やシェア分析、商品志向と市場志向がしっかり出来ていなかったということです。

戦略計画の重要性

戦略計画を練る時というのは、中長期の経営で考えます。目指す方向や、達成するコミットメントを明確にし、事業関連業者に自覚させることです。

計画として考えることは、目先の利益で計画しないことです。目先の利益の確保はその場限りなので、中長期で計画を練ることは出来ません。

長期的計画とは、継続して利益が得られる仕組みを作り出すことです。

この仕組み作りが戦略計画の重要性となります

戦略計画のマーケティング

戦略計画を実行するためには、それぞれの計画や、立案が必要になります。マーケティング事業だけで成り立つものではありません。

マーケティング部門

目標とする商品をどれくらい、いくらで、流通経路、組み立てや販売経路など緻密に計画を練る。

製造部門

技術や開発、魅力的な商品を生みだすための製造が必要不可欠となります。

調達部門

材料資源をどこから調達してくるか、品質面を考慮したためコスト負担が増え利益を圧迫しないようにすること。

財務会計部門

商品開発や製造資源に必要な投資を考える。必要な投資には借金で拡大させ、縮小傾向の商品は投資を削減する。

人事部門

必要な人材や、エンジニア、リーダー、その他の育成など、人材投資をしっかり管理する。

計画実行は目標を明確にし、SBUの分割でしっかり組織化することで成功していくのです。

まとめ

事業ポートフォリオとは、収益のバランスを考えること

SBU分析には、PPM分析とアマゾフマトリクスの2つあるが、絶対の分析手法ではない

戦略計画とは企業のコミットメントを目指す事。

商品志向と市場志向を必ず2つセットで戦略を組むこと。